第42話

 「おい、真治起きろ。宮本が凄い形相でお前の事、睨んでいるぞ」


 その言葉に俺は、ハっと起き上がった。そして、教室の視線は一斉に俺に向けられている事が分かった。


 「やっと、起きたか。よーし、真治。この数式、解いてみろ?」俺は、状況が理解出来て居なかった。

 〈何だ…さっきまで、あの世界に居たのに!?もしかして、夢…だったのか?〉  「真治、聞いてるのか?」担任の宮本の言葉も、俺の頭には入ってこない。

 〈〈ズキッ〉〉その時、あの世界で圭吾に殴られた俺の左頬が痛みだした。

 〈夢…じゃ無い!?〉

 でも、さっき、声掛けたのは圭吾!?…俺は、斜め後ろの席の圭吾に顔を向けた。  「何、惚けた顔してるんだよ、真治。宮本が呼んでるぞ」

 そう、声を掛けた圭吾はいつも通りの圭吾だった。

 「もう良い。では、圭吾お前が解いてみろ」

 「それは、〇〇になるから答えは〇〇ですね」

 「うむ、正解だ」…それは、あの時と全く同じ会話だった。

 そして、授業が終わった帰りに俺は、圭吾に声を掛けられた。

 「真治、良かったら一緒に帰らない?ウチに面白い物が在るんだ。後、志帆お前もちょっと付き合ってよ」

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