第55回 夏目さん、変わっちまったな。

夏目とのコラボNGを防ぐために、ツブヤイッターで、夏目と連絡を取っていた。

しかし、コラボ配信での発言量が少なくなったため、コラボ配信に戻ってきた。


卑弥呼は、何かに気付いているか。

―――‐俺を睨みだしている。


さすがに夏目に気を取られすぎたか。

幸いなことだが、夏目リスナーがこの枠に変なコメントを匂わせるコメントを打っていない。


「豆君さ、さっきから話さないでさ。カタカタうるさいんだけど。

裏でなにかやっていない?」

すこしイライラしているためか、早口になっており卑弥呼は冷静な感じではなかった。


俺の卑弥呼レーダーは卑弥呼が怒り100%モードなのを指し示している。

残念ながら、卑弥呼は、妙なところで鋭い。

そのため、変な嘘をついたら、首絞めルートになる可能性が高い。


「同期の夏目と角さんで次の企画の話し合いしていました。

夏目が緊急で対応しないとコラボ配信がなくなるというからです。

裏で返答をしていました。

せっかくのコラボ配信なのにすみません。」

冷や汗を垂れ流しつつ、冷静になろうとしている。



嘘は一部混ざっているが、7割近くは真実であるため信じてもらえると思える。

そうじゃないと、いやなんですけど。

卑弥呼はコミュ障であるため、仮に真実の裏付けを行いたくても、夏目には聞けないのである。


「仕事か。癪にさわるけど、しょうがないね。」

おそらく、卑弥呼は少し納得しているためか

―――怒りはすこしおさまっているみたいだ。


完全に怒りが収まっていないために安堵しきっていないが。

それでも、RPGで、難所を超えてセーブしたくらいには安心しているが、ラスボスである卑弥呼は正直強すぎるから困るんだよね。


――少し安心したら、夏目からリプが来た。


★夏目のリプ欄

嘘がお上手ですね。

ちなみに煽っていないですよ。

卑弥呼様に連絡しませんから、安心してね。


煽っていないからねという一文が既に煽っているんだよね。

わざと打っているよね。

夏目さんは、頼れる同期だったのに、頭のおかしいひみ民になって、俺の邪魔を喜んで行っている。



――夏目さん、変わっちまったな。


俺は、卑弥呼に魔改造されてしまったモンスターにこれしか言えない・・・

その無力な自分に情けない気持ちでいっぱいになっており絶望している。


絶望している俺に対して、卑弥呼が寂しそうなペットの犬のように視線で訴えてくる。


「我、さびしいな。かまってくれないのってさ。

仕事だから、しょうがないよね。」

夜に仕事から帰ってくる旦那を待っているように卑弥呼は言ってしまった。


卑弥呼様、そんな言い方は卑怯ですよ。

ひみ民が暴走して収集がつかなくなりますよ。

実際に、目の前のパワー系ひみ民と目を合わせられないんですけど・・・

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