第104話冬馬君はモテモテ?

 ……これはどういう状況だ……?


「おい、綾。どうなっている?」


「ハハ……なんか、暁人君が私に冬馬君の予定を聞いてきて……今日はまだ予定ないよって言ったら、じゃあ誘っても良いかって……そしたら智君が来て、剛真君も来て……それを見た博君達が、冬馬君が空いてるなら俺たちが誘うってなって……」


「……カオスか。なんでか知らんが、中学の時もこんなことあったなぁ」


「ふふ、冬馬君モテモテだね?」


「嬉しくねぇ……野郎共にモテモテとか……」


「むぅ〜……女の子にモテたいのですか?」


「いえ、綾にモテたいです」


「そ、それならいいのです……じゃ、じゃあ……モテモテだね?」


「それは最高だな」


「えへへ〜……あっ——!止めないと!」


「もうよくね?このまま2人で帰らないか?そんで、俺はイチャイチャしたい」


「はぅ……す、ストレートすぎるよぉ〜……そんなに嬉しかったのかな……?」


「なんの話だ?」


「あっ——あ、あのね……麻里奈ちゃんがこれを送ってきて……」


 そのスマホのビデオ動画には、俺が映っていた。

 そして、綾から貰った財布を眺めてニヤニヤしている……。

 さらには幸せだとか言っているな……無意識だな。


「なるほど……あいつこんなの撮ってたのか」


「わ、私、これみて嬉しくて……冬馬君が、わ、私が彼女で世界一の幸せ者だって……」


「当たり前だろ、こんなに可愛い彼女がいるんだから。この俺以上に幸せな男など地球上に存在しない」


「そ、それは言い過ぎかも……でも、嬉しい……」


「うん、帰ろう。そして、俺は綾を抱きしめるのだ」


「ダメだよ!?みんな待ってるんだから!あと、口調も変だよ!?」


「ダメか……ちぃ!やつらめ……良いだろう、相手をしてやろう。この俺と綾のイチャイチャを邪魔する奴は……許さん!!」


「え?と、冬馬君……?」


 俺は、ドアを勢いよく開ける!


「おっ!冬馬!」


「やれやれ、ようやく来ましたか」


「ガハハ!待っておったぞ!」


「あれ?なんか怒ってない?」


「目つき怖くね?」


「ぼ、僕は帰ろっかなー……」


「お前らぁ——!!ウルセェ——!!めんどくせぇ!!まとめて相手してやるから答えろや!!俺は綾とイチャイチャするんだよぉ——!!」


「「「「「「は、はい!!!!!!」」」」」」


 俺の気迫に6人の声が重なった。


「ハハ……冬馬君のテンションがおかしいなぁ……」


「綾、どうせアンタが何かしたんでしょ〜?」


「私もそう思うわ」


「べ、別に……少しサプライズでプレゼントしただけなんだけどなぁ……」


「それは……ああなるわな〜」


「愚問ね……」


「はい!アキ!何の用だ!?」


「俺か?いやー、女の子遊び控えたら暇でさー」


「はい!次!剛真!」「酷くね!?」


「お、俺はだな……むぅ……」


「はいはい!森川とのことね!森川!こいつがデートしたいってよ!」


「なっ、なぬぅ!?何をいうか!」


「へ?そ、そうなん?べ、別に……してあげてもいーし……」


「森川さん……いいのか?」


「で、デートだけだし!それだけだし!」


「ああ!十分だ!ありがとう!」


「はい!解決!次、ヘタレ智!」


「へ、ヘタレ……いや、返す言葉もありませんね……そうなのですよ。僕は、一体どうしたら良いですかね?」


「ウルセェ——!さっさとキスして来いや!好きな女の子を待たせるんじゃねえ!」


「ま、待っている……?飛鳥がですか……?」


「それくらい気づけや!あいつは俺の大事なダチではあるんだ!泣かせたら承知しねえぞ!?」


「わ、わかりました……!やってみます……!」


「はい!解決!博……はアレか?」


 黒野とのダブルデートプランだよなぁ。

 ただ、今の黒野は真兄とのお出掛けで頭いっぱいだからな……。


「まあ、そうだね……」


「実はな……うん、もう少しだけ待ってくれ。来週には計画を立てるから」


「……オッケー、わかったよ。ごめんね、急かしたみたいでさ」


「いや、気持ちはわかる。安心しろ、俺は約束は守る男だ」


「じゃあ、待ってるよ」


「はい!次!マサ!」


「お、おう!俺だけ遊んでないぞ!?」


「悪かった!だが、今日はすまんがダメだ!明日も部活は休みだな!?」


「ああ!文化祭十日前になってるからな!」


「じゃあ、明日の金曜日に遊ぶぞ!何か考えておいてくれ!」


「おっしゃー!わかったぜ!」


「はい!啓介!どうした!?」


「い、いや、僕はいいよ……そ、そのノリってやつをやってみたくて……」


「良い傾向だと思う。遠慮なくやっていけ。失敗を恐れてはいけない。それを笑う奴がいたら俺がぶっ飛ばす!」


「と、冬馬君……うん!ありがとう!」


「はい!解決!綾!帰るぞ!」


「え?い、良いのかな……?」


「いいんじゃない?多少強引だけど、見事な解決方法ね」


「なんだよー、俺だけ無視かよー」


「アキ!来週の月曜日遊ぶぞ!」


「……しょ、しようがねえな」


 ……よし、これにて解決!


 俺は綾を連れて、学校を出るのだった……。



「よ、よかったのかな?」


「ああ、むしろあれでいいはずだ。発破をかける意味合いでな」


「た、確かに……一気に解決したよね……」


「多少手荒なのは認めるが、ああでもしないと進展しないしな」


「あっ——やっぱり……一応、考えてたんだね?」


「まあ……なんだかんだいって、大事な友達だしな」


「えへへ〜、冬馬君のそういうところ好き!」


「……おい?言っておくが、さっきのも嘘じゃないからな?」


「え……?あっ——そ、それって……?」


 俺は人がいないのを確認して、そっと口づけをする。


「んっ………も、もぅ……」


「仕方ないので、今日はこれで我慢する」


「はぅぅ……」


 俺は綾の照れ顔に満足しつつ、家に帰るのだった……。

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