第49話
「おい、真治起きろ。宮本が凄い形相でお前の事、睨んでるよ」
その言葉の主は…何と志帆だった。
俺は、頭が混乱した状態で起き上がり、後ろの志帆に顔を向けた。
「よーし、真治やっと起き上がったか。では、この数式、解いてみろ」俺は、志帆の顔を確認しながら
「…ん、ここは!?…ケ、圭吾は、どうした?」俺の言葉に、志帆は不思議そうな顔をしながら
「…圭吾!?…誰、それ?」と、返してきた。
俺は、訳が分からず「ほら、あの天才の圭吾だよ!俺と志帆と圭吾で、保育園から一緒で仲良かっただろ?」
志帆は、又も不思議そうな顔をしながら 「…何、言ってるの、真治!私と真治は、保育園から一緒だけど圭吾なんて私知らないし、居なかったじゃん」
「そ…そんな!?」
俺は、現実が良く理解出来きず、取り敢えず辺りを見回してみる事にした。
そこに居たのは、俺が全く知らない奴等だった。志帆こそは本物だったが、担任の宮本も知らないヤツだった。
知らない奴等というよりも、俺だけ知らない空間の中に居る様な感じだった。
その時、俺はあの時の俺の祖父に似た初老男性が、圭吾の名前をこう呼んで居た事を思い出した。
「ケイゴ・ア・ファントム」
〈圭吾・ア・ファントム〉
〈圭吾・は・まぼろし〉
圭吾は幻…!?ファントムは直訳すると幻だ。
俺は、初めてこの時圭吾なんて人間は初めから存在して居なかった事を知った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます