パスタ

母から電話が来た。

私は漫画を読んでいた。

電話の内容はどうでもいい噂話と愚痴だった。

適当に相槌を打っていたら母の機嫌が悪くなった。

私は早く電話を終わらせて漫画の続きを読みたかった。

母はそれでも電話を切ってくれない。

段々と気分が下がってきた。

最後のあいさつは不機嫌に吐き出した。

何か言いかけた母の声をぶった切った。


昼ごはんにパスタを茹でようとした。

テレビから流れるニュースの音が聞こえた。

私の実家の近くで殺人事件が起きた。

その被害者が母だったかもしれないと思った瞬間、血の気が引いた。

あの電話が最後だったら。


床に落ちたパスタがバラバラと散らかった。

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