188話 女神戦 2

……首を落としたが……。


「……血が出ない?」


「ふふ、やりますね」


「なっ!?」


後ろからの声に、すぐにその場から飛び去る!


「……首だけで話してる……バケモノめ」


「バケモノではありませんよ——女神です」


すると、胴体が移動して……首を拾う。

そして、そのまま首と胴体が繋がる。

まさか、首を落として生きてる生き物がいるとはな。


「さて、どうしたものか」


「ふふ、手はありますよ? 邪神の分体を出すことです。かの者の力を出せば、私にもダメージを負わせることが出来るかもしれませんね」


「……まだ始まったばかりだ」


「ふふ、いいでしょう——少し遊んであげましょう」


次の瞬間——奴の姿が消える!

ヒュン、ヒュンと……気味の悪い音だけが聞こえる。

音がする……?


「ならば、神だろうが消えるわけではない——そこかっ!」


後ろを振り返り、魔刀を叩きつける!

すると……アスカロンで魔刀を防御したやつの姿があった。


「……やりますね。それに、今更ですが……何ですか? その刀は? 神器アスカロンと打ち合えるとは」


「本当に今更だな。これは、お前を殺すための刀——神殺しの魔刀だ」


「……まさか……生き残りがいた? 教皇に頼んで、あの一族は滅ぼしたはず……」


気のせいか、奴の顔から余裕がなくなったようにみえる。

……なるほど、そうなのか。

詳しくはわからないが、カエラの一族が迫害されていた理由……。

やはり、女神が関係していたのか。


「どうやら、お前にとっても予想外だったようだな? 女神と言えども、万能ではないらしい」


「……いえ、少し驚いただけですよ。それに、斬られましたが問題ありませんでしたし。どうやら、気にすることはなさそうですね」


確かに、首を落としたが……ダメージを負わせることはできなかった。

この魔刀の力を、最大限に発揮できれば……。

俺が力に飲まれずに、これを完璧に扱うことができたなら……。


(パパ! 出るよ! 僕が手伝えば、その魔刀だって扱えるよ!)


(クロス、出なくて良い。奴の狙いはお前だ)


(でも、今のパパじゃ……)


(わかってる。今の俺では勝てないだろう……だが、アレはとっておけ)


(……アレには制限があるもんね)


(ああ、そうだ。あいつは油断している……ここぞという時を待つんだ)


「ふふ、話し合いは終わりましたか? どっちにしろ、貴方を殺せば済むこと。影にはいられないし、使徒を失った邪神など敵ではありません」


「さて、どうかな?」


……せめて、この体でダメージを負わせることができれば……。


俺は気を引き締め、刀を鞘に納めるのだった。

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