第48話

 だが、変化は無かった。

 「何、やろうとしてんだよ。真治…お前、頭悪いからこの世界に居ても、何も良い事無いだろ?」

 圭吾の言葉に俺は「別に、頭悪くても俺はこの世界を楽しく生きてるんだよ。俺が、今まで出会ってきた奴等はお前も含めて、皆良い奴だった。俺は、これからそういう奴等に恩返ししたい。勿論、お前の事も救いたいんだよ」

 しかし、圭吾は俺の言葉に耳ともせず、俺の頭上に剣を振り翳そうとしてきた。

 これも、あの世界での出来事と全く一緒だった。

 その時、俺は制服のポケットに手を入れると薬草が入っている事に気が付いた。

 それは、あの俺が行きたかった世界でアクビが俺にくれた物だった。

 〈この薬草を嗅ぐと、嫌な事を忘れられるよ〉

 あの時の、アクビの言葉を思い出した俺は、無我夢中で薬草の匂いを嗅いでみた。   ____ すると…!?

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