レーマ帝国の軍事組織

〇軍の種類

 レーマ軍には成立母体ごとに次の五種の軍が存在する

近衛軍プラエトリアニ【PRAETORIANI】

野戦軍コミターテンセス【COMITATENSES】 

辺境軍リミタネイ【LIMITANEI】

支援軍アウクシリア【AUXILIA】

同盟軍フェデラーティ【FOEDERATI】


近衛軍プラエトリアニ【PRAETORIANI】

 レーマ本国を防衛する軍隊であり、執政官コンスルを最高責任者として近衛長官プラエフェクトゥス・プラエトリイの指揮下で活動する。元老院セナートスに忠誠を誓っている。

 四個の軍団レギオーと一個の艦隊クラッシスから成る。


野戦軍コミターテンセス【COMITATENSES】

 レーマ帝国の軍隊で皇帝インペラトルの指揮下にあり、主に対外戦争を担う。

 大きく分けて三つの方面軍から成る。


西部方面軍コミターテンセス・オクシデンタリス【COMITATENSES OCCIDENTALIS】

 対啓展宗教諸国連合の防衛を担うかつてのレーマ帝国軍の主力軍。

 現在も名目上の主力軍ではあるが、大協約成立後は連合側との軍事衝突の懸念はかなり薄まったため、大戦争時代にくらべかなり戦力を減らされている。

 現在は対啓典宗教諸国連合防衛を名目にチューアに対して北方からにらみを利かせるのが役目となっている。

 六つの軍団レギオーと二つの艦隊クラッシスから成り、他に二つの支援軍アウクシリアを指揮下に置いている。


東部方面軍コミターテンセス・オリエンタレム【COMITATENSES ORIENTALEM】

 東方への帝国版図拡大支援を主任務とする方面軍。版図拡大に成功すればそのまま領主となれる可能性があるため、勢力拡大を狙う上級貴族パトリキや立身出世を狙う下級貴族ノビレスの子弟に人気があり、三つの方面軍の中でもっとも活力に溢れている。

 三個の軍団レギオーと四つの艦隊クラッシスから成り、さらに五つの支援軍アウクシリアを指揮下に置いている。


南部方面軍コミターテンセス・メリディオナリス【 COMITATENSES MERIDIONALIS】

 南方への帝国版図拡大支援を主任務とする方面軍。

 だが、実際にはチューアに対して東方からにらみを利かせるのが主な役割であり、本来主任務であるはずの対南蛮戦はサウマンディア属州およびアルビオンニア属州の辺境軍リミタネイに丸投げしてしまっている。

 主任務である対南蛮戦を考えれば主力はアルビオンニア属州に居なければおかしいが、兵力の大部分を赤道付近のオリエネシア属州に配置しており、対南蛮戦を戦ったことはほとんどない。

 八個の軍団レギオーと二つの艦隊クラッシスから成り、さらに四つの支援軍アウクシリアを指揮下に置いていて、三つの方面軍では最大の戦力を誇る。


辺境軍リミタネイ【LIMITANEI】

 属州および各自治領の領主によって地方防衛を担うために編成された軍隊で、編成した領主の指揮下にある。

 規模や編成は領主の実力次第でまちまちであり、複数の軍団レギオーを保有する属州もあれば歩兵隊コホルスとは名ばかりの小部隊だけしか保有していない領主もいる。


支援軍アウクシリア【AUXILIA】

 実質的傭兵部隊。基本的に野戦軍コミターテンセスに属しており皇帝陛下インペラトルに忠誠を誓っている。

 規模、編成はまちまちである。


同盟軍フェデラーティ【FOEDERATI】

 レーマ帝国以外の国、あるいはチューアや藩王国の軍隊。

 一般には支援軍アウクシリアと同じように扱われる。


〇主な兵科

重装歩兵ホプロマクス【HOPLOMACHS】:充実した装備で戦列を組んで戦う兵科。


軽装歩兵ウェリテス【VELITES】:機動力を重視した軽装で散兵戦術で戦う兵科。


擲弾兵グラナディウス【GRANADIUS】:投擲爆弾グラナートゥムを敵陣に投擲する兵科。

 投擲兵フンディートル【FUNDITOR】と呼ばれていた時期もあった。

 投擲爆弾グラナートゥムの取り扱いがまだ難しかった頃の特技兵だが、現在は誰でも簡単に扱えるようになったため専門職としての擲弾兵グラナディウスは廃止され、擲弾兵グラナディウスの任務は軽装歩兵ウェリテスが担うようになっている。


砲兵トルメンタ【TORMENTA】:大砲や投擲機による遠距離攻撃を専門とする兵科。


騎兵エクィテス【EQUITES】:馬に騎乗し、機動力を活かして遊撃的に戦う兵科。


水兵ナウタ【NAUTA】:海軍で船に乗って戦う兵科。


警察消防隊ウィギレス【VIGILES】:地域の治安維持や消防活動を行う。

 軍団レギオーでは新兵を中心に編成され、訓練の一環としてパトロールを行う事が多い。

 軍団レギオーが常駐していない地域では軍団兵レギオナリウスではない領主の私兵が専任の警察消防隊ウィギレスとして活動している。特に街道沿いに設けられた中継基地スタティオや地方に駐在している警察消防隊ウィギレス騎士エクィテスの称号を持っていなくても、特別に騎乗の資格が与えられ、馬に乗って任務に就くことが多い。


従軍奴隷ガレアトゥス【GALEATUS】:軍人の身の回りの世話を焼く奴隷。

 正式な兵科ではないし軍人でもない。

 近年は少なくなっているが軍人の中には奴隷を所有している者もいる。そういう軍人たちが自分の生活を支えたり雑用をさせるために奴隷を任地や戦場に伴うことがあり、奴隷でありながらガレアを被っていることから「兜被りガレアトゥス」と呼ばれるようになった。

 軍人の見做みなされるため、戦力として使われることは無い。


〇基本的な部隊編成

軍団レギオー【LEGIO】:通常は歩兵レギオナリウス約5000人規模。稀に10000人規模になる。

 複数形は「レギオーネース【LEGIONES】」。

 レーマ帝国軍における最大作戦単位。


騎兵連隊アウクシリア【AUXILIA】:騎兵エクィテス360~800騎から成る部隊。

 複数形は「アウクシリアエ【AUXILIAE】」。

 一つの軍団レギオー内に2個以上の騎兵大隊アラがある場合に編成される部隊。

 昔は騎兵エクィテス軍団レギオーから独立した支援軍アウクシリアとして運用されていたが、諸兵科連合コンバインド・アームズという考え方が《レアル》よりもたらされてからは、レーマ帝国軍正規兵の騎兵エクィテスからなる騎兵連隊アウクシリア軍団レギオーの中に組み込まれるようになった。


歩兵連隊アラレス【ALARES】:歩兵レギオナリウス800~3000人の臨時編成の部隊。

 複数形は「アラリイ【ALARII】」。

 2個以上の歩兵大隊コホルス軍団レギオーから分派して運用する際の臨時編成部隊で、2~5個の歩兵大隊コホルスによって編成される。

 指揮官は連隊長トリブヌス・アングスティクラウィウスと呼ばれるが、臨時編成部隊であるため指揮官職も常設ポストではない。軍団幕僚トリブヌス・ミリトゥムが随行している場合は軍団幕僚トリブヌス・ミリトゥムが指揮する。軍団幕僚トリブヌス・ミリトゥムが随行しておらず、第一大隊コホルス・プリマが含まれている場合は筆頭百人隊長プリムス・ピルスが指揮するが、それ以外の場合は含まれる大隊コホルス大隊長ピルス・プリオルによって指揮される。


歩兵大隊コホルス【COHORS】:歩兵レギオナリウス約400~500人の作戦単位。

 複数形は「コホルテース【COHORTES】」。

 通常、6個の百人隊ケントゥリアから成る。

 軍団レギオーごとに差があるが各軍団レギオーに6~10個あるのが普通。

 各軍団レギオー第一大隊コホルス・プリマは慣習的に他の歩兵大隊コホルスの2倍の兵力を有し、筆頭百人隊長プリムス・ピルスによって指揮される。

 他の歩兵大隊コホルス大隊長ピルス・プリオルに指揮される。


騎兵大隊アラ【ALA】:騎兵エクィテス約90~200騎からなる作戦単位。

 複数形は「アラエ【ALAE】」。

 通常、4個の騎兵隊トゥルマから成る。


歩兵中隊マニプルス【MANIPULUS】:歩兵レギオナリウス約130~350人の臨時編成の作戦単位。

 複数形は「マニプリ【MANIPULI】」。

 指揮官は中隊長プリミ・オルディネスと呼ばれるが、編成された百人隊ケントゥリア百人隊長ケントゥリオが輪番で務める。編成そのものが臨時の物であるため、指揮官職も臨時のもので常設ポストではない。


騎兵中隊トゥルマ【TURMA】:騎兵エクィテス24~40騎からなる作戦単位。

 複数形は「トゥルマエ【TURMAE】」。

 通常、3~4個の騎兵小隊デクリアから成る。

 指揮官は輪番制で騎兵中隊トゥルマに含まれる騎兵小隊デクリア小隊長デクリオが交代で務める。

 

百人隊ケントゥリア【CENTURIA】:歩兵レギオナリウス約60~80人の基本作戦単位。

 複数形は「ケントゥリアエ【CENTURIAE】」。

 通常、10個の十人隊コントウベルニウムから成り、員数外の1人の百人隊長ケントゥリオによって指揮される。

 百人隊副長オプティオ連絡将校テッセラリウス百人隊旗手シグニフェルラッパ手コルニケンなどの下士官が付いて百人隊長ケントゥリオを補佐する。

 百人隊長ケントゥリオは輪番制になっており、複数の百人隊ケントゥリアを他の百人隊長ケントゥリオまたは百人隊長補コルニクラーリウスと定期的に交代していく。


騎兵小隊デクリア【DECURIA】:騎兵エクィテス6~10騎からなる作戦単位。

 複数形は「デクリアエ【DECRIAE】」。

 騎兵の最小作戦単位。

 騎兵小隊デクリアに含まれる小隊長デクリオによって指揮される。


十人隊コントウベルニウム【CONTUBERNIUM】:歩兵レギオナリウス6~8人から成る最小作戦単位。

 複数形は「コントゥベルニア【CONTUBERNIA】」。

 戦地においては一つのテントで共同生活するため「テント組」と訳されることもある。

 十人隊コントウベルニウムに含まれる一人の十人隊長デクリオによって指揮される。

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