225話 龍神

ぁぁぁ?


ぁぁぁァァァ!?


苦しいぃ……身体が焼ける……!


ここはどこだ!?


俺は何だ? 俺は誰だ?


「アレス様!」

「ご主人様〜!」

「主人殿!」

「主君よ!」


……何か聞こえる?


誰かの声が……。


アレス? それは誰だ?


すると……あれほど苦しかったのが和らいでいく……。


「……俺か」


「ほう? 耐えたか」


「……ああ、何とかな」


「龍神をまとったか。漆黒の鎧、漆黒の翼、漆黒の尻尾、頭には銀の角、そして髪も漆黒か……何より、《随分と無茶をする》。己の体を作り変えたな? 見た目が二十代くらいになったぞ? それどころか、顔つきが変わったくらいだ」


そうだ……あの龍神との会話で、俺の体は成熟してないと言われた。

故に、意識した……耐えられる身体にまで成長しろと。

たとえ、この戦いで朽ちようとも……奴を殺せなければ、どっちしろ明日はない。


「仕方ない。お前を倒すためにはな。俺の大事な人達を殺そうとするお前を生かしてはおけない」


「クク、違いない。さて、そろそろ御託はいいか。お互い、長くは保たないだろう——死合うぞ!」


そう言い、俺の視界から消える!


「すぅ——ハァァァァ!」


右方向に裏拳を打つ!


すると、上の二本腕でガードしている。

どうやら、パワーは俺のが上のようだ。


「フハハッ! 見えてるか!」


「無論だ!」


「そうでなくては! だが、私の腕は四本ある!」


下の腕が動き出すが……。


「問題ない!」


俺の尻尾が自動で動き、ターレスの下の両腕に巻きつく。


「なに!?」


「やれ!」


その言葉に応え、尻尾が動き——ターレスを地面に叩きつける!


「グヌゥ!!」


「死ね」


空いている両手に力を込めて……。


「させるかァァァ!」


「チッ!?」


上の両腕から光線を放たれ、俺は咄嗟に後ろに飛ぶ!


「クク、ちょっと焦りすぎではないか? もう少し楽しもうぞ」


「勝手に楽しんでろ。俺は一刻も早く貴様を殺す」


やはり、四本腕が厄介だな。

片方を封じても、もう片方が仕掛けてくる。


「まあ、そう言うでない——次はこうしよう」


上空に、数えきれないほどの光の槍が出現する。


「良いだろう——こい」


「フハハッ! どうするか見ものだな!」


それらが、俺に対して一斉に降り注ぐ!


「龍の門よひらけ! 龍の咆哮ドラグキャノン!」


胸の部分にある龍の口が開いて、レーザーが放たれる!


それらが、光の槍を打ち消していく。


「……何と、全部打ち消されるとは」


「どうした? 次はこちらからいくぞ」


ようやく、この身体にも慣れてきた。


本番はこれからで、ここからが勝負どころだ。




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