227話 空中戦

 ……しかし、このままではまずいか。


 こいつがその気なら、いつでも皇都を破壊できるということだ。


 統治する気もなく、この大陸の結界を破壊出来れば良いのだから。


 何より……もう、この場所も保たない。


「全員避難しろ! 城が保たない!」


「あ、アレス様は!?」


「俺は奴を連れていく!」


 俺自身、本気を出すと皆を巻き込んでしまう。


 故に、翼に意識し、羽を広げる。


「はあっ!」


「ぬっ!? 速い!」


 そのまま奴に体当たりをして、空へと引き上げる!


「ほほう? 空中戦か、良いだろう!」


「皆! 巻き添えを食わないように! 」






 そのまま皇都を離れ……空の上で対峙する。


「クク、相変わらず甘い奴だ。民や仲間のことを気にかけているとは。何もかも手に入れ守ろうとは……お主の方がよほど傲慢にみえるが」


「俺はそれで良い。もう二度と大切な人を悲しませたくない」


「では、私が悲しみを味あわせてやろう——お主を殺すことで!!」


 奴が剣を構える。


「それは……それが女神を吸収したという剣か?」


 俺のは東洋の刀ベース、奴のは西洋の剣がベースだ。


「そうだ、私のは神の力を吸い取る剣だ。貴様のは殺す剣……さて、どうなるか」


 俺も刀を構えて……。


「すぅ……」


「フハハッ! こい! アレスよ!」


 まずは上の二本の腕が邪魔だ!

 一気に距離を詰め——下段から居合斬りをかます!


「滅せよ! 黒炎刃!」


「グヌゥ!?」


 奴は避けきれずに、二本の腕が炭化する!


「これで再生はできないな」


「グヌゥ……速さはやはり、お主のが上か」


「それもある。しかし四本あるということは、それだけ隙も多いということだ」


 本来の人間は四本腕ではない。

 四本を操るということは、本来の動きが出来ないということにもなる。


「ふむ……では、私がカイゼルより強いということを見せてやろう」


「……なに?」


「どうする? このまま剣を交えるか?」


「……いいだろう、聞き捨てならないことを言ったからな」


「ふんっ!」


「セアッ!」


 接近した状態で剣を交える!

 上下、右左と、刀と剣が撃ち合う!


「さすがだっ! 私についてこれるとは!」


「ちぃ! 満更でもないか!」


 俺の剣が柔なら、奴は剛だ。

 一発一発が重たく、腕に痺れが来る。

 ……カイゼルに近い剣技だ。


「奴とは歳が近い故に、師が同じだ。直接戦ったことはないが、若かりし頃共に戦場を駆けたことはある」


「……ならば、俺が証明するしかないか」


「やってみるがいい!」


「黒炎よ! まとえ!」


「光よ! まとえ!」


 光の剣と、闇の刀が激しく交差する!


 ……もってくれよ! 俺の身体よ!

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