第8話 王都と夢〜8〜
自分たちの部屋に戻り、レイをベッドに横たわらせる。
よいしょっと。
僕もベッドに腰を降ろす。
うん。ふかふか。
「ん……。ううん……」
「あ、おはよう。レイ」
レイが起きた。
優しく声をかける。
「ん、ハル。おはよう……」
レイはもごもごと移動。僕の膝の上に来てそのあとぎゅっと手を握る。
それ以外は何もせずただ無言。
それでもレイの体温を感じるし、まだその手が少し震えているのも分かる。
僕の存在を確かめるようにギュッと何度も握る。
「大丈夫だから。心配しないで」
僕は消えたりはしない。絶対に。
「分かってる。なんとなーくハルの手を揉み揉みしたかっただけ」
「ふーん」
隠さなくてもいいのに。
コンコン。
「ハルー。レイー。ご飯の用意できたよー」
マインが扉をノック。お腹も空いたしそろそろ行こう。
ほら、レイ。降りて。
「ん、しょ」
ゆっくりと起き上がる。
「はーい」
返事をしてマインのもとに向かう。
ガチャ。扉を開ける。
「それじゃあついてきて」
マインの後ろをついていく。
そのまま階段を降りてロビーを右に曲がる。そこはたくさんのテーブルと椅子がある広い部屋。ここが目的地らしい。
「ルキさーん。連れてきましたよ」
「マインちゃん。ありがとう」
「いえいえ」
「ハルくん。レイちゃん。ここに座って」
「はーい」
レイが返事。元気になったかな?
「それじゃあお料理持ってくるからね」
「ありがとうございます」
ルキさんが台所に入っていく。大きさ的に台所より厨房って感じかな?
「ルキさんのお料理はとっても美味しいから期待してていいよ!」
マインが言う。
マインが言うなら美味しいんだろうな。ワクワクしてきた。
「はーい。お待たせー。ハンバーグを作ってみたわよ」
おお……。美味しそう。
出てきたのは鉄板に乗せられたハンバーグ。
玉ねぎの上に乗っているハンバーグは焦げ目がないわけではなく少しついている。個人的にはポイントが高い。
鉄板にはハンバーグだけではなく、ジャガイモや茎野菜、とうもろこしなども乗っている。どれもほどよく焼けていて美味しそうだ。
「わぁ! いただきます!」
「どうぞ〜」
レイがナイフをゆっくりハンバーグに入れる。
切れ込みからジュワ〜っと肉汁が溢れてきた。
そのまま一口頬張る。
「ん! 美味し〜!!」
幸せそうにほっぺを押さえるレイ。
微笑ましい。
じゃあ僕も、
「いただきます」
一口サイズに切りそれを頬張る。
「っ!」
肉汁と共に肉の旨みがジュワっと広がる。お肉は柔らかいのに程よくかみごたえがありそれでいて口の中で優しく溶けてゆく。
これは素人に作れるものではない。
とても感動するよこれは。
「ソースもあるからかけて食べてね〜」
ルキさんがそう言う。
「「あっ……」」
これ、お肉本来の味だったんだ……。
マインが驚く僕たちを見て笑っていた。
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あとがき
皆さんこんにちは!シュシュ・トウカです!
8話目もお付き合いありがとうございます!
久しぶりの投稿になりました。すみません……。
忙しかった時期をようやく乗り越えたのでこれから更新頻度は早くなると思いますのでよろしくお願いします!
この話が面白かったら応援ボタンをポチってくれると嬉しいです!
それでは!
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