第262話 オイレンベルク騎士爵
「ワシくらいの年寄りになると、ミズホ料理の方がサッパリしていて美味しいの。脂っこいものが辛い年になったのでな」
「遠慮なくどうぞ」
「すまぬの、婿殿」
結局、開通させたトンネルの管理に関する問題は解決しなかった。
北側の出入り口に領地を持つオイレンベルク卿が、その能力を持たなかったからだ。
ブライヒレーダー辺境伯家と王家は、これを強引に奪うと発生するであろう風聞の悪さを恐れ、自分たちが管理することを了承しなかった。
トンネルの検査と工事に時間がかかるので時間的な猶予はあるという理由で今日は結論を出さず、みんなそれぞれに王都や領地に戻ってしまったのだ。
仕方がないので、トンネル自体の管理はローデリヒが増員した兵たちを率いるトーマスとニコラウスに任せた。
俺たちも一時屋敷に戻ったのだが、今日はホーエンハイム枢機卿が夕食をご馳走になりにきていた。
メニューは、最近エリーゼや屋敷の料理人たちが覚えたミズホ料理が主体で、これが年寄りであるホーエンハイム枢機卿に好評であった。
この世界は西洋風な世界なので、脂っこい料理が……昔のバウマイスター騎士爵家は例外として……多い。
胃にもたれる年齢になったのであろう。
彼はミズホ酒をチビチビと飲みながら、枝豆、ナスの揚げ浸し、汲み豆腐、アユの塩焼きなどを美味しそうに食べていた。
アユは、帝国でも北部の川でないと獲れない魚で、ミズホ伯国もといミズホ公爵領の特産品でもあった。
ホーエンハイム枢機卿は、アユの腸で作られたウルカも美味しそうに口に入れている。
「ミズホ伯国……もとい公爵領か。産品は珍しく、王国の貴族や金持ちたちがこぞって食材を購入するかもしれない。脂っこくなくて、女性や年寄りにも人気が出そうだ」
地球でも、ヘルシーブームで欧米人が和食を食べていた。
この世界の人間も、ミズホ料理をそういう位置づけで捕える人が多いのだと思う。
「直接貿易の権利を得て正解でした。最大の成果です」
俺はミズホ公爵から親友認定されているので、貴重な品も安く融通してもらえる。
所謂、友情価格というやつであった。
「帝国政府からの褒美の方が莫大であろうに」
「それは、ただ事前の契約どおりの報酬を貰っただけですから。もう終わったことです」
ブランタークさんも導師も、そういう感覚でしかない。
下手に欲張って報酬の増額を狙うなんてことをすれば、ろくな結果にならないと思っているからだ。
「婿殿らしいか……。ところでエリーゼよ」
「はい」
ホーエンハイム枢機卿は、俺の隣の席に座るエリーゼに声をかけた。
「子供はまだか?」
「すみません、お祖父様。まだです……」
「それはですね……」
「事情はわかっておる。念のために聞いておいただけだ」
まだ子供ができない理由は、これまでは魔法薬で避妊をしていたからだ。
最初は、新婚なので一年位は子供がいなくても……という考えから。
帝国の内乱に巻き込まれて以後は、内乱中に妊娠してしまうと戦力が減少してしまうから、という理由からであった。
「エリーゼに子供が生まれないと、関係もないのに余計な心配をするバカ共が増えるのでな」
「今は避妊していませんし、時間の問題でしょう」
「それは頼もしいな」
「しかし、聖職者であるホーエンハイム枢機卿が、そんなことを口にしてよろしいのですか?」
一応……というのも変か……。
聖職者なので、色々とパブリック的な理由から問題になるのではないかと心配してしまった。
「勿論、公の席では口にせぬよ。教会には、子供ができなくて相談にくる信徒たちも多い。ワシのような物言いをすると、大きな問題になるのでな」
教会では建前の方が優先であるが、ホーエンハイム枢機卿は子爵でもある。
貴族ならば、後継ぎの心配をしても当然というわけか。
「婿殿はまだ十七歳。実は心配はしておらぬがの。それに……」
ホーエンハイム枢機卿は、端の席に座っているアマーリエ義姉さんに視線を向けた。
彼女は公式には侍女長扱いなのだが、実際にはメイド服など着ていない。
屋敷の中で細々と俺の身の回りの世話をする係として、バウマイスター伯爵家内では実質的な妾扱いされている。
着ている服も、エリーゼたちのものと質的な違いはなかった。
「私は……」
「別に構わぬよ。マインバッハ卿は常識的で、貴族の道理を弁えておるようだからの」
「父をご存じなのですか?」
「教会の枢機卿ともなるとな。それなりに情報は入ってくる」
ホーエンハイム枢機卿が、妖怪ジジイ扱いされる理由はここにある。
法衣子爵にして枢機卿ではあるが、彼はずば抜けた財力や大規模な家臣団を抱えているわけではない。
ホーエンハイム子爵家は法衣貴族で、領地などないのだから。
だが彼は、王国全土から帝国にまで広がっている、教会を介した情報ネットワークを握っている。
これがあるために、過去には陛下すら煮え湯を飲まされた経験があると聞く。
情報は、大きな力となるからな。
「六人か……。今の婿殿には少ないくらいだな。ワシも貴族なので、奥の序列を乱さなければなにも言わぬよ。自由に子も産むがいい。なにしろ、バウマイスター伯爵家には一族が少ないからの」
側室の子供を分家の当主にして、各地に代官などとして派遣し、支配力を強めなければいけないらしい。
初代ってのは大変なんだな。
「バウマイスター伯爵領は巨大すぎる。婿殿は、頑張って子供を作らぬとな」
「なんと言いますか……種馬みたいですね」
「言い得て妙じゃな。貴族や王族などみんなそうじゃぞ。血統をコントロールして子供を産ませるのだから。おっと、話が逸れたな。お客人は肝が据わっておるの。さすがは、元公爵閣下にして元次期皇帝候補と言うべきか……」
ホーエンハイム枢機卿の視線は、アマーリエ義姉さんから客人として夕餉に招待されたテレーゼへと向かう。
さすがというか。
彼女はこういう席に慣れていないアマーリエ義姉さんとは違って、元公爵に相応しい、ふてぶてしさを含んだ笑顔を浮かべていた。
「妾はフィリップ公爵位を失い、捨扶持を与えられて一人バウマイスター伯爵殿にお世話になっている身。次期総司教と目されているホーエンハイム枢機卿ともあろう方が、自ら気にするような者ではないと思うのじゃが……」
「いやいや、ただのジジイが孫娘の心配をしておるだけじゃよ」
ホーエンハイム枢機卿は、テレーゼが俺に妻になって子を産み、その子を次期バウマイスター伯爵にすべく、色々と画策するのではないかと心配しているのだ。
確かに、創作物ではよくある話ではあるか。
「身分が上がれば上がるほど、疑り深くなる人たちが多いの。妾はもう、そういう世界からは逃れられたと思っていたのじゃが……」
「本人がそう思っても、周囲が同じように思うのか、という懸念もありますからの」
「ホーエンハイム枢機卿ともなると、世に心配のタネが多くて大変じゃの」
「あくまでも、万が一の可能性だと……ワシはそう思いたいのだよ。テレーゼ殿にはおわかりいただけると思うが」
「万が一ということは、ほぼないと見ていいのかな?」
「それは、テレーゼ殿次第かと」
テレーゼは、ホーエンハイム枢機卿と目線を合わせた。
見ているこちらは、その間で火花が散っているように感じてしまう。
「お爺様」
「人間、年を取ると疑り深くなって困りますな」
エリーゼに声をかけられて、ホーエンハイム枢機卿は表情を崩した。
「ホーエンハイム枢機卿の孫娘への想いがよくわかるというもの。妾の祖父はすでに他界しておるので、羨ましい限りじゃ」
二人は対立をやめたが、ホーエンハイム枢機卿の懸念は終わっていない。
バウマイスター伯爵領内の教会経由で情報を集め、なにかあったらすぐに動くと、テレーゼに圧力をかけたのだ。
もっともテレーゼ自身は、すでにその手の権力闘争は真っ平ゴメンだと思っている節がある。
監視したいのなら、どうぞご自由にという態度だ。
露骨なアピールも止まり、エリーゼたちとも友達付き合いをするようになったテレーゼであったが、俺はなぜか彼女から迫られないことで、少し寂しさのようなものを感じている。
これも、実は彼女の策なのであろうか?
しかしながら、女性とは本当によくわからないものである。
「ここは、孫思いのところを見せるために情報を開示しては如何かの?」
「それもそうですな」
テレーゼのいう情報とは、今日出会ったオイレンベルク卿やその領地についてのことであろう。
かの領地にも教会はあるので、ホーエンハイム枢機卿は情報を持っているはず。
「なんとも、可哀想になる話じゃがの……」
ホーエンハイム枢機卿に言わせると、オイレンベルク卿はとても気の弱い善人なのだそうだ。
「気が弱いというか、彼らからすれば陛下は襲爵の儀で一生に一度だけ会う雲の上の人。ブライヒレーダー辺境伯や閣僚級の大貴族たちなど、一生顔を合せない人たちだと思っておるわけじゃ」
「うちの実家と同じく田舎ですからね」
オイレンベルク騎士爵領はほぼ自給自足で、特産品のマロイモを、近隣の町や村に売りに行って現金収入を得ている。
「近所の村や町とはブライヒレーダー辺境伯領じゃが、そこにブライヒレーダー辺境伯はおらぬからの」
三百人の領民たちと共に畑を耕し、収穫の量に一喜一憂する。
他の貴族たちとの交流には興味がないし、大半の貴族たちはオイレンベルク卿の存在を知らない。
貴族ではあるが豪農に毛が生えた程度で、昔のバウマイスター騎士爵領よりも貴族的な部分が少ない。
裕福でもないが、貧しくもない。
領主は過酷な税など取らないし、善良で優しいから領民たちに不満などない。
貴族らしくはないけど、領民たちからすればいい領主様なのか。
「そういえば、温厚な方々が多かったですね」
エリーゼは、帰りにマロイモや他の野菜を購入したが、外からの客人相手に吹っ掛けるような真似はせず、直売所のように安い値段で売ってくれた。
人間が非常に善良なのだ。
「でもさ。ああいう統治形態だと、次男以下が困らないかな?」
「いや、困らぬな」
ルイーゼの疑問に、ホーエンハイム枢機卿は答える。
「あの領地からブライヒブルクに出るのは、さほどの難事でもない」
オイレンベルク騎士爵領でのんびりやりたければ残ればいいし、一旗揚げたければブライヒブルクで働き口を探せばいい。
一旦領地の外に出ても、帰省で故郷に戻って来て過ごす者たちも多く、それだけオイレンベルク領が物質的に豊かである証拠であった。
さほどお金がなくとも生活ができ、食料にも困らないのだから。
そのせいか、領民たちには人がよさそうな者たちが多かったように思える。
「買い物も、近くの村や町でできるからな」
そう聞くと、昔のバウマイスター騎士爵領より生活に余裕があるのかもしれない。
「マロイモで現金収入か」
「あのイモ、甘くて美味しいしね」
オイレンベルク騎士爵領の周辺の町などでは、とても人気があるイモらしい。
栽培条件のせいで、オイレンベルク騎士爵領でしか収穫できないようだから、すぐに売れてなかなか手に入らないのだ。
「オイレンベルク卿は、無理に貴族として見栄を張るような人物でもないしな。あの息子も、特技はイモの品種改良と栽培方法の研究らしい」
似た者親子で気は弱いようだが、マロイモに関しての知識には素晴らしいものがあるそうだ。
しかし、こんな情報を得られるとはさすがは教会というべきか。
「事情を聞くと、余計に可哀想になってきた」
あの親子は、領民たちとマロイモを栽培していれば大満足なのだ。
そんな彼らに、千人からの兵士を雇って家臣団を形成し、トンネルの管理を行うように強制する。
あの場にいたのは、大物貴族たちばかりである。
過去には悪辣なこともしているはずだが、だからこそ、オイレンベルク卿のような人物を見ると居た堪れなくなってしまうのであろう。
「ブライヒレーダー辺境伯が泥を被れば解決するのに、あの男、躊躇しおって」
「なぜなんでしょうかね?」
「婿殿のせいで、あの男は王国貴族たちから一人勝ちしていると思われておるからの。これ以上の利益は、かえって毒だと思ったのかもしれぬ」
どうせなら、このまま突っ走ってしまえばよかったのにと、俺は思ってしまう。
「なににせよ、しばらくは様子見じゃの。あの男がトンネルの学術調査をするのであろう?」
あの男とは、今この場にいないアーネストのことである。
彼はトンネルの学術調査を行う準備で、自室に籠っている状態であった。
「アレも厄介な存在よな」
ホーエンハイム枢機卿は、とっくにアーネストの正体に気がついていた。
気がつかないわけがないか。
「バウマイスター伯爵領内中の地下遺跡を調査している間は大人しいかと」
「そうよな、婿殿よりも魔力が多い者など、拘束しようと考えるだけ無駄だからの」
好きなことをしていれば大人しく、その好きなことも王国にとって利益となるものなので、現状では俺に預けるしか方策がないというわけか。
結局押し付けられたな。
「婿殿は、しばらくオイレンベルク領通いか?」
「はい」
トンネルの学術調査をするアーネストの送り迎えと監視、あとはオイレンベルク騎士爵領の情報収集も進めるべきであろう。
領内の工事もたまにして、冒険者としての狩りは、リーグ大山脈のワイバーンと飛竜を相手にする予定であった。
すぐ近くにやつらは生息しているからだ。
「あの領地も、しばらく大変であろうからの」
「その話に聞く、朴訥で気が弱い親子がまた卒倒しかねないの。難儀なことじゃ」
「ふふっ、テレーゼ殿はさすがにおわかりか」
「比較的、簡単に想像がつくの」
「確かに」
ホーエンハイム枢機卿は、エリーゼのライバルとしてのテレーゼは警戒しているが、優秀な貴族であったという点は好んでいるらしい。
彼女と楽しそうに会話を続ける。
「余計な虫が入らないように、しばらくは頼むぞ。婿殿」
「はい」
とはいえ、トンネルの情報は関係者以外には漏れていないので……とも言いきれないか。
トンネルに配置したトーマスたちの活躍に期待しよう。
ただ結局、ホーエンハイム枢機卿の予想は現実のものとなり、たかがトンネルの開通だけで、俺たちはまたも貴族たちのしょうもない主導権争いや、競争に巻き込まれることとなってしまうのであった。
「本当、うちの実家よりも田舎だよなぁ……」
しばらくオイレンベルク騎士爵領での滞在が決まり、俺たちは『瞬間移動』で現地へと飛んだ。
トンネルの警備はトーマスたちに任せ、アーネストは彼らの監視の下で学術調査を行っている。
「素晴らしい造りであるな!」
ただの大きなトンネルなのに、学術調査には一週間ほどかかるらしい。
彼の調査につき合っても俺たちはつまらなそうなので、トーマスたちに任せることにしよう。
「雄大な田舎だなぁ……俺の実家よりも……」
トンネルの外に広がる斜面の畑を見ながら、エルはオイレンベルク騎士爵領の田舎ぶりにあらためて感心していた。
「斜面は一面マロイモ畑ね」
イーナも、斜面にあるマロイモ畑を見下ろしていた。
なぜか山の斜面で、朝夕に気温が下がらないとマロイモは栽培できない。
しかも昼時には温暖な気候の方が育ちがいいようで、この大陸南部リーグ大山脈沿いは、その条件を十分に満たしているというわけだ。
「ミズホ公爵領では、栽培が難しいわね」
「いえ、ミズホ人は食べ物に関しては不可能を可能にします」
「(絶対にないと言い切れないな……)」
もうすぐエルとの結婚式であるが、今日は特に用事がないハルカもエルについてきた。
彼女は、マロイモでなにか料理を作れないか考えているようだ。
こういう部分は、さすがはミズホ人というべきか。
「ヴェル、あの人は後継ぎさんの……」
目がいいルイーゼが、一人重要人物を見つけた。
「ファイトさんだよな」
斜面の畑に、昨日父親と一緒に土下座していた跡取り息子のファイトさんを見つける。
この人、名前は勇ましいのだが、見た目からして争い事などとは一切無縁の、人のいい青年にしか見えなかった。
農民たちに指導をしているようだが、貴族なのに帯剣すらしていない。
他の貴族たちに見られるかもしれない、という感覚すら皆無なのであろう。
「これはこれは。バウマイスター伯爵様ではありませんか」
ファイトさんは俺たちを見つけると、怒涛の勢いでこちらに駆け寄って来て、低姿勢で挨拶をした。
この斜面を苦もなく走れるので、武芸には縁がなさそうだが、見かけよりも運動神経と体力はあるのかもしれない。
「ファイトさんはオイレンベルク騎士爵領の跡取りなのですから、あまり低姿勢にならなくても……」
昨日の土下座よりはマシだが、どうもこの親子、あまり他の貴族たちとの交流がなく、加えて他の貴族は、すべて自分たちよりも偉い人だと思っているようだ。
立場的には同じなので、そういう態度はやめてほしいのだが……。
「すみません、つい癖で……」
「おいおい慣れていただければ……」
時間がかかりそうだなと思いつつ、話題を変えて他の話をふる。
「これが、マロイモの畑ですか」
「はい、曽祖父の代から数十年、苦心してここまで広げました」
ワイバーンや飛竜が来ない斜面を開拓して、見事なマロイモ畑が広がっていた。
「栽培は難しいのでしょう?」
「甘くするには、気候条件や畑の場所以外にも色々と注意が必要ですね」
ファイトさんは、マロイモの話になると饒舌になる。
剣を振るうよりも、マロイモを作る方が好きなのであろう。
「(貴族よりも、研究者になれば幸せなのに……)」
イーナがボソっと漏らすが、確かに貴族よりは研究者向きであろう。
日本なら、大学の農学部に進んで博士にでもなっているような人だ。
テレビのバラエティー番組で、マロイモ博士とか紹介されるタイプだと思う。
「マロイモは、タネ芋を直接植えてもほとんど収穫できません」
ファイトさんが案内したのは、サツマイモを発芽させる室(ムロ)に似たものであった。
「このように、室で発芽させてツルの部分を畑に植えるのです」
「その辺は、サツマイモと同じなのか」
「そうですね。マロイモは、サツマイモの突然変異種なので」
だから、サツマイモと栽培方法が似ているのか。
「ツルを植えてから、およそ三ヵ月で収穫です」
大陸南部は、朝晩が寒い山岳部などを除くと一年中温暖な気候だ。
つまり、マロイモは年に三回くらい収穫できることになる。
いや、上手くやれば四回獲れるか?
「室での発芽、斜面の畑、朝晩の温度差。他には?」
「土の質ですね。これを見て小まめに追肥を行います」
「若様ぁーーー!」
とそこに、農作業中の農民が姿を見せた。
ファイトさんに用事があるみたいだ。
「オラの畑の土の様子を見てほしいんだべ」
「土が駄目なのかい?」
「ちいと、追肥が足らねえかもしれねえだ」
「見てみる」
ファイトさんはその農夫の畑に行き、土を手に取ると口に入れて味を見始めた。
「それでわかるんですか?」
「ええ。もう少し追肥が必要だな。川魚のは駄目だよ。落ち葉と草で作った肥料の方を追肥しないと」
「さすがは若様だべ。すぐに追肥するだ」
「そうだね。早く対処すれば甘くなるから」
土の質を見るのに味見をする。
そんな人が、昔にいたような気がする。
「大変なんですね」
「ただ栽培するだけなら問題ないのですが、甘くするのが難しいのです」
その代わり、苦労して育てた甘いマロイモはすぐに売れてしまうそうだ。
その人気のせいで、ブライヒブルクにも滅多に入荷しないのだから、よほど人気なのであろう。
「おかげで、一日中畑にいますね」
と、こんな感じで彼から説明を受けたのであるが……。
「もの凄く罪悪感を感じますね……」
「ヴェル、あの人にトンネルの警備と管理なんて無理よ」
「完全なミスマッチだよね、ボクも無理だって保証しちゃう」
「他の人に任せるべき」
「絶対に引き受けないと思いますわ」
トンネルの前で、マロイモの石焼きを作りながら輪になって話すのだが、エリーゼたちから出てくる言葉は、『ファイトさんに任せるのは無理だし可哀想』であった。
「確かにな。俺も散々苦労したのに、いきなり経験もないあの人に千人も指揮するなんて無理」
内乱で軍の指揮を習ったエルからすれば、いきなりファイトさんが、千人もの警備隊を指揮してトンネルの警備と管理ができたら、それこそ奇跡だと言わんばかりであった。
その考えに俺も賛成だ。
「なにより本人が望まないしなぁ……」
「胃に穴が開くんじゃないのか? あの人」
エルは精神的にもタフなのでなんとかなったが、ファイトさんは大物貴族を見ると土下座をしてしまうような気の弱さがある。
父親も同じなので任せられず、こうなると、ブライヒレーダー辺境伯か王国が強引に所有をするしかないと思うのだ。
悪評は……今さら一つくらい増えてもどうでもよくないか?
他人事だから、そう言えるのかもしれないけど。
「みんな急にいい人ぶってな。マロイモが沢山栽培できそうな広い領地に転封してあげた方が、あの親子は幸せじゃないのか?」
「だよなぁ……」
残された課題を持ち帰った陛下やルックナー財務卿たちからは、まだ連絡がきていない。
俺たちだけでできることなんて、たかが知れているのだから。
「お館様、マロイモが焼けました」
「おおっ! 焼けたか! いい匂いだな」
火の番をしていたハルカが、マロイモが焼き上がったと報告しに来た。
自家製造した石焼機の蓋を開けると、香ばしく甘い匂いが辺り一面に広がる。
この石焼機は、俺の微妙な画力で描いた設計図を参考に、バウマイスター伯爵領に招聘した魔道具職人たちが製造した逸品である。
高性能の魔晶石により、一度魔力を補填すると長時間芋が焼ける。
石焼に使う石も、俺が丁寧に魔法で同じ大きさにカッティングしたものだ。
しかも、わざわざ溶岩石を採ってきて加工しているから、遠赤外線効果もバッチリであった。
おかげでコストが五十万セントくらいかかっているが、美味しい石焼きイモのためならば十分に許容できる範囲だ。
少なくとも、俺は高いとは思わない。
他の調理にも使えるからな。
「凄いな。このマロイモ、蜜が垂れているぞ」
マロイモは前世にあった安納芋よりも甘みが強く、石焼きにすると蜜が垂れるほど糖分を蓄えていた。
「蒸かしたものよりも、こちらの方が美味しいな」
「「「「「「甘ぁーーーい」」」」」」
どの世界でも、女性は焼き芋が大好きであることが確認された。
みんな幸せそうな顔をして、石焼イモを食べている。
勿論俺も幸せだ。
「あなた、またお土産に買って帰りましょう」
「そうだな。このマロイモで、プリンやケーキを作ると美味しいかも」
「帰ったら試しに作ってみますね」
ついマロイモの美味しさのせいで現実逃避してしまったが、思い直して対策を……と思ったが無理なので、近場の山でワイバーンと竜狩りをして一日を終えた。
そして、それから六日間。
アーネストによるトンネルのの学術調査が終わるまで、俺たちはオイレンベルク騎士爵領でマロイモを焼いて食べ続け、狩りを行い、たまに俺だけは土木工事のために抜けた。
「なあ、ヴェル。これからどうなるの?」
「さあな?」
それを決めてくれそうな大人たちは、みんな考えが纏まらないようで連絡すら寄越さないのだから。
「試しに作ったプリンも美味しかったですが……」
「エリーゼの作ったケーキも美味しかったけど……」
「ハルカの作ったキントンとイモヨウカンも美味しかったね」
「でも、それを上回るのが……」
「石焼きイモですわね」
「最高の食材の場合、調理に手間暇をかけるよりも、単純な調理方法の方が美味しいことがありますから」
「私、真理を聞きましたわ」
オイレンベルク騎士爵領の問題が一向に進まないので、時間が空いた女性陣はマロイモの調理研究に没頭していた。
最初に結論から言うと、焼きイモが至高の調理方法のようだ。
それには俺も賛同する。
プリンもケーキもキントンもヨウカンも、十分に美味しいと思うけど。
「というか、マロイモの調理方法しか進歩してないじゃないか」
「それだけでも進歩したんだから、上等だと思うぞ」
「いや、それは貴族としてどうよ?」
「人間、食べないと生きていけないじゃないか! トンネルの所有権なんて数十年、数百年で移ろうものだけど、至高の料理方法は、何千年、何万年も人々の記憶に残る文化となるのだから!」
自分でもとてもいいことを言ったと、俺は自画自賛した。
もしかすると、バウマイスター伯爵語録として後世に伝わっていくかもしれないな。
「いかにもそれっぽいことを言っているけど、ヴェルだって現実逃避しているじゃないか……」
エルが呆れていたが、なにも解決しないまま一週間だ。
そのままなわけもなく、やはり問題が発生した。
「いやあ、内乱のお話を聞かせてほしいって講演で言われ続け、本当に疲れたぜ」
突然ブランタークさんから連絡があったので、『瞬間移動』でブライヒブルクに迎えに行くと、どういうわけか彼は、大量のお見合い写真を抱えていた。
「ブランタークさん、奥さんを増やすんですか?」
「俺にじゃねえよ、ファイト・フランク・フォン・オイレンベルク殿にだ」
「もうかよ……」
「もうだよ」
さすがに俺でも察しはつく。
つまり、なんらかの理由で情報が漏れて、ファイトさんと自分の娘や妹と政略結婚をさせようと企む貴族が現れたのだ。
「誰が漏らしたんです?」
「こういう情報は、なぜか漏れてしまうんだよな。全員が犯人かもしれないし、じゃないかもしれないし」
「そんなことはどうでもいいか……」
お見合い写真は、あくまでもオイレンベルク騎士爵家に来たものだ。
俺たちが判断するわけにいかない。
ブランタークさんは、ブライヒレーダー辺境伯からの使いだと言ってオイレンベルク卿に挨拶をしてから、お見合い写真の束を渡した。
少なく見積もっても、三十枚以上はあるだろう。
「あの……バウマイスター伯爵殿?」
「はい」
「どうしましょうか?」
「どうしましょうかって……」
俺が決められるはずがない。
オイレンベルク騎士爵家に来たお見合い話なので、当主であるオイレンベルク卿が決めなければいけないからだ。
彼の気弱そうな顔を見たブランタークさんは、顔を反らして溜息をついた。
「(伯爵様、このおっさん大丈夫か?)」
「(大丈夫とは保証できません)」
「今までのオイレンベルク騎士爵家当主の婚姻などを参考に、受ける受けないを決めればよろしいかと」
エリーゼが至極当たり前の返答をするが、オイレンベルク卿の不安そうな表情に変化はなかった。
「オイレンベルク騎士爵家って、ブライヒレーダー辺境伯家の寄子ですよね?」
「はい」
「(その割には、ブライヒレーダー辺境伯がよく知らなかったような……)」
同じ僻地にあっても、バウマイスター騎士爵家はもっとブライヒレーダー辺境伯の記憶に残っていたと思うのだ。
「そりゃあ、先代のせいで商隊を出したり、借金まで肩代わりしていたんだ。記憶には残るだろう」
過去に迷惑をかけ、その後沢山迷惑をかけられたバウマイスター騎士爵家は、ブライヒレーダー辺境伯の記憶に残っているというわけだ。
これを、悪目立ちしているとも言う。
「(オイレンベルク騎士爵領は、今回の件がなければ、お館様の視界に入らなかっただろうな)」
リーグ大山脈と接した人口三百人ほどの小さな貴族領で、彼らは人に迷惑をかけているわけでもない。
本当に穏やかに、日々平々凡々と暮らしてきたので、忙しいブライヒレーダー辺境伯からすると、逆に手がかからなすぎて記憶に残っていなかったのだと思う。
「でも、貴族家ですから、過去には婚姻の斡旋とかあったでしょう?」
「それが……うちは今まで、他の貴族と婚姻をしたことがないのです」
「えーーーっ! そんなことってあるの?」
あのバウマイスター騎士爵家でも、当主や跡継ぎに嫁を迎え入れる時期になれば一人前に悩む。
ところがオイレンベルク騎士爵家は、それをしたことがないと言うのだ。
「どこから嫁入りさせているのですか?」
「我がオイレンベルク騎士爵家を知っている貴族は少ないですし、こちらも畑仕事が忙しいので他に頼みに行く余裕もなく、近隣の町の商人の娘とか、領内の名主の娘とかですね」
「それで済むのね……」
「咎める人もいないんだね……」
イーナもルイーゼも、貴族としての常識から外れたオイレンベルク騎士爵家に驚きを隠せないようだ。
普通、跡取りの正妻に貴族の娘を迎え入れない貴族は確実に問題になるのだが、オイレンベルク騎士爵領を知っている貴族がいないので、それを問題にする人たちがいなかったというわけか。
「(まさに、ステルス貴族だな……)」
どこかの王太子殿下も、そんな感じではあるのだけど……。
「ヴェル様、ファイト様の婚約者の有無とか聞いておくべき」
「そうだな」
「というわけでいますか?」
ヴィルマに指摘されたので、俺は当事者であるファイトさんに婚約者の有無を尋ねた。
「います」
「いるのか……」
ファイトさんは、すでに二十歳にはなっているはずだ。
婚約者くらいいても、不思議ではないか。
「はいっ! 名主の娘で幼馴染の……」
「ファイト様!」
そこにタイミングよく、その婚約者らしき娘が飛び込んできた。
年齢は十六歳くらいであろう。
服装は平民のそれに準じているが、なかなかに可愛らしい娘である。
「マリタじゃないか。どうしたんだ?」
「あの……。おっとうから、ファイト様が貴族の娘様とお見合いをするって聞いて」
「いや、まだすると決めたわけでは……」
「だども、そんなに簡単には断れねえって。わたすは潔く身を引くだ」
マリタという娘は、自分は潔く身を引くと宣言する。
身を引く必要は正妻になる貴族の娘次第だと思うが、常識的に考えて正妻にはなれるはずがない。
生まれてくる子供の継承順位などで揉めないようにするため、正妻に子供が生まれてから、妾として入るのが常識であろう。
「マリタ、私たちは子供の頃に約束したじゃないか。二人で結婚して、ささやかにこのオイレンベルク騎士爵領を治めていこうって」
「だども……」
「マリタは、あの時のことを忘れたのか?」
「いんや。ファイト様がまだ四歳のわたすに、『お嫁さんになって欲しい』ってプロポーズしてくれたのは覚えているだ」
「なら!」
「んだども……」
「オイレンベルク騎士爵領に、他の貴族の娘なんていらないよ! 私はマリタとだけ結婚したいんだ!」
「ファイト様!」
二人は、まるでメロドラマのようなシーンを展開してからその場で抱き合った。
ブランタークさんは『そんなの通用するかね?』という表情を浮かべ、エルも同意見のようだ。
ただ、なぜかエリーゼたちは『いいものを見れた!』と感動しているようだ。
「ファイトさん、これまでのオイレンベルク騎士爵領の慣例に従っても問題ありません」
こういう時に一番貴族の常識を言いそうなエリーゼすら、二人の味方を表明してしまう。
どうやら、幼馴染同士の純愛を間近で見て、感情の方を優先してしまったようだ。
「そうよ。このまま他のお見合いは断ってしまえば」
「トンネルの話が出てから、急に見合い話を持ってくる貴族たちなんて無視だよ!」
「ブライヒレーダー辺境伯様経由で話を持ってくるのが卑怯。ここは戦うべき」
「そうですわ! 決めるのはファイトさんなのですから。あなたの男としての度量が問われているのです!」
「ミズホでも、当事者のやる気が政略結婚を捻じ曲げる例もあります! 頑張ってください!」
「みなさーーーん、冷静に考えてくださーーーい」
エルが、勝手に盛り上がるエリーゼたちを抑えようとするが、あまり効果はなかった。
まさか、真面目なエリーゼやイーナ、ハルカまでもが賛同に回ってしまうとは思わなかったからで、女性陣を説得する言葉が思いつかないようだ。
俺も、女性陣全員がファイトさんとマリタの結婚に全面的な賛同をするとは思わず、つい口をあんぐりとさせてしまった。
「ヴェル、お前が止めに入れよ」
「そうだな」
「おっ! 珍しく嫁たちに逆らうか!」
「エル君、私はバウマイスター伯爵なのだよ」
まったく、エリーゼまでが一時の感情に流されてしまって……。
俺はバウマイスター伯爵であり、貴族としての慣習を守らないオイレンベルク騎士爵家の跡継ぎを、正しい貴族への道に導く必要があるのだから。
これぞ、貴族としての責務というわけだ。
「ヴェルの鬼!」
「ルイーゼ、なんとでも言うがいいさ」
「いいかね? ファイト殿」
「バウマイスター伯爵殿」
覚悟を決めたファイトさんは、マリタを後ろに隠して俺と対峙する。
その守るべきものができた彼の目には、たとえ俺が相手でも、一歩も引かぬ強い意志が色濃く反映されていた。
あきらかに向こうの方が格好良かったが、俺は大貴族であり、時には悪役や憎まれ役もしなければいけないのだから。
「いいかね? ファイト殿」
「伺いましょう」
「貴族が自由な恋愛なんて、これ以上の贅沢はないのだ」
「しかし、必ずではない」
「そう。だけど、今のオイレンベルク騎士爵領の状況を考えればそれは不可能に近い」
トンネルの管理が独自にできない以上、欲深貴族の娘でも、受け入れてその実家の助けを借りるしかないのだから。
「いいえ、私はその道を選びません!」
「では、どうするのかね?」
「私はマリタと夫婦になって、マロイモの栽培ができればいいのです! 代替の領地を準備していただければ、私たちはそこで暮らします」
「ファイト様。せっかく、斜面の畑の土が出来上がってきたんだ。それをわだすのために捨てては駄目だ」
いや、その畑は多分工事でなくなると思うけど。
なんか言いそびれてしまった。
「マリタ、土は十年もあればまたできるよ。転封先に付いてこない領民もいるかもしれない。貧しい生活になると思うけど、私について来てくれるよね?」
「喜んで」
ファイトさんとマリタは抱き合い、エリーゼたちは惜しみない拍手を続ける。
ふと見ると、ブランタークさんもいつの間にかエリーゼたち側に寝返っていた。
情勢の変化に対応して裏切るなんて、酷いオヤジである。
「ファイトさんの覚悟に感動しました。俺もできる限りお館様を説得します」
「エルぅーーー!」
そして、ハルカの尻に敷かれているエルも瞬時に裏切り、逆に俺を説得すると言う。
というか、最初の発言はなんだったんだ!
まるで、俺が悪役みたいじゃないか!
ああ、悪役か……。
「あなた、たまには貴族の慣習を外れても構わないと私は思います」
「そうよ。二人が可哀想じゃないの」
「ヴェルの薄情者!」
「ヴェル様、酷い!」
「こういう時にための、バウマイスター伯爵としての力と名声ではないですか!」
「そうですよ! 内乱平定の功績で力があるのですから、ここはお館様の力で押し切ってしまいしょう」
どうやら俺は、すべての女性たちを敵に回してしまったようだ。
大貴族とは罪なものだな。
「伯爵様、ここは流れ的にだなぁ……」
「ブランタークさん、裏切るなんてずるいですよ……」
「俺は常に女性の味方だから」
ブランタークさんは、口笛を吹きながら俺から視線を外してしまう。
「お館様は、なにが不満なんだ?」
突然エルが、鋭く真相を突いてきた。
そう、確かに貴族としての慣習を守るという建前はあったさ。
だが、それ以上に俺には気に入らない点があった。
「年下の幼馴染……」
「えっ? なんだ? ヴェル?」
「小さい頃に結婚の約束とか、そんな羨ましい奴には制裁だ!」
俺は自分の思いを露わにする。
異性の幼馴染がいて、しかも小さい頃に結婚の約束までしていたとか……。
そんな物語や映画のようなシチュエーション。
一体どこのリア充なのだと、俺は怒りを露わにしてしまった。
「俺なんて!」
ヴェンデリンとしての五歳から十二歳には、完全にボッチで友達すら一人もいなかったというのに。
そして前世であるが、どう記憶を穿り返しても女の子の幼馴染など出てこない。
出てくるのは、男ばかりだ。
「かーーーっ! マロイモの研究のついでに、幼馴染の研究も完璧ですかって! 畜生! 俺なんて! 俺なんて!」
なんだろう?
この心の奥底から沸き上がってくる、やり場のない怒りは?
俺は、なにがなんでもこのカップルの結婚を阻止しなければと、さらに決意を固めた。
『リア充に試練を!』だ。
「すみません。うちのお館様、たまに変な発作が出るんです」
「気にしないでくれよな。普段はまともなんだが、たまにおかしくなるんだ」
俺の魂の叫びは、エルとブランタークさんからボロソクに言われてしまう。
さらに俺の実力行使は、エルとブランタークさんによって阻止され、俺もなし崩し的に、二人の結婚を支援する羽目になってしまうのであった。
おかしいだろう。
幼馴染同士で結婚とか。
物語じゃないんだって!
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