第4回 厄介先輩に変態発言により頭のおかしいVTUBERとして扱われている


エドワード・マスタングの魂である阪井弘樹は、事務所にて打ち合わせをしていた。


 


 打ち合わせが終わり、休憩室でスマホをいじっていたら、茶髪のショートヘアーの女性が近づいてきた。


 


「阪井君、打ち合わせ終わったみたいね。お疲れ様。」


 茶髪のショートヘアーの女性がゆったりと心地の良い声でしゃべりかけてきた。


 


「葵さんも終わったんですね。今回もボイスの打ち合わせですか?」


 俺は同期である葵さんに労いを伝えた。


 


「まぁ~ね。銀河鉄道の夜の朗読はなかなか喉を酷使するね。でも、いろんな人の癒しになってくれると嬉しいな。」


 葵 ゆうかはにこやかに笑った。


 


 葵 ゆうかのVは、おしとやかでメガネをかけた黒髪ショートの文学少女の夏目 つかさである。彼女のゆったりとした声のトーンは、夏目さんに合っている。


 


「そんなことよりもさ。阪井君の方が大変じゃないかな~。あの卑弥呼さんとコラボするんでしょう?」


 葵さんは心配そうに聞いてきた。


 


「そうですね。かなり胃がキリキリしているんですけど。失礼な態度を取ったら、首とか絞められそうですからね。」


 俺は、苦笑いしながら答えた。


 


「そういえば、卑弥呼さんの配信見たことある?」


 葵さんはふっと聞いた。


 


「1度もみたことないですね。切り抜きで、卑弥呼伝説を見たくらいですね。あと知っていることは、男性Vにきつく当たる芸風なのは知っていますが……」


 俺は少し弱弱しく答えた。


 


「ええ、そうなの。あの人意外に負けず嫌いなのよ。特に年下の男性Vに対して顕著らしい。」


 葵さんは卑弥呼について説明してくれた。


 


「プレイでも忖度しないとですね。胃がキリキリしてきましたね。」


 とお腹を押さえながら俺は答えた。


 


「でも、なんでコラボ相手をエド君にしたんだろうね?あの人はコラボって、同期とゲテモノしかしないって聞いたんだけど。エド君っていじられるだけでクレイジーなことしていないよね?」


 葵さんは不思議そうに言った。


 


 たしかに、リスナーのコメントでも同期と理先輩しかコラボしないと書かれていた。


 


 理 環(ことわり たまき)とは、犬耳をつけた女子高生のVであり、純粋無垢ゆえに頭がおかしな行動を起こす問題児。


 


理 環の伝説


① 家で花火を上げて、火災報知器で配信機材が濡れて配信中止


② 隣の部屋で喘ぎ声が聞こえたら、椅子で壁を壊そうと叩きつける。


③ 登録者数10万人の迷惑系配信者と事務所でコラボ配信(もちろん事務所には無許可)


 


 こいつと同列のことはしていないはずだ。


いや、毎日アリスたんで抜いているって言っている。


どう考えても変態じゃん。それでも、同列に並べたくないな。


 


「あはは。クレイジーなことは、していないはずなんだけどね。」


覇気のない愛想笑いをしながら俺は答えた。

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