第326話 やはり魔法はあまり関係なかった(その1)
「ブラントー閣下! この新聞記事をご覧になられましたか?」
「まだ見ていないが。それがなにか?」
「これをご覧ください!」
突如大型魔導飛行船をこちらに送り出し、挙句に領空侵犯を警告した警備艦に魔法を放った、ヘルムート王国との交渉が上手くいっていない。
事件の一週間前に政権交代をしたばかりで政府が混乱していたせいだが、この事件が混乱に拍車をかけた形となった。
大分初動は遅れたが、官僚たちの力を借りた民権党の連中はどうにか外交交渉を始めたようだが、話はなにも進んでいない。
歯痒いが、今の我々は野党でなんら権限がないので仕方がなかった。
それが民主主義というものだからだ。
世論とマスコミのウケを狙って編成された交渉団が、こちらの予想どおり別の方向に張り切ってヘルムート王国を怒らせ、これに今の魔族社会の停滞を解消するため、リンガイア大陸への侵攻を唱えるおかしな勢力も呼応し、これでは纏まる交渉も纏まるはずがない。
民権党はリベラルを売りにする政党のはずなのだが、所詮は寄合所帯。
今私の目の前にいるような、おかしな連中もいる。
野党に転落したとはいえ、我々国権党も暇じゃないんだが……。
民権党が思った以上に素人の集まりだったため、危機感を抱いた官僚たちと話し合いをしたり、無駄とはわかっていても、民権党に政策を提案したりしているのだから。
民権党の連中はプライドだけは無駄に高いから、こちらの政策提案はほぼ無視されているがね。
一部まともな民権党の議員たちは危機感を抱いているが、彼らは少数派で目立たない。
我ら国権党にも、いわゆる扇動政治家の類が存在し、今その自分の紹介を受けた人物と面会している。
彼の名はオットー・ハインツ。
その体は病的なまでに痩せており、ピッチリと七三に分けロマンスグレーの髪型と合わせ、とても神経質そうに見える。
目がギョロっとしており、常にあちこちを見渡していた。
人と目を合わせるのが苦手なようで、これで政治団体のトップだというのだから凄い。
差し出したヨレヨレの名刺には『世界征服同盟』と書かれており、この時点で私の心の中に警報が鳴り響いた。
聞いたこともない政治団体なので泡沫組織であろうが、こんな命名をしてしまう時点で、ちょっと近寄りがたい連中なのは確実だ。
彼は先に『世界征服同盟』とやらの政治理論を説明したが、この男、話し始めると急に饒舌になる。
だからといって特に演説が上手というわけでもなく、ただ単に自分が語る内容に酔ってしまうタイプのようだ。
団体名が世界征服同盟なので、当然彼はリンガイア大陸への進出を目論んでいる。
人間を征服して搾取すれば、無職の若者も待遇のいい仕事が得られるという至極簡単な理屈だ。
確かに、良心の呵責に苛まれなければいい政策だ。
その前に、それが可能な軍備を整えなければいけないがな。
無職の若者たちは、例外なく軍人にしないといけない。
魔族は、人口減少のせいで人手不足だからな。
そこまでして、どの程度のリンガイア大陸の領土が確保できるのかは未知数だが、これは知己の防衛隊幹部に試算させた方がいいのかね?
いや、そんなデータがあると知れたら、ますますバカな民権党の議員たちが暴走する可能性があるのか……。
しかし、万が一に備えて試算くらいはしておくのが政治家の仕事か。
そのデータを理由に、リンガイア大陸侵攻を拒否できるかもしれない。
新聞社に流して、リンガイア大陸侵攻反対の世論を……信用できる記者に渡さないと、逆にリンガイア大陸侵攻賛成の世論を煽るのも新聞社だがな。
しかし組織名に相応しい主張だが、所詮は泡沫組織の戯言だ。
大体、わざわざ野党である国権党所属議員である私の下に来たのは、民権党が多数連合を組んでいるリベラル系の労働団体、市民団体、政治団体、人権団体にハブられたからであろう。
あの連中は、いまだに未開な封建主義で国を治めるヘルムート王国とアーカート神聖帝国を打倒しろと言っているから、考えが合わないのは明白だ。
えっ? 同じじゃないかって?
我ら魔族による侵略は悪でも、解放のための手助けなら正義だという言葉遊びができるのが、民権党と組んでいる連中なのだ。
国権党にも、彼らと協力している者たちがいるがね。
実は民権党にも、この世界征服同盟と同じことを主張している団体もいくつも存在している。
こいつらがどういう理由で除外されたのかは不明だが、あの手の組織は内部対立が華みたいな部分もある。
大方、極右団体同士の抗争で敗れたのであろう。
それとこの世界征服同盟なのだが、富裕層による富の独占についても批判しており、完全な極右組織というわけでもないようだ。
むしろ大資本家を批判しているから、極左勢力か?
どちらにしても、あまりおつき合いしたくない類の連中だ。
それでも、大きな組織なら嫌々つき合わねばならないことがあるのも政治家という仕事なのだけど。
だが、こんな泡沫組織に気を使う必要などない。
なぜなら、こいつらでは選挙で票を稼げないからな。
「ついに魔王が、古の独裁政治復活に向けて動き出しましたぞ!」
「どこにそんな記事が書いてあるというのだ?」
「ここに書いてあるではないですか! 閣下!」
オットーは、エブリディジャーナルの一記事を指差した。
一応、政治面に記事が書かれている。
記述記者の名が署名してあるが、私は知らない名だ。
ベテラン政治家ともなると大物記者の名前は大体把握しているし、記事に手心を加えてもらうためにつき合いもあるからな。
女性記者だから、新人なのであろう。
どういうわけか、普段男女同権を口にする新聞社に限って、ベテランの女性記者は少ないという矛盾があるのがあの業界だ。
肝心の記事の内容は、失業したり、今の効率第一の生活に嫌気を差した若者たちが、いくつかの廃村で農村の再生運動を行っているというものであった。
廃村のインフラを自分たちで修理しながら、自給自足の生活を送っている。
余った作物はこの活動に賛同している人たちが購入し、生活費に当てているようだ。
ここで結婚し子供が産まれる予定の夫婦もいて、今後の課題は生まれてくる子供たちをどうやって学校に通わせるべきか……か。
悪い話ではないな。
いいじゃないか。
無職の若者たちが、新しい生き方を模索する。
彼らの生活が軌道に乗れば生活保護を出さずに済むし、若い集団なので結婚して子供が産まれる者たちも多い。
学校の件は、国権党が与党なら相談に乗ってもよかったのだがな。
「これのなにが問題なのかな?」
「閣下! この団体の代表はかつての魔王ですぞ!」
「魔王ねぇ……」
魔王とその一族が政権と国家財産を返納してから、一体何年経っていると思うのだ。
今の魔王に力などないではないか。
この団体の代表になったのも、お飾りとしてなら有効だと、団体の幹部たちが判断したからであろう。
今の魔王は幼い少女のようだな。
写真を見ると、将来美人になるであろうと予想できる。
いつの世も、組織のトップが美人だといい広告塔になるようだ。
もし彼らの活動が上手く行ったら、国権党から選挙に出馬してもらうのもいいな。
少なくとも、目の前のこいつよりは何十倍もマシな政治家になるはずだ。
「彼らは危険です!」
「別に、武装しているわけでもあるまい?」
危険って……。
間違いなく、お前よりは安全で真面目であろう。
「農機具は、武器になります!」
そりゃあなるが、そんな装備で警備隊、防衛隊に勝てるはずがない。
こいつは、一体なにを言っているのだ?
「反乱を起こす可能性もあります! 魔王とバウマイスター伯爵が接触しました!」
そうらしいな。
記事にそう書かれている。
「『今日の収穫を、ヘルムート王国からの客人であるバウマイスター伯爵と奥さんたちが手伝い、収穫後に調理された芋料理をみんなで楽しんだ』収穫祭に遊びに行っただけでは?」
バウマイスター伯爵は、ヘルムート王国に対し男女平等、民主主義の受け入れ、狩猟と捕鯨の禁止など。
お花畑のような無茶な要求を出してくる我が国の政府に対抗すべく、送り出されたものと思われる。
バウマイスター伯爵自身も、この国の政治状況などをよく理解しているようだ。
奥さんや子供たちまで引き連れ、どうにか融和ムードを作ろうと懸命に努力していた。
いい手だったとは思うが、バウマイスター伯爵は我が国の国民たちの大半が、外の世界にまったく興味を持っていない点を読み違えたようだな。
すぐに飽きられ、話題にも昇らなくなった。
おかしな興味を持っているのは、目の前のこいつと一部賛同者たちくらいであろう。
「彼らの意図は見えております! 魔王と結託して、この国で王政復古のクーデターを起こそうとしているのです!」
「はあ?」
いや、バウマイスター伯爵には、防衛隊の護衛兼監視役がいるんだぞ。
もしそんなことを企んでも、一瞬で見破られ、鎮圧されてしまう。
防衛隊の連中がなにも言ってこないということは、バウマイスター伯爵一家と魔王一行が、ただ純粋に交流をしているだけだと判断しているからだ。
警備隊にミスがないとは言いきれないが、ただ騒いでいるお前たちよりも圧倒的に優秀だ。
少なくとも、胡散臭いお前たちよりは信用できる。
「貴殿は、想像力が豊かなようだな」
「想像ではありません! この国に危機が訪れているのです!」
泡沫組織の特徴だな。
荒唐無稽なことを言い始め、目立つことで国民たちから支持を得ようとする。
というか、この連中に活動資金を与えているのは誰だ?
リンガイア大陸での商売を目論む資本家連中か?
駄犬に無駄な餌を与えるのはやめてほしいな。
「その可能性もゼロとは言わないが、まずは貿易や交流が始まってからの話だし、大分未来のことだと思うが……」
我が国の魔道具が大陸で販売されるようになれば、人間たちもそれを真似し始め、徐々に技術力が上がるだろう。
そのおかげで生活がよくなった人間が増えすぎ、無人の土地に移民が送られるようになると、領土の蚕食が問題になるかもしれない。
非常に難しい問題だが、双方が接触してしまった以上、落としどころを探らないといけない。
クソッ!
こんな時に民権党が政権を取ってしまうとは!
現実的な対応ができないではないか!
「閣下の状況認識は少し甘いですな」
失礼な奴だな。
私はお前とは違って、少なくとも政治家という仕事はしてきたぞ。
お前のような、自称政治団体トップの無職と一緒にするな!
「念のために警告しておくが、もし貴殿らが実力行使に出ようとしても無駄だからな」
防衛隊に阻止されて捕まるだけであろう。
今の政府はアレだが、基本的に防衛隊の連中はまともだからな。
魔王やバウマイスター伯爵一家に実力行使をしようとしても、防がれて逮捕されてしまうはずだ。
この目の前のバカは、外国から来ている公的な使者とその家族を排除しようとして、お咎めなしで済むと本気で思っているのであろうか?
思っているのだろうな。
どうもこいつは、自分だけは特別だと思っている節があるようだ。
「閣下……あなたには失望した。ここまで先を見通す目がないとは……」
先を見通す目?
それが、いまだまともな仕事すらしたことがないお前にあるというのか?
「彼らは危険なのです。私はその政治生命をかけて、彼らを排除しなければいけないのです!」
目の前のバカは、一人で自分の決意に酔っていた。
これは、無駄な時間を使ってしまったようだ。
こいつを紹介したアホな同僚議員は切ることにしよう。
「あなたは、この選択を必ず後悔することになる!」
アホは勝手に怒って出て行ってしまった。
無駄な時間を使ってしまった。
野党に転落しても、政治家は忙しいというのに……。
「念のためだが、防衛隊に連絡しておくか……。バウマイスター伯爵へと攻撃を目論むアホがいると」
これまで魔族のみで生活していた社会に人間という異種族が現れ、我らの生活が大きく変化しようとしている。
その混乱の中では、あのような輩が出現してもおかしくないのか。
「世界征服同盟……構成員は十数名? 少ないなぁ……」
あとで取り寄せた、世界征服同盟の資料を見ながらため息をつく。
ちゃんと防衛隊に通報はしたので、私はすぐに彼らのことを忘れてしまった。
人間への対応で色々と忙しかったからだ。
あのような泡沫組織の名前とリーダーなど、いちいち覚えておく必要がなかったとも言える。
「外交交渉がまったく進まない状況はまずい。貿易と双方の移動に関する条件だけでも先に条約を締結すればいいのに……クソッ! 民権党め!」
それよりも、今は人間と魔族による外交交渉についての話だ。
私は無駄になることが確実でも、民権党に提案する政策の取り纏めに再び没頭するのであった。
こんな時に政権与党から転落してしまうとは、魔族にはツキがないのかもしれない。
「同志オットーよ、陳情の結果はどうであった?」
「同志ライムントよ。また駄目だった」
「クソッ! この危機を理解できない無能め! あれで国権党の重鎮とは……」
「同志ライムントよ。あのような男が政府中枢にいたから、国権党は政権与党の座から転落したのだ」
「確かにそうだな」
またも陳情に失敗した。
民権党の複数の政治家に続き、国権党の政治家相手でもこの様だ。
我ら世界征服同盟に所蔵する副党首ライムントに経緯を報告すると、彼も悔しそうな表情を浮かべた。
「魔族は、大資本の搾取と行きすぎた老人優遇政策、そして少子高齢化で国が滅びつつある! 人間を未開だと侮っている連中も多いが、彼らは人口が多い。将来その数に押されて魔族が存亡の危機を迎えるとなぜ気がつかぬのだ!」
我らの考えに賛同し、先週は四十六名もの支持者が集まってくれたのに。
主催者発表は五百名にしておいたが、これは嘘ではない。
彼らは十名分以上のやる気をもって、この集会に参加してくれたのだから。
「我ら多くの若者は、資本家たちによる不当な搾取で貧困に喘ぎ、職もなく、わずかな生活保護で生かされている! 魔族の若者は結婚せず、子供も産まず。このままでは魔族は滅ぶというのに、政府はなにも手を打たない。民権党の連中は、国権党の政治に失望している不満者たちの票を集めて政権を取ったが、あのような連中がものの役に立つとも思えん」
力を貸そうと政策を提案したのに、すべて無視しおって!
この世界征服同盟の党首オットーをなんだと思っているのだ!
「同志ライムントよ。他の党員たちはなにをしているのだ?」
「いつものように、魔法の練習だ」
「それは素晴らしい」
進んだ魔道具の普及によって完全に廃れてしまった魔法だが、我々は魔法の復権も目指している。
魔族が人間よりも有利な点、それは誰もが魔法を使えることのはずだ。
それが、魔道具に魔力を供給できればいいなどと……。
魔族が、その最大の強みを捨ててどうするというのだ。
攻撃魔法が他人に当たったらどうする?
子供が町中で魔法をぶっ放したら危険だ?
わけのわからない理屈で、多くの場所での魔法の練習を禁止しやがって!
だが、我らは違う。
この私、オットー・ハインツの下に集まった九名の仲間たちは、その時間の大半を魔法の練習に費やしている。
魔法は、魔族にとって必要不可欠なものなのだ。
古の時代に活躍した、多くの偉大な魔法使いたち。
彼らは戦乱の世に、その魔法で多くの戦果を得た。
魔族は本来の姿に立ち戻り、魔法を駆使して脅威である人間を征服する。
魔族一人あたり百名の人間を支配すれば、魔族は大きく発展できるはずだ。
働かなくても豊かな生活が送れ……いや、魔族がみな貴族となる。
身分差も収入差も少なくなり、結婚する者も、子供を産む者も増えるであろう。
危険な人間を抑える効果もある。
誰もが幸せになれる素晴らしい政策だというのに、民権党も国権党も、我らを無視しやがる。
この天才である私をなんだと思っているのだ!
「同志ライムントよ。あとでみんなに話がある」
「わかった」
数時間後、私は魔法の練習を終えた同志たちを集めた。
話したいことがあったからだ。
「同志オットー、大分魔法の威力が上がったぞ」
「それはよかったな。同志レオンよ」
我ら世界征服同盟は、十名の精鋭と数名の支援要員によって運営されている。
全員が金に汚い資本家連中や、その犬となっている政治家たちのせいで不遇な生活を送っているが、魔法の練習を始めたら表情が明るくなった。
やはり魔族は、魔法を使ってこそ光り輝く。
上達した魔法を駆使し、必ずや人間の国を征服するのだ。
それこそが、我ら魔族に相応しい生き方なのだから。
「同志オットーよ。陳情は与野党双方に無視されたと聞くが……」
「嘆かわしいことだ。目の前にすべてを解決する妙案があるのに、人権だの、戦力だの、予算だのと、人間と魔族の融和などと戯言を言って我々の政策を批判する。魔族の衰退を止められなかった政府、自分たちさえよければいいと思っている資本家の豚ども、その御用聞きをしているマスコミども! あいつらの自分のことしか考えない姿勢にはヘドが出る!」
綺麗事を言いながら、魔族の若者たちから搾取し、その心を殺しているのはお前らではないか!
人間の人権?
そんなものは、我々が人間を支配をすれば解決する。
我ら魔族がこの世界の支配者となり、人間を支配すれば終わる話なのだ。
「同志オットーよ。これからどうするのだ?」
「勿論事を起こすが、それには時間がかかる」
「やはりそうか……」
なにしろ、民権党政権が成立したばかりだからな。
下手に焦ると、我々を警戒している防衛隊に捕まりかねん。
「だが、民権党の連中は無能だ! 必ず警備隊の足を引っ張るようになる!」
その時に、一気に事を起こすのだ。
「事を起こす?」
「我らは少数である。組織も決して大きくはない。だから、とにかく目立って多くの賛同を得るのだ!」
「目立つかぁ……。なにをするのだ?」
「決まっておろう。魔王とバウマイスター伯爵を暗殺する」
政府や国権党へのテロはまずい。
あいつらは自分が一番可愛いから、自分たちを殺そうとした者たちに容赦はしないはず。
ところが、魔王とバウマイスター伯爵なら違う。
魔王は、今はなんの実権もないが、幼いながらも美しい少女だと聞く。
彼女が将来政界に進出したら?
自分の椅子が奪われるのではないかと、戦々恐々する政治家たちも多いはずだ。
バウマイスター伯爵に至っては、他所の国の人間である。
この二人を殺せば、大きな知名度が得られる。
刑務所に四十年ほど入らねばならないが、この国では死刑制度が廃止されたからな。
必ず出所はできるのだ。
「バウマイスター伯爵を殺せば、その後ろにいるヘルムート王国が怒るはずだ。あとはちょっと刺激すれば戦争になる。戦争になれば、なし崩し的にリンガイア大陸に出兵が可能となろう。戦って勝利し、人間どもを支配すればいい」
「おおっ! さすがは同志オットー」
「さすがだ!」
「自ら行動し、我ら魔族の礎となるのですね」
我々の考えがなかなか認められないのは、お行儀よく自分たちだけが可愛い政府や資本家、マスコミ連中のルールで動いているからだ。
我々がそのルールを、枠組みを徹底的にぶち壊し、新たな世界と秩序の切っ掛けとなる!
「今は耐える時である! 必ず民権党のアホどもは防衛隊の牙を抜こうとする! その時こそ、魔王とバウマイスター伯爵の最期なのだから」
別に恨みがあるわけでもないがな。
私たちのために、二人には死んでいただかねばならない。
「というわけで、私も魔法の練習に励むかな」
「おおっ! 同志オットーがか! あなたの魔力量はすさまじいからな」
「バウマイスター伯爵は人間の間では高名な魔法使いだと聞くが、同志オットーには勝てまい」
私の魔力は、魔法のエリート一族であった魔王にも勝る。
必ずや二人を血祭りにあげ、私は新たな高みへと昇るのだ。
そう決意した私は、その後も日が暮れるまで、同志たちと共に魔法の鍛錬に勤しむのであった。
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