208話 突入

カイゼルをコリン先生に任せ、元の通路へ向かい……。


ターレス達が出てきた扉の前に立つ。


「ねえ、今更なんだけど城から行かないの?」

「ああ、城から行くと民を巻き添えにしてしまうかもしれない。そうでなくとも、城下町で戦いになれば不安になるだろう」

「そういうことね。ふふ、やっぱり和馬さんの魂なのね。そういう気配りを、よくしてくれたって仕事場の人が言ってたから」


……ああ、俺の葬式の特に会ってるのか。

彼らにも悪いことをした。

俺ごときが抜けたところで社会は回る。

しかし、仕事に穴を開けたのは間違いない。


「そうか……帰ったら伝えておいてくれ。すまなかったと……そして、俺は俺で元気にやってると」

「ダメよ。お父さんとお母さん、それに友達や仕事の人に手紙書いてね。それを渡すのは頼まれてあげる。それが誠意ってものてしょ?」

「……ははっ! 結衣に説教されるなんてな!」


そうか、容易く女神を信じたり、流されたりしたが……。

きちんと成長しているんだな。


「な、なによ? あんたは和馬さんの魂持ってるんだから……ダサい真似したら承知しないわ」

「ああ、肝に命じておくよ」


ちなみに、俺と結衣が話していると、みんなは空気を読んでくれる。

なるべく、二人で話せるように……時間が限られているから。





作戦を確認し、場内に侵入する!


そして、すぐに……敵兵が現れる。


「ガガァァア!」

「ァァァァガァ!」


ターレスの私兵達か!


「カグラ! 蹴散らせ! 遠慮は入らん!」

「任せるのだ——主人殿の邪魔をするなぁぁぁ!!」


先行して大剣を振るうたびに、敵の四肢がちぎれ飛んていく!

ここは一撃の威力と、体力お化けのカグラに任せる。

彼女ならば、この程度で疲れることはない。





その後、敵を排除しつつ……。


「御主人様! ターレスはどこにいますかね!?」

「奴は逃げない! 隠れない! つまり——玉座の間にいるはずだ!」

「では、僕が補佐をしつつ向かいましょう」

「オルガ、任せた。カグラを手伝ってやってくれ」

「御意」


俺は二人に振り返り……。


「セレナ、結衣、お前達は魔力を温存してくれ。おそらく、総力戦になる」

「はいっ! サポートは任せてください! さっき、結衣ちゃんとも確認しましたし」

「え、ええ……あんた、こんな良い子いないわよ? 散々だった私に対して、この子ったら全然優しいんだもの」

「ああ、知ってる。俺の惚れたところだ」

「は、はぅ……」

「はいはい、ご馳走さま」


さて……敵は勇者、ハロルド、サスケ殿、エルバ。


そして、ターレスとその側近か。


六対六か……もう少しこちらに戦力が欲しいところだ。

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