第30彼氏が出来ました~清水綾視点~

 今、私は幸せの真っ只中です。


 だって……吉野君と付き合えたから。


 告白までしてくれて……か、可愛いって……!


 どんとこいって言っちゃったけど、どうしよう!?


 ど、どうなっちゃうんだろ……?


 そ、それは興味ないと言ったら嘘になっちゃうけど……。


 まだ、早いというか、心の準備が……キャーー!!


 ……落ち着こう……うん、吉野君は無理強いはしないだろうし。


 ……エヘヘ……こうやって考えてるだけで、こんなに幸せな気分になるなんて……恋するって……か、彼氏できるって凄いんだね!





 次の日にすぐ会いたくてメールしたら、同時にメールがきて会えないか?って……。


 もう、布団の中でゴロゴロして悶えてしまいました……!


 電話までしてくれて、なんと初デートの約束まで……!


 しかも吉野君は、私が何か言いたげにしているのを察してくれた……!


 その結果、バイクで迎えに来てくれることに……!


 もう!好き!大好き!……恥ずかしくて言えないけど……。






 次の日がきて、デート当日になったのだけれど……。


 服が!服が決まらないよー!可愛いって思ってもらいたい!


 ……そ、それで吉野君にドキドキしてもらいたいもん……。


 ……でも、まさか直接可愛いと言われるとは思ってなかったので、私の方がドキドキさせられちゃった……。


 さらには……呼び捨てにされちゃった……なんだろ?これ?身体が熱いのかな?


 私は冬馬君っていうのが、精一杯でした。


 ……うーん、どうしたらドキドキしてくれるかな?


 でも、冬馬君もドキドキしてるって……!


 ……恥ずかしいけど、試してみようかな。


 バイクに乗った際に、思いきり抱きついてみました!


 昨日本でみたら、これで男の人が喜ぶって……!


 恥ずかしいけど、冬馬君にならいいもん!



 バイクを降りてから、とても嬉しいことがありました。


 大事だって……好きだって……大切……心臓壊れそう……!


 何より嬉しかったのは、手を繋げたことでした!


 しかも、冬馬君が察してくれたのです!


 もう、私の胸は高まりっぱなしです……。


 そこから、冬馬君行きつけ場所に行きました。


 本屋さんに行って、嫉妬してしまったり。


 喫茶店に入って、楽しくお喋りしたり。


 さらには、スマートに会計まで……!


 あれには、びっくりしました!全然気づかなかった……。


 カッコイイ……しかも、カッコつけさせてくれって……カッコいい……。


 さらには、歌も上手いことが判明しました!


 もう、私はメロメロになってしまいます……。





 そんな私ですが、あることで悩んでいます……。


 それは、デートから翌日のことでした。


 愛子と加奈と遊ぶことになりました。


 私達はいつものように、ファミレスでお喋りをしていました。


 愛子と加奈の好きところは、騒ぎすぎないこと。


 2人共、マナーっていうのかな?常識あるから付き合いやすいです。


 あんまり、公共の場でギャハハ!!とか騒ぐのは良くないと思っています。


 割と静かに喋れるのが、心地いいと思っています。


 そして、その時にこんな会話がありました。




「でさー、最後の夏なわけじゃん?何かないのー?」


「私は勉強よ。良い大学入って、良い男をつかまえるわ」


「マジかー、アタシは行きたいけど頭よくないしなー。2人は学年トップテンに入るくらいだし、今年の夏は勉強か」


「そうね。綾なんか、苦手だった国語が上がって学年で2位よ?もう、敵わないわ」


「そんなことないよ。愛子だって、今からでも間に合うし。加奈だって、5位だけど点差は大してないよ」


「くぅー、相変わらず良いこと言うな」


「そう……まあ、そうね」





 とまあ、そんな会話があったのです。


 私はその時に、思ったのです。


 あれ?冬馬君と付き合ったことは言っても良いの?と。


 私は、皆に自慢したいんだけど……こんなカッコいいんだよ!って。


 でも、冬馬君は目立ちたくはないはず……。

 自分でいうのもアレだけど、私と付き合ってることがバレたら迷惑なんじゃ……。

 いや、きっと優しい冬馬君は迷惑だなんて言わない。

 けど、今までの学校での生活は一変しちゃう……。


 ……どうしよう?

 聞いてみていいのかな?

 でも、聞いた時点で、冬馬君は気を遣いそう……。


 私は登下校一緒とかに憧れてたから、できれば皆に知らせたい。

 後、お弁当一緒に食べるとか……。


 嬉しいことに、冬馬君は私のこと大事だって言ってくれた。

 だから、頼めば平気だとは思う。

 でも、それに甘え過ぎるのは違う気もする……。


 だって冬馬君にだって、自分のしたいことがあるもん。

 ……うーん、とりあえず夏休みの間は秘密にしとこうかな?

 それで、夏休み終わる頃にどうするか決めよう。


 今は、この夏休みを楽しもう!


 だって明日は、いよいよ冬馬君の部屋にお邪魔するのです!


 は、初めての男の子の部屋……それも、大好きな人の……。


 今から、ドキドキしています。


 な、何かされちゃうのかな?


 べ、別に嫌じゃないけど、早いっていうか……。


 き、キスくらいなら……はぅ。


 でも、お父さんと妹さんもいるって言ってたし……。


 結局その日の夜、私は中々寝付くことができませんでした……。

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