誰も殺さない好奇心
小指に触れるステンレスが、ひんやりとして気持ち良い。
まあるい輪に入れた右の親指と中指に力を加える。
「人差し指は添えるだけね。」
ふいに、そんな台詞を思い出す。
誰が教えてくれたのか、はたまた記憶の産物なのか、今となってはわからないし、どうでもいい。
ジャキ
途中で骨に引っ掛かって、それ以上は進まないけど、綺麗に切れた皮ふから深紅の血が滴る。
美味しくはないけど、不味くもない。変な味だ。
唇に付いた分を舐めとり、鋏を拭いて筆箱に仕舞う。
明日の美術の時間が待ち遠しい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます