第9回 ミュートは絶対に忘れるなよ 絶対にだぞ。


コースが決まり、レース開始となる。


「ここは、我の得意なコースじゃん。負けないからね。」

卑弥呼様は息巻いている。


「卑弥呼様、正々堂々と戦っていきましょう。」

俺はにこやかに笑って、返した。


絶対に、卑弥呼様と正々堂々戦いたくないよ。

勝ったら、生死さまようくらい首絞めてくるんでしょう。


ロード画面が終わり、審判がスタートのタイミングを取っている。

普通なら、スタートダッシュでタイミングを取っていくのだが。


俺たちは違う。

その意識の違いが、以下の瞬間で分かる。

卑弥呼様はもちろん、全員がスタートダッシュを失敗させた。


コメント

:スタートダッシュ全員失敗は草。

:これが団結する力なんだね。

;すげーよ。おい。これ切り抜かれるぞ。

:ここまでくれば、感動するわ。

:本気で勝たせるつもりで草。


コメントを見て、シュールすぎることに気付いてしまった。

いつもならこれで笑っているのが、今回は命がかかっているから笑えない。

でも、みんな守ってくれてありがとう。


そして、俺は動き出す。


「卑弥呼様、くしゃみが出そうだから、ミュートにしていいですか?」

俺は、卑弥呼に尋ねた。


「いいよ。我も集中したいし。」

卑弥呼は了承してくれた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


さっそく、ミュートにし、リスナーと作戦会議を行う。

「おい、聞こえるか。」

コメント

:聞こえている。

:OK

;OK。

:OK

:OK

「どうやら、聞こえているみたいだな。」


「最初の指示は、絶対に卑弥呼様に甲羅とかバナナを当てるな。

バナナはすべて俺が踏んでいくからよ。」

コメント

:お前が優秀に見えてきたよ。指示を出す才能があるんだな。

:バナナ全部踏む(意味深)

;卑弥呼さまに攻撃したら、順位すぐにおちそうだもんね。

:エドワードさん。分かりました。

:なんか、お前が全力で可哀想だわ。


コメントを見る感じ、妨害勢はいなくて安心した。こういった感じのことをすると、アンチや妨害厨が湧くのだが、ありがたいことに湧いていない。

やはり、俺のリスナーもひみ民にも感謝しないとな。


レースも中盤になっており、俺たちの忖度があってか、卑弥呼は12番中2位という好成績を残している。

 ミュートを外して、卑弥呼をほめた。


「さすが、卑弥呼様2位ですよ。このまま、油断しなかったら、高順位ですよ。」

俺は卑弥呼をほめた。

「我もうれしいよ。我らのプレイが下手なせいか。リスナーもプレイ下手だね。」

卑弥呼は嬉しそうに言っていた。

「確かにそうですね。似たようなリスナーが集まりますね。」

俺はにこやかに返事をした。

「あっ、落ちたよ。また、落ちた。」

卑弥呼様は崖に何度も落ちたみたいで、あわてている。

それに伴い、順位も11位となり、俺はとうとう卑弥呼様の順位を抜いてしまった。

「卑弥呼様、話しかけたせいでプレミさせてしまいすみません。」

俺は胃がキリキリしながら謝った

「いいよ。そんなことで怒っていたってしょうがないし。」

明らかにいらいらしながら卑弥呼様は答えていた。


「くしゃみ出そうです。ミュートしますね。」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「おい、おまえら、卑弥呼様の順位が落ちているぞ。

お前ら、すこしペースを落とせ。」


コメント

:ミュート。ミュート。

:あっちに聞こえているぞ

:やばいってこれは。

;ミュートしろ。

:次回、豆、死す。



あっ、ミュート忘れてた。俺の命やばいわ。

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