第4話 王都と夢〜4〜
あのおじさんと別れたあと、たくさんの雑貨が売っているおみやげ屋さん? にやってきた私たち。
ハルは真剣な眼差しで店内を回っている。
何を探してるんだろう?
「ハル? 何探してるの?」
「ん〜? ちょっとね……」
「教えてくれないの〜?」
「まだ秘密だよ」
「むぅー」
ハルのケチ……。
隠し事はダメなんだよ……、もう……。
「ちょっと待っててね」
ハルは店主のところに行ってしまった。
まあ、のんびり待ってようかな。
「ーーーーーーーーーー」
「ーーーー」
「ーーーーーーー」
ハルと店主のおじさんが何かを話している。
ん〜……、聞こえない……。
気になるなぁ。
と、しばらくしてハルが帰ってきた。
何を買ったのかな? 手を確認。
あれ?
「何も買ってないの?」
「うん。ここには売っていなかったよ」
ハルが肩をすくめる。
「どんまいだねー。じゃあ、他のとこで探す?」
「いや、いいよ。この後約束あるでしょ?」
「あ……。そうだった……」
「そんなこと言ってるとマインが怒るよ」
「ゔっ……」
たしかに怒りそう……。
そんなこと言うなんてレイ酷いよー!ってね。
「じゃあ、そろそろ行こうか」
「うん! 久しぶりだねー」
「さっきまで忘れてたけどね」
「いいんですー!」
「あはは……」
そんなことを言いながら私たちはお店を出た。
「それで、どこに行けばいいんだっけ?」
「ユレミハ公園の噴水だってさ」
「ユレミハ公園かー。それってどこにあるの?」
「もう着くよ」
「え?」
目の前がばっと広がる。
そこには大都市らしからぬ大自然の世界。
緑と青の楽園がそこに広がっていた。
「うわぁ……!」
「すごい……」
私たちは同時に声を漏らす。
たくさんの建物が並んでいる中でほぼ手をつけられていない場所があるなんて……
「すごいね……。ハル……」
「うん……。予想以上だったよ……」
私たちは辺りを見渡す。
まるでその壮大な景色をできるだけ視界に納めようとするように。
「あっ!」
声を上げる。
視線の先には巨大な噴水。
あれが……、
「あれがその噴水?」
指を指す。
「そうだと思うよ」
「ふーん。じゃあ行こう!」
まだ呆気にとられてるハルの手をとる。
こっちを見たハルはふわふわーっと優しく微笑む。
えへへ……。
「ハルー! レイー!こっちこっち!」
噴水の近くで誰かに呼ばれる。
ここで呼ばれるのは1人しかいない。
「マインー! 久しぶりー!」
ハルの元を離れマインに抱きつく。
ぎゅー。
柔らかくてあったかーい……。
「マイン。元気だった?」
「うん! とっても元気だよ!」
ハルの問いにマインが答える。
私たちはまだ抱きついている。柔らかいんだもん。
長髪の髪の毛と同じ色をしている茶色い耳がぴょこぴょこ、尻尾がふりふり動く。さすが犬族。
「レイたちも元気そうで良かったよ」
「うん! おかげさまで元気だよ!」
「えへへ、嬉しい」
あぁ、可愛いなぁこの子は。
「今日どこに行ったの?」
「あんまり色んなことはしてないよ? 王都を歩いてー、お昼に串焼き食べてー、雑貨屋さんをちょっと覗いたくらいかな」
「んー。なら、まだ今日泊まる宿探してないんじゃない?」
「え……? あ! まだ探してない! どうしようハルぅ……」
「ごめん……、考えてなかった……」
「ちょっとぉ……」
もしかして、私たち野宿!?
「あはは……。私の仕事場宿も経営してるからそこに泊まる?」
「いいの!?」
「大丈夫! なんとなくそんな予感がしてたからもう店主さんに話しといたから!」
「ほんと!?やったあ! マインありがとう! 大好き!」
どうやら野宿にはならなさそうです!
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あとがき
皆さんこんにちは!シュシュ・トウカです!
4話目もお付き合いありがとうございます!
今回、ようやく新キャラクター、マインが登場しました。
もう少しキャラクターが増えたらキャラ紹介をしようと思っております。
よければ応援ボタンをポチってフォローしてくださると嬉しいです!
それではまた!
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