229話 決着

空の半分が光り輝き、半分が闇に染まる。


雷が鳴り、大地が揺れる。


まるで伝えきく神話の戦いのようだ。


「…………」


「…………」


その中、二人だけが静かに武器を構える。


そして——示し合わせたかのように。


「「ハァァァァ!」」


同時に動き出す!


奴が上端の構え、俺は居合の態勢のままに!


「光に呑まれろ——アレスゥゥゥ!!」


「闇の中に消えろ——ターレス!!」


上段から振り下ろされる光の剣と、居合から解き放った闇の刀が衝突する!


「グヌゥゥゥ!」


「チィィ!」


どちらも下手な作戦を要することなく、真っ向勝負のぶつかり合い……。


激しい衝突音と、荒れ狂う風が吹き、その余波で身体中が痛みに悲鳴をあげる。


「どうした!? 鎧が剥がれてきているぞ!?」


「そっちこそ! 翼が千切れかけてるがな!」


「ククク……ふはは!」


「ハハ……あはは!」


身体中からアドレナリンが出る。


「もっとだ! もっと力を寄越せ! 女神よ!」


「龍神よ! 俺に力を貸してくれ!」


その瞬間、拮抗していた衝突が——突如終わりを迎える。


「グヌゥゥゥ!?」


「ここだっ!! 黒き炎刃よ 敵を討ち滅ぼせ——黒龍炎刃!」


ありったけの力を込めて、刀を振り抜く!


「ガァァァァア!?」


「朽ち果てろ! ターレス!」


俺も力を使い果たし、もう刀を振るうことはできない。

龍神の鎧は剥がれ落ち、翼も半分もがれている。


「ふははは! 甘い! いくら神を殺す刀だとしてもそれよりも早い速度で再生をすれば——ぁぁ? 何故だ? ァァァ!ァァァ!」


奴の再生速度を上回って、黒炎が燃え上がる!


「ハァ……ハァ……き、貴様は、俺を器ではあるが、龍神の血を引いていないと言ったな? だから、聖女の血を流す自分のが神の力を扱えると……」


「ァァァ! そうだアァァァ! なのに何故お前に負ける!? 何故……再生できナィイィイ!」


「そ、それは……簡単な話だ……ゴホッ! ゴホッ! 。お前は女神を……いや、全ての人を操ろうとした」


「全てのモノは愚かだァァァ! 支配してやらないとならナィィ!」


「い、一理あることは認める……だが、それでは停滞するのみだ……前に進むためには、例え痛みを伴ってでも……信頼する者と共に前へと進む……少なくとも、俺はそう生きる」


「あ、甘いィィ、貴様は甘すぎる……! その報いは、いずれ違う形で……ぁぁァァァァ」


そう言い残し、奴が塵になって風に舞う。


わかってるよ、そんなことは。


だが、未来のことはわからない。


もし、その時が来たなら……また、全力で対処すればいい。



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