第63話冬馬君は遊園地デートをする

 その後は、お昼ご飯を食べることにした。


 なのだが……。


「は、はい!冬馬君、アーン……」


「あ、あーん……このオムライス、いつもより美味い気がする」


「エヘヘ、ホント?これも、夢だったんだ〜。また、叶えてもらっちゃったね!」


 ……羞恥心が半端ないが、頑張るんだ!俺!


「お、おう、いつでもどんとこい」


「うん!わ、私も頑張るからね!」


「はい?何をだ?」


「う、ううん!気にしないで!」






 食事を終えた後は、アトラクションではなく、ショッピングを楽しむことにする。


 お土産のお菓子を買ったり、キーホルダーを買ったり。


 そして今は、帽子コーナーを見ている。う


「あっ!これ、可愛い!」


「おっ、うさ耳の帽子か」


「ど、どうかな?似合うかな?」


「ああ、超絶的にな。可愛いと思う」


「はわわっ……!超絶的って……!」


「アワアワしている綾も可愛いな」


「あ、あぅぅ……!」






 ショッピングや散策をし、消化したので、アトラクションに乗る。


「わぁー!?と、冬馬君!?」


「フハハ!回れ!もっと早く!」


 ……少し、調子に乗ってしまった。

 なんか、コーヒカップってテンション上がるよな。


「す、すまん!」


「う、ううん!大丈夫!私、こういうのには強いから!」


 綾が目を回したので、ベンチに座っている。

 俺としたことが……!つい楽しくなってしまった……!


「いかんな……反省だ」


「ふふ……冬馬君でも、あんな感じになるんだね」


「いや、俺もまだまだだな」


「私は、ああいう冬馬君も好きだよ?子供っぽいというか……いつも、余裕ある感じに見えるのも好きだけどね」


「そ、そうか」


「えへへ、そういう照れた顔も好き。可愛いし……私だけに見せる顔な気がして」


「おいおい……綾の誕生日だというのに、俺を喜ばせてどうする?」


「えへへー」





 そして、再びアトラクションに乗る。


 水がかかるやつや、洞窟を船で探検するやつなどだ。


 3時を過ぎ人が増え始めたので、そろそろ帰ることにする。


 その前に、最後に綾のリクエストに応えることにする。


 ……まあ、定番中の定番だな。


「わぁ……また、叶ちゃった……観覧車」


 そう、恋人の定番中の定番の観覧車である。

 隣に座り、しばらくの間、静かに外を眺める。


「さて……」


「と、冬馬君……?」


 そっと肩を抱き寄せる。

 そして、そのままキスをする……。


「んっ……」


「……これでいいのか?」


「は、はい……もう!あの2人ったら!そんなことまで……」


「まあ、そういうな。俺が聞き出しただけだ。綾の理想のデートとやらをな」


「うぅー……私、ほかになに言ってたかな……?」


「あー……まあ、色々とな……」


「はぅ……!は、恥ずかしいよぉ〜……」


「いや、いいんじゃないか。女の子なんてそんなものだ。麻里奈なんか、あれだぞ?いつか、王子様が現れるのを待っているんだぞ?頭も良くて優しくてかっこよくて、私にぞっこんで一途で、家族や友達を大事にしてくれる人……そんな奴いるかいな」


「えぇーー!?え?あれ?もしかして……」


「ん?どうした?」


「ううん!……冬馬君って自覚ないんだ……」


「はい?」


「ううん!私の彼氏は素敵な王子様だよ!」


「いや、王子ってガラじゃないだろうよ……」


 その後何故か、綾はご機嫌の様子だった。


 そして観覧車を降りてみると……。


「やっぱり、混んできたね」


「だな。じゃあ、帰るとするか」


「そうだね。名残惜しいけど……」


「なに、また来れば良いさ。これから……長い付き合いになるんだから」


「え……?そ、それって……」


「俺は、そうホイホイ好きになるタイプじゃないからな。おそらく、綾を好きなままだろう。となると、長くはなると思う……綾にフラレなければな」


「あ、そういう……でも、嬉しい。わ、私だって好きだもん!ずっと一緒にいたいです……」


「なら、俺はそう思ってもらえるように、これからも精進しなくてはいけないな」


「わ、私も……!」


 何やら両拳を握りしめ、フンスフンスしている……可愛い。

 何か、気合いでも入れている感じだな。


 俺達は人混みに逆らいつつ、なんとか遊園地を出る。


「フゥ……ギリギリだったな」


「そうだね……あのね!これからのプランはあるのかな!?」


「ん?いや、ここからは綾のリクエストに応えようかと思っていた。もちろん、何もなければ一応用意はしてある」


「じゃ、じゃあ、う、うちに来ませんか?ゲームとかしたいです!」


「何故、挙動不審なんだ?……ああ、昨日のメールはそれか。携帯ゲーム機を持ってきてって書いてあったな」


「うん!そういうこと!じゃあ、行こう!」


 俺は綾をバイクに乗せ、綾の家に向かうのであった。










 ……なのだが、どうしてこうなった?


「と、冬馬君……これ……さ、触っても良い?」


「待て待て!それはマズイ!今はマズイ!」


「で、でも……こんなになって……苦しそう……」


「いや、だが、しかし、あのな……」


「わ、私だって、冬馬君に色々してあげたいもん!」


「綾……」


 ……何故、こうなったのだ?


 落ち着け!俺!


 俺はこの家に着いた時から、今までの出来事を思い出してみる……。

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