第350話 俺は、カニにはうるさい(前編)
「やあ、久しぶり」
「ペーターが言うほどやつれていないかな?」
「中央で陛下の補佐を行い、フィリップ公爵領でも統治の仕事があるからね。激務だからこそ、睡眠と食事はちゃんと摂っているよ。他はなにもできないけど。今日はよく来てくれたね」
「ああ、北の魚介を仕入れに来たのさ」
「仕入れに、導師は必要かい?」
「必要なのである! 自分の食べる分は自分で見繕うのである!」
ペーターとプライベートで遊んでから一週間後。
俺たちは、たまたま予定があった現フィリップ公爵であるアルフォンスに会いに行った。
彼は元気そうであるが、激務で休みがないのが大いに不満らしい。
「のう、大変であろう?」
「テレーゼ、君はもの凄く元気そうだね」
「当たり前であろう。面倒な仕事はなく、たまにヴェンデリンに助言するだけなのだから。それでもヴェンデリンは、妾を大切にしてくれるぞ」
「あーーーあ、凄いノロケを聞かされたね」
「実際問題、俺は大貴族としての経験がないからな。経験者であるテレーゼの助言は貴重だ」
「私にもないんだけどね。そんなものは……」
今回のフィリップ公爵領行きでは、久しぶりにテレーゼもついて来た。
だが、領民や家臣たちに顔を見せるのはよくないので、フードを被り、髪型をカチヤがツンテールにしたりして変装している。
大分雰囲気は変わったが、これでバレないものなのか?
変装すること自体が大切なのかもしれないな。
「テレーゼ、なにか変」
「言うと思ったわ。バレるやもしれぬが、なにもしないよりはマシであろう」
バレるバレない以前に、テレーゼのツインテール姿は似合わなかった。
カチヤになぜツインテールなのかと尋ねると、『まさかテレーゼがこの髪型をするはずがない』と言い、ようは意外性を狙ったわけだ。
深く被ったフードから出ている、金色のツインテールが奇妙だ。
「カチヤ、もう少し違う髪型はなかったのか? 意外性はあるが女であることに自信をなくすほど似合わぬぞ」
「帰れば元の髪型に戻すからいいじゃないか。あたいなんて、物心つく頃からこの髪型だぜ」
「そなたは似合うからいいのじゃ」
カチヤは、静かにしているとお人形さんのように綺麗だからな。
ツインテールでもよく似合う。
この前、カチヤとつき合いのある古参冒険者と少し話をしたんだが、初見の若い冒険者でカチヤに惚れる者は多いそうだ。
だがすぐにあの口調が出るし、彼女に実力で勝てる男性冒険者は少ない。
男性はプライドが高い生き物だから、自分よりも力量が高い女性冒険者を恋愛対象や配偶者として見ない。
近寄るのは寄生、ヒモ目的の男性冒険者のみであり、そういう奴はカチヤ本人が厳しく排除してしまう。
彼女に男性っ気がなかったのには、そんな理由があったからだった。
「三つ編みにしても似合いそう」
「旦那、この前エリーゼが面白がって編んでくれたけど、あんな面倒な髪型、維持したくねえよ! 毎日髪を洗う度に編み直さなきゃいけないじゃないか」
そういえば、カチヤも俺と同じくお洒落に手間をかけたくない人間だった。
綺麗好きではあるので風呂には毎日入りたがったが、毎朝髪を編むのは嫌だというわけだ。
そんな時間が惜しいと。
「カタリーナなんて、よく毎日あんなに髪のセットに時間をかけていられるよな。あたいには無理だ」
カタリーナに関しては、寝癖が酷くて毎朝髪が爆発しているのと、彼女はあの手間のかかる縦ロールこそが、真の貴族女性に相応しい髪型だと思っているからだ。
多分本人は、面倒だとは思っていないはず。
「真の貴族ねぇ……王都に行くと、ああいう髪型の貴族令嬢はそこそこいるよな。帝国だとあまり見なかったけど」
そういえば、帝国貴族で縦ロールにしている女性は少なかったな。
内乱中だったからかな?
「ああいう髪型には流行があっての。帝国では、三十年くらい前までは流行しておったぞ」
「貴族の髪型に、流行なんてあるんだ」
歴史や伝統がある髪型の中から、家風に合わせて決めるとか、そんな感じだと思っていた。
貴族って、代々の家の決まりとかにうるさそうだし。
「カタリーナを見ればわかるとおり、毎日髪を整えるのが面倒なので、段々とする者がいなくなっての。貴族は目立つのが好きじゃから、面倒でもそういう髪型に拘る者もいるにはいるがの」
テレ-ゼによると、今は髪型に拘るよりも、髪自体の綺麗さを誇るのが帝国貴族女性の流行らしい。
「貴族女性は見栄っ張りじゃからの。髪を洗う洗髪剤に、洗った髪のパサつきを抑える整髪料などに拘るわけじゃ。色々な高級素材を用いている高価な品を買い求める。毎日使う消耗品なので、大金を使うわけじゃ」
そして、その高級素材は魔物の領域でしか採れない品もある。
強い魔物の血液や油脂、珍しいところでは内臓といった素材もあり、我々冒険者が命がけで採取して儲けるわけだ。
俺の場合、奥さんたちのためお店に直接素材を渡して作ってもらったりしているけど。
「ヴェンデリンのくれる洗髪剤と整髪料はいい品じゃの。妾の髪も光沢が出てきたわ」
「あたいもそうだな。昔は髪を洗って乾かすくらいだったから余計に」
「カチヤ、そなたはもう少し身形に気を使った方がいいぞ」
「今は気を使っているって」
そこは、バウマイスター辺境伯の妻だからな。
屋敷にはメイドたちもいるから、本人がなにもしなくても用途ごとに身形を整えてくれるというのもある。
「奥さんに魔の森で採れた高級素材を原料にした洗髪剤ねぇ……効き目ありそうだね」
「アルフォンス、妾が分けてやろうか?」
「くれるのか? なら欲しい」
「そうか……お前も苦労しておるのじゃな……」
テレーゼが、妙に優しいと思ったら……。
そうか!
アルフォンスの奴、仕事が忙しいからついに……。
「あのさ、テレーゼもヴェンデリンも。私の髪が怪しいとか思っていないかな? 抜け毛じゃなくて、白髪がちょっと増えたから今のうちにケアしておこうと思っただけだからね!」
アルフォンスは、自分はまだ二十代だからまだハゲていないと断言した。
「そうじゃな。アルフォンスは疲れているからの。洗髪剤と整髪料は送るから」
「テレーゼ、言っておくけど私は抜け毛に悩んだりしていないからな!」
「……」
「ヴェンデリン! 私は付け毛とかはしていないからな!」
まだ若いしそれはないと思うのだが、アルフォンスが殊更強く言うものだから、ちょっと疑わしいと思ってしまったのだ。
バレにくい、魔道具のカテゴリーに入るカツラや付け毛もあると聞くから念のため『探知』で探ってみたけど、反応はなかったな。
もし普通のカツラや付け毛だと、俺にもわからなかったけど。
「ちょっと白髪が出ただけだから。ところで、今日は北の港が目的地だとか?」
ここで髪以外の話題に切り替えるべく、アルフォンスは俺たちがここに来た目的を訪ねた。
「おうよ。ヴェンデリンが北の海の幸が欲しいそうじゃ」
「ヴェンデリン、私との再会と海の幸。どちらが重要なのかな?」
「それは難しい質問だな、アルフォンス」
「そこは嘘でもいいから、私だと言っておいてくれ」
今日はアルフォンスも久々に暇だそうで、北の港にある漁港まで同行してくれることになった。
彼は護衛を連れ、俺と同じく海の幸が欲しい導師、密かに帰郷したテレーゼ、護衛のカチヤ、あとは……。
「北って寒いのね。でも、生まれて初めての外国だから楽しみ」
今日は予定が空いている人が少なく、その中でこのところフリードリヒたちの世話をするので忙しいアマーリエ義姉さんを連れてきた。
彼女は内乱に参加していないので、今日が初めての海外旅行である。
比較的少人数での移動しているのは、テレーゼの正体がバレにくいようにするためである。
「この毛皮は温かいわね。ヴェル君、こんなに高い品をありがとう」
「そんなに高くないものですから、気にしなくていいですよ」
魔の森で俺が狩った魔物の毛皮を、キャンディーさんが加工してくれたからだ。
実質加工賃しかかかっていない。
それも、二着分素材を渡して一着だけ返す形にしてくれればいいと彼女……みんなキャンディーさんを女性扱いするようになっていた。導師は特にそうだ。……に頼んだので、実は無料だったりする。
「でも、シルバーエイプスの毛皮は貴重だって聞くわよ」
「まあいいじゃないですか」
シルバーエイプスとは、銀色の毛皮を持つゴリラに似た大型の魔物であった。
これも黒いゴリラのアルビノ種であり、滅多に姿を見せないので貴重なものだ。
この魔物の毛皮はコートなどの加工に適していると、大昔の書籍『図解魔物・産物大全』に書かれていたので、試しにその加工をキャンディーさんに依頼、試作品をアマーリエ義姉さんにプレゼントしたわけだ。
「普段、フリードリヒたちの面倒を任せていますし、俺からのプレゼントですよ」
特にアキツシマ島を統一する時は、エリーゼたちもあまり子供たちの面倒を見れなかった。
だから毛皮のコートは、エリーゼたちからのプレゼントでもあったのだ。
「ありがとう」
「そのうち、妾にもプレゼントしてくれよ」
そんな話をしているうちに、漁港内にある市場に到着した。
早速見学をすると、中では今朝獲れた魚のセリが行われている。
独特な符号でセリを行っており、俺たちにはいくらでセリ落とされたのかよくわからなかった。
「マグロがあるな」
「貴族の旦那ぁ。マグロはみんな、ミズホの卸しがセリ落としてしまいましたぜ」
漁港の石の床には数十匹のクロマグロが置かれていたが、すべてミズホ人がセリ落としてしまったそうだ。
ミズホ人も、日本人と同じくマグロが大好きというわけだ。
「ミズホ人は魚が好きだよね。私も好きだけどね」
アルフォンスは、セリ落とされたマグロを未練がましく見つめていた。
「他のものを購入して、屋敷で調理すればいい」
「そうだね。他にも色々とあるからね」
北の海にいる魚介類は、不思議と日本のそれと大差がなかった。
タイ、ブリ、ヒラメ、シマアジ、ホタテ、カキ……色々とあるので、次々に購入していく。
「少し買いすぎじゃないかしら?」
「余っても、魔法の袋に入れておけば大丈夫ですから」
「そうやって無駄に魔法の袋に死蔵するのもどうかと思うわよ」
「気をつけます」
「ヴェンデリンも、アマーリエには弱いのぉ……」
実は俺にも異母姉がいたが、ほとんど接触がないのでアマーリエ義姉さんの方が本当の姉っぽかった。
たまに注意されると、心から反省してしまうのだ。
「ヴェンデリンは、年上の女性に弱いみたいだね」
「アルフォンスはどうなんだ?」
「私も乳母だった人に弱くてね。今も、お野菜をちゃんと食べなさいとか、二人きりの時に言われるね。お母さんみたいなものだな」
男性とは、いくつになっても女性に叱られる生き物というわけだ。
「でも、なんか全体的に漁獲量が少ないような気がするな」
「そういえばそうじゃの」
テレーゼも、俺の意見に同意した。
元々フィリップ公爵として漁業の産業化に取り組んでいたので、全体的に漁港に活気がないのに気がついたようだ。
「そうかな?」
「アルフォンスよ。本当は口を出したくないのじゃが、普段の半分以下程度の漁獲量しかないように見えるぞ。なにか問題があるとすれば、すぐに対処せねば漁民たちが飢えてしまう」
忙しいのはわかるが、ちゃんと領内のことを把握しておけと、テレーゼはアルフォンスに釘を差した。
フィリップ公爵領の漁業は成長を続け、昔は漁師の半分以上がミズホ人であったが、今ではラン族を始めとするフィリップ公爵領の領民たちも多く就業するようになった。
だが漁獲量が落ちてしまえば、彼らは失業してしまうかもしれない。
食べられない領民たちが増えれば、領地は不安定になってしまう。
それに気がつかないアルフォンスに、謎のフードを被った女性が忠告をする。
実はその正体が、前領主であるテレーゼなのは秘密というわけだ。
「アルフォンスも、普段なら気がつくのであろうがの」
ペーターも忙しいが、アルフォンスも忙しい。
フィリップ公爵領の統治のみならず、ペーターの手助けもしないといけないからだ。
なかなか領地の視察も行えない状態なのであろう。
「これは忠告痛み入るだね」
「余計な口を出してすまぬの」
「なにか言われているうちが華さ」
アルフォンスは、テレーゼの忠告を素直に受け入れた。
その度量の広さは、彼が領主に向いている証拠でもあった。
大半の領主は、前領主の諫言なんて聞きたくもないし、聞く耳を持たない者も多かったからだ。
「どうして漁獲量が減っているんだい?」
早速アルフォンスは、その辺にいた年配の漁師に漁獲量が減った理由を尋ねた。
「漁獲量確保のための、禁漁、制限期間ではないよね?」
「はい。実は北方の海域に、奇妙な巨大生物が出たのです」
「巨大生物?」
「はい。もの凄く大きなカニなのです!」
北の海に魔物の領域がないとは思わないが、普段漁をしているエリアに巨大な蟹が出現したということは、海竜と同じく野生動物という扱いなのであろうか?
いや、でもカニってエイリアンみたいにも見えるから、魔物のカテゴリーに入るのか。
「そんなに大きなカニなのか?」
常識で考えれば、いくらカニが大きくてもたかが知れている。
アルフォンスは、そんな漁を躊躇うような大きさのカニが本当に実在するのか疑問に思っているようだ。
「どのくらいの大きさなんだ?」
「へい、高さは二十メートルを超えているかと。動きは遅いですが、あんな巨大なハサミで船を攻撃されたらひとたまりもありません。実際、漁船が一隻沈められました」
すぐに他の船の漁師たちが救助したので犠牲者は出ていないが、おかげで狭い範囲でしか漁ができなくなってしまった。
このままだと漁師を減らさないといけないと、年配の漁師が語る。
「カニかぁ」
「美味そうである!」
「確かに……」
俺と導師は、漁師たちが可哀想だと思うよりも、巨大なカニの方に興味津々であった。
基本的にカニは高級品なので、なんとか捕らえて試食できないかなと思ったのだ。
「どんなカニだった?」
「へえ……。全身が短い棘状の突起で覆われておりまして……。足は八本しかありません。色は紫色に近いかな?」
年配の漁師からカニの化け物の特徴を聞くが、俺はすぐある種類のカニに似ていることに気がついた。
「(タラバガニか?)」
「カニって、足が十本なかったっけ?」
北方でも当然カニは生息しており、食用となっている種もある。
フィリップ公爵家にも献上されることが多く、アルフォンスはカニの足が十本だと知っていた。
だが、もしこの巨大な蟹がタラバガニの近種ならば、これはヤドカリの仲間なので正確にはカニではない。
そんなことはどうでもいいが、もしその巨大ガニがタラバガニならば、これは是非とも試食しなければ。
試食するには倒すしかなく、可哀想な……気持ちは微塵もないな。
またも、前世日本を思い出す食材だ。
早く倒して試食してみよう。
「そのカニの小さい個体は見たことあるか?」
「いえ、この海域で一番有名なカニはガザミでしょうか……」
比較的日本と獲れる魚貝類が被る北方海域であったが、エビ、カニ類は実は南方の方が豊富であった。
特に大きなエビ、カニ類は南方の方が沢山生息しており、北方で一番食されているカニは通称『ガザミ』と呼ばれている、ワタリガニをもっと小さくしたようなものであった。
海老類も甘エビ程度の大きさしかなく、ロブスターに似た海老が獲れる南方の方が産地としては有名だ。
「(なぜか北方には大きなカニがいなかったが、遥か北方に海竜と同じく巨大種で生息していたのか……)ガザミの大きいのはいないよな?」
「ガザミはいないのですが、実はその巨大なカニの他にも目撃例が……」
「どんなカニだ?」
「甲羅の高さは十五メートルほど。甲羅は三角形に近く、体色は暗い赤。足がすらっとしています」
それって、間違いなくズワイガニだよな。
「実は、まだいまして……」
巨大なカニは、三種類いるというのか。
「これは小型ですね。それでも、甲羅の高さは十メートルくらいありますか……全身がズングリとしておりまして、毛が一杯生えています」
これは、日本人なら誰でもわかる。
間違いなく毛ガニか、それに近い種類であろう。
「三種類もの巨大なカニかぁ……。これまでに、目撃例はなかったのか?」
「大昔から、漁師が北の果てで巨大なカニ蟹を目撃したというお話はありました。特徴も似ています。ですが、普段の漁場ではこれまで見かけたことがないのです」
なんらかの理由で、もっと北に住んでいたカニたちが南下したというのか。
異常繁殖、縄張り争いでの敗北、南に餌が沢山あると気がついた?
どちらにしても、カニの南下が一時的なものなのか、それともこれからも定期的に続くかで対応が別れるな。
「現地に行ってみようと思う」
「某も同行するのである!」
一刻でも早く美味しいカニを……じゃなかった。
巨大ガニは魔物ではない可能性が高いが、それでも一般人には脅威である。
ここで俺たち魔法使いが、カニを美味しく調理して……じゃなかった。
退治して、漁場を安全にしなければ。
そう、これは日々真面目に生活する漁師たちのため、ノブレス・オブリージュの精神に則って、カニを退治するだけの話なのだから。
決して、己の欲望のためだけに活動していないぞ。
「ヴェンデリン、導師、行ってくれるのかい?」
「勿論だとも、アルフォンス! 俺たちは友達だろう?」
なあに、討伐代金なんていらないさ。
倒したカニの権利さえ貰えれば。
「腕が鳴るのである!」
「というわけで、誰か船を出してくれないかな? あっ、テレーゼとカチヤとアマーリエ義姉さんは留守番で」
「あたいは、船の上じゃあまり戦力にならないから仕方がないか」
カチヤも魔力が増えていたが、海底にいる巨大ガニに届く攻撃手段を持っていなかった。
危険なので留守番をしてもらうしかない。
「妾はいた方がいいのでは?」
「テレーゼが活躍するとまずいじゃない」
変装はしているが、すでにテレーゼの正体に気がついた者がいるかもしれない。
そんな状態で彼女が魔法を使えば、再び領主に返り咲いてほしいと願う者たちが出てしまうであろう。
もしそうなれば、御家騒動が勃発する危険がある。
テレーゼの魔法は隠し、あくまでも極秘理に里帰りをしたという体を装った方がいいであろう。
「アマーリエから、料理でも習っておこうかの」
「購入したものを調理しておくから、これを戻ってから食べましょう」
「わーーーい」
「ヴェンデリン、お主は子供か……」
久々の北の海の幸尽くしだ。
カニの討伐が上手くいき、俺の想像どおりにカニが食べられる種類だったら……。
巨大なカニをお腹いっぱい食べ放題。
海竜の肉なんて目じゃないな。
「みんなでカニパーティーをしましょう」
「そんな得体の知れないカニ、食べられるのかしら?」
アマーリエ義姉さんが首を傾げ、テレーゼとカチヤとアルフォンスが見送るなか、俺と導師は地元漁師たちが操る船で、荒波と寒風吹きすさぶ北の海へと出発するのであった。
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