第254話 帝国内乱の終結(前編)

 地下要塞での戦いが終わってから一週間後。

 帝国で発生した内乱は完全に鎮圧され、ペーターは帝国摂政として戦後処理に奔走していた。

 俺は再び『瞬間移動』が使えるようになったので、急ぎシュルツェ伯爵を連れて陛下へ報告に戻っている。





「……なるほど。分厚い報告書よな」


「ええ。なにしろ、ほぼ一年分ですから……」


 俺はシュルツェ伯爵と協力して、これまでの経緯をすべて報告書に記載し、陛下に提出した。

 勿論主に執筆したのはその手の作業が得意なシュルツェ伯爵であったが、俺も大学生時代にはレポートを、商社マン時代にも報告書くらいは書いている。

 それなりに貢献はしており、シュルツェ伯爵から『思った以上にやりますね。文官としてもいけるのでは?』と褒められたくらいだ。

 これ以上仕事を増やされると困るので、適当に笑って誤魔化しておいたけど。

 なお、やはり親善訪問団でも偉い方なはずの導師は、報告書作成にはまるで協力してくれなかった。

 あの人に、報告書の記載などを頼む方が無謀なのかもしれないが。

 エリーゼは協力してくれたのに……。

 血縁と能力に相関関係はないというか……導師の場合、できてもやらない性格なんだよなぁ……。


「帝国との講和条約か……。結ばねばなるまい……」


 今回の帝国内乱では王国も損害を受けていたが、だからといって懲罰的な戦争をするわけにはいかない。

 一部軍部や貴族たちには跳ねっ返りもいたが、合理的に判断するのであれば、謝罪と賠償を引き出して講和というのが一番利益が大きいからだ。

 陛下のみならず、王国の閣僚たちでそれを理解できていない人はいないはず。

 強硬に開戦論を煽る連中は、そうすることで自分たちのみが利益を得ようとしている輩で、国全体の利益なんてこれっぽっちも考えていないケースが大半だ。

 理屈では勝てないので、感情論で煽る人も多いのが特徴かな。


「古代魔法文明時代に使われた古の兵器か……。厄介よな」


「はい、それも内乱中に大量に出現したのが驚異的です」


 現在、開発ラッシュで国力が増大中の王国と、内乱で疲弊した帝国。

 戦争になれば、国力比で王国の方が有利だと思う人が多いはず。

 だが、もし王国が帝国に攻め込めば、多数の発掘兵器で武装した帝国軍が防衛戦闘を行うはずだ。

 魔法使いの数や空軍戦力で有利でも、そう簡単に勝利できないであろう。


「疲弊した帝国の国力が上向くには時間がかかるが、以前よりも帝国は中央政府の力が強まった。内乱で戦闘経験を積んだ帝国兵と指揮官が多い。戦争は無謀とまでは言わぬが、適切ではない」


 王国はこれでまでどおり国力の増強を押し進め、帝国が経済を立て直す前に、彼らが得た古代魔法文明時代の発掘兵器類のコピーと戦力化を目指す。

 王国領内の地下遺跡の発見と探索を促進すべきだろう。


「長い目で見れば、帝国の中央政府が力を増したことはかの国のプラスとなろう。だが、しばらくは混乱は避けられぬ」


 改易が決まっているニュルンベルク公爵家の残党に、改易や減封されて不満がある貴族たちが組んで小さな反乱が頻発する可能性が高く、しばらく王国との戦争は避けるはず、というのが陛下の考えだ。


「数十年後、帝国が体制を立て直した頃には、王国との国力差はさらに増大しておる。その時に選択肢が多い方が、王国にとっては好ましい状況だの」


 別に王国が、武力行使を極端に恐れているわけではない。

 究極の平和主義というわけでもなく、国の歴史が長いので帝国を降すにしても、長い目で戦略を考える傾向にあるだけだ。

 もし両国間の国力差がもっと広がれば、将来帝国を従属させることも可能なのだから。


「その間にも対策は色々と打てるかの。ところでバウマイスター伯爵、帝国の新兵器とやらだが……」


「こちらです」


 巻き込まれた形とはいえ、俺も帝国で色々とやってしまっている。

 帝国に利する結果にもなっているので、ここはバランスを取らないといけない。

 ○○課長ばかりと仲良くしないで、ちゃんと○○係長ともコミュニケーションを取っておく。

 しがないサラリーマンであった俺の、ハブられないための心得でもあった。


「残念ながら王国の息のかかった軍勢は少なく、鹵獲品は帝国軍よりも少ないです」


 傭兵も合わせて七千人しかいなかったが、王国軍は無理にニュルンベルク公爵家諸侯軍と戦闘をする必要がなかった。

 そこでフィリップとクリストフは、地下遺跡内で一つでも多く鹵獲品を得る作業に没頭している。

 それでも人数が違うので、帝国軍ほどは確保できていないが。


「それについては仕方があるまい。勇んで兵を出し、壊滅させたアホもおるからの。それに比べれば、負けなしのバウマイスター伯爵たちにケチをつける理由が見つからぬよ」


 陛下は、謁見の間の端に集まってヒソヒソ話をしていた貴族たちを睨みつけた。

 どうやら彼らは、レガー侯爵の息がかかった連中のようだ。

 あとは、対帝国出兵論者、とにかく俺の責任を問いたくて仕方がない連中、そんな構成であろうか。

 他人に聞こえない場所で陰口を叩くくらいなら、俺に直接言えばいいのに……。

 陛下もいるので、それはできないのだろうけど。


「ドラゴンゴーレムのブレス発射装置は、前にバウマイスター伯爵がドラゴンゴーレムごと鹵獲しておるからの。魔道具ギルドの研究で量産は可能になっておる。拠点防衛用には使えるであろう。あとは、魔砲か……」


 古代魔法文明時代にも魔砲が存在し、それはミズホ伯国のものよりも性能はあきらかに上であった。

 最後にニュルンベルク公爵が操った巨大ゴーレムの背中に装着され、カタリーナが魔法で切り落としたものがほぼ無傷で手に入り、他にも予備の魔砲を数十門も鹵獲していたのだ。

 どういうわけか魔銃はなかったが、これはミズホ伯国独自のものなのであろうか?

 昔は魔法使いの数が多かったと聞いているので、魔銃がなくても火力はそれで充分だったのかもしれない。


「魔刀、魔銃、魔砲、自爆型ゴーレム、他にも数多の新兵器が実際に使われ、戦争のやり方が大きく変わった。これに対応できるようになるまで、帝国と戦争をしても意味がない。下手に相手に逆襲され、国力に劣る相手に大惨敗した無能な王と言われては堪らぬからの」


「ですが、帝国も運用が可能なだけです」


 修理も、軽微な故障が限界であろう。

 製造は当然無理で、その構造を理解し、かなり難しい修理も可能な魔族はこちらで確保している。

 ミズホ伯国ならば将来的には同程度のものが製造可能かもしれないが、彼らは本質では帝国貴族ではない。


「古より続く高度な技術と、独特の文化を持つ民族と領地か……」


「はい。彼らは安全保障政策上、帝国の自治国となったという面が大きいと思います。帝国宰相は、上手く呑み込もうと選帝侯の一人にする予定です。ですが、それでも彼らは帝国と微妙な距離を置くでしょう」


「なるほど。ならば、我が王国とミズホ伯国が友好関係を結べば色々と得じゃの」


「はい、彼らは領地的な野心が少ないという点も、友好関係を結ぶのに有利な点です」


 帝国が、獲得した発掘兵器を使ってよからぬことを考えた時。

 もしくは、将来王国の国力が増して帝国を攻める余裕ができた時。

 ミズホ伯国……いや、ミズホ公爵領か……は、王国にとって極めて有益な同盟相手になる可能性があった。


「交易の促進、文化交流、できれば婚姻を進めて友好関係を強化する価値があるというわけじゃな? バウマイスター伯爵」


「はい」


「その辺は、帝国と上手く交渉して我らで進めよう」


 続けて、極限鋼の件と魔族の件も話をする。

 だがその前に、陛下と一部閣僚たち、そして口の堅いワーレンさん以下近衛騎士団の数名を除いて謁見の間から追い出している。

 部屋を出される貴族たちからは不満の声があがるが、陛下は俺から報告を受けると、彼らを外に出した理由に納得してくれた。


「とんでもない爆弾じゃな。まあ、極限鋼という金属に関しては、バウマイスター伯爵しか作れないのであれば、流通量のコントロールは可能であるか。バウマイスター伯爵領内で使用する量の報告と、残りはすべて王国政府に直接卸してもらおう。直接他国や他の貴族への販売は王国政府から禁止という通達を出す。加工技術が未熟で、しばらくは研究と試作用以外では注文は増えぬはず。じゃが……」


「武器に使用可能ですからね」


 王国の魔道具ギルドが開発の入り口にすら立っていない、魔銃と魔砲の素材をもし極限鋼にした場合、耐久性が素晴らしいので実用化が早まる可能性があった。


「そして魔族か……」


 俺たちが捕えて保護している、魔族アーネストの存在。

 純粋な帝国内乱のはずが、裏で魔族の国が関与している可能性があった。

 一万年近くも誰も目撃していなかった魔族が姿を見せ、伝承のとおり莫大な魔力と圧倒的な技術力を持っていたのだ。

 新たなる仮想敵国の存在に、エドガー軍務卿とアームストロング伯爵の顔が歪む。

 これまでは対帝国と、念のために国内の大物貴族の反乱のみに的を絞って立てていた防衛、侵攻計画を、一から練り直さないといけなかったからだ。

 これに、新しい兵器類の開発と、それらを用いた新しい戦術の研究、部隊の再編、訓練、補給計画の見直しなどがある。

 軍務卿や軍の重鎮である以上は、そこから逃げるわけにはいかない。

 そしてなにより、かなり大変な仕事になるはずだ。


「なるほど、魔族の国に関する情報を集める必要があるわけじゃな」


「はい、ある程度は情報は得ていますけど……」


 魔族の国の位置や、人口、社会システム、文化などのあらましはアーネストから聞いて報告書にも記載している。


「自国の重要な情報なのに、変な魔族じゃの」


 陛下からすると、そんなに簡単に情報を漏らしてしまうアーネストが信じられないようだ。

 もしかすると、偽情報なのではと疑っているのかもしれない。


「それが、彼は民間人なので」


「民間人とな?」


「考古学者だそうで、国家や軍に仕える者ではないのです」


 リンガイア大陸の地下遺跡に興味を持ち、現在の魔族の国では国外に出るのが法で禁じられていたので、密出国してニュルンベルク公爵領に辿り着いた。

 そこで自由に発掘作業を行うため、発掘兵器の修理や稼働に協力したという話を陛下にする。


「研究バカなのか?」


「はい。彼は自分の好きな研究にしか興味がないのです。だから、それを行うためにニュルンベルク公爵に発掘兵器を大量に渡した。そして、それをどう使うかはニュルンベルク公爵次第だと平気で言える男なのです」


 アーネストが、魔族の国から大陸を混乱するために送り込まれたスパイ、工作員という予想は誰でもするはずだ。

 だが実際には、この大陸に来てから同朋にまったく連絡を取っていない。

 本人は大好きな研究に没頭し、家族もいないそうで、この数年間発掘と研究ばかりしていたと言っていた。


「かえって危険な男よな。そういう輩は、突拍子もないことをするからの」


「陛下、王国で拘束しますか?」


 それならそれでいいと、俺は思っている。

 扱いが面倒な奴なので、王国が負担してくれるのであれば楽だからだ。


「うーーーむ、バウマイスター伯爵はその魔族を抑えられるのか?」


「単独だと難しいです」


 なにしろ、向こうの方が魔力量が多いのだから。

 俺、導師、カタリーナ、ブランタークさん。

 最低でも上級魔力保持者が四名常時側にいないと、逃げられてしまう可能性がある。


「非効率な話じゃな。ワーレン、魔法使い用の牢獄は使えるのか?」


「いえ、多額の建設予算をかけ、使用する際には維持費がかかる『魔力牢』ですが、中級までしか対応しておりませんので……」


 魔法使いの魔法を防ぐ強固な『魔法障壁』を常時展開可能な牢屋があるそうだが、これを動かすと、一日に百万セント以上の経費がかかる。

 なので、そう簡単に『悪い魔法使い』を閉じ込めるわけにはいかないらしい。


「軽微な犯罪を犯した場合は、上位の魔法使いたちを送り込み、叩きのめして罰金を取る。重罪を犯した者は、暗殺した方がコストがかからぬからの。上級、中級の魔法使いに滅多に重犯罪者は出ぬが、実はブランタークと、クリムト、バウマイスター伯爵の師匠であるアルフレッドは、極秘依頼で数名そういう魔法使いを始末しておる」


 なるほど。

 だからブランタークさんと導師は、内乱中に人を殺めても動揺しなかったのか。

 

「王国で拘束して軟禁するとなると、大量の魔法使いたちを用いた常時監視が必要となるわけか……。それで、その魔族はなにを望んでおる?」


「バウマイスター伯爵領は元々未開地だったので、未発掘の地下遺跡だらけだそうです。これを探索、調査したいと」


「のん気な魔族よな。無理やり閉じ込めても逃げられる可能性がある以上、監視して逃げた時に捕殺した方が手間はかからぬか……。その魔族のせいで王国も被害を受けておる。賠償代わりに、地下遺跡の発掘を行わせるか」


「それしか手が思い浮かびません」


 危険ではあるが、生かして利用するわけだ。

 もっとも、俺はアーネストをあまり危険視していない。

 彼に、国のためとか、望郷の念などという感情は薄く、自分の好きな研究だけしていれば満足なのだから。


「未知の地下遺跡という餌で、バウマイスター伯爵領に縛りつける。王国もそこから利益を得るしかないの。監視の人員は密かにこちらでも出すとしよう」


 陛下は、アーネストを引き取るリスクを避けた。

 下手に拘束しようとして逃げられるくらいなら、俺たちに預けてしまった方がいいと判断したのであろう。

 経費はこちら持ちで、非常に厄介な荷物を押し付けられたとも言える。


「帝国もバカではないので、じきに魔族の存在に気がつこう。バウマイスター伯爵の元にいた方がいいかもしれぬ……」


 ニュルンベルク公爵に次ぐ戦犯だと思われるであろうが、この魔族を捕えたのは俺たちだ。

 捕らえた捕虜をどう扱うのかは、俺の裁量次第だ。

 という言い訳もできると、陛下は説明した。


「バウマイスター伯爵は今回の内乱で大活躍したようだが、同時に難儀を背負い込むの。ブランタークの言う、悪運が強いというのは事実かもしれぬ」


 陛下にまでそう言われてしまい、俺は少し落ち込んでしまった。

 確かに、色々と思い当たる節があり過ぎだ。


「帝国はしばらく外に兵を出す余裕もなく、その間に国力の増大と新兵器の配備を行う時間もできた。一回負けたが、帝国の犠牲に比べればマシだの。バウマイスター伯爵の意見を是とする。バウマイスター伯爵たちからの報告書の分析と、これからの方針決定に時間がかかる。別口で帝国に外交交渉団を送るので、バウマイスター伯爵とシュルツェ伯爵は、引き続き帝国で情報収集を行ってくれ」


「「畏まりました」」


 政治的な案件なので、俺たちが戻って来て陛下に報告したからといって、そう簡単に講和交渉とはいかないようだ。

 帝国への残留を命じられたが、俺には他にしなければいけないこともあった。


「久しぶりに、自分の領地に戻りたいのですが……」


「移動魔法が復活したのであれば、それは自由にして構わぬよ。バウマイスター伯爵領は、この一年で大分様変わりしておるらしいが」


 報告と一部極秘命令を受けてから陛下に許可を貰い、俺はエリーゼたちを連れてバウマイスター伯爵領へと魔法で飛んだ。

 およそ一年ぶりのバウマイスター伯爵領は、領主館を中心とした街並みが一年前よりも数倍に広がっており、以前よりも圧倒的に多くの人たちで賑わっていた。

 さらに……。


「お館様ぁーーー!」


 屋敷の前に着くと、正面門から一年前とまるで変わっていないローデリヒが恐ろしい速さで駆け寄って来た。

 そのあまりのスピードに、門に配置されていた二名の警備兵たちが反応できず、目を丸くさせてしまうほどだ。


「この一年と少し、お館様のご尊顔を拝むこともかなわず、拙者は大変に心配しましたぞぉーーー!」


「またかぁーーー! 折れるぅーーー!」


 俺は再び、感極まったローデリヒにサバ折りを食らってしまった。

 彼のサバ折りは、相変わらずの容赦のなさ……背骨が……。


「ローデリヒさんの得意技が出た」


「エルさん、あの方は家宰の方ですよね?」


「うん。たまに感情が暴走するとああなるんだ」


「凄い方ですね……」


 感極まったとはいえ、主君をサバ折りする家臣。

 ローデリヒを知らないハルカから見たら、あきらかに奇人、変人の類だよなぁ。


「もの凄く有能な人なんだけど……」


「すみません、私にはまだそうは見えません……」


「だよねぇ……」


 エルとハルカが冷静にローデリヒについて話をしていると、そこにもう一人、俺がよく顔を見知った人物が姿を見せた。


「エーリッヒ兄さん!」


「久しぶりだね、ヴェル。帝国の内乱では活躍したと聞いたけど」


 一年ぶりに会うエーリッヒ兄さんは、やはりイケメンのままであった。


「気苦労も多かったですけどね。それよりも、エーリッヒ兄さんはどうしてバウマイスタ伯爵領に?」


「お手伝いさ」


 王国が支援をする南方バウマイスター伯爵領の開発において、領主が帝国内乱に巻き込まれて一時行方不明になるという事態が発生した。

 その隙を狙ってかは知らないが、妙な貴族たちが複数蠢動しようとしたので、陛下がエーリッヒ兄さんに手伝いを命じたそうだ。

 この一年ほど、バウマイスター伯爵領に出張してローデリヒの補佐をしてくれたらしい。


「最初はそれなりに仕事をしていたんだけどね。ヴェルが健在で内乱で活躍中という報告が入ったら、妙な連中は大人しくなった。ヴェルが戻って来た時に、手を出していることがバレると報復されると思ったようだよ」


 ここしばらく紛争くらいしかない王国において、本物の戦争で大量に敵兵を討った俺たちは、多くの王国貴族たちにとって畏怖の対象になっているそうだ。

 隙を突いて他人の財布に手を突っ込もうと考えるような輩からすれば、俺は、エドガー軍務卿やアームストロング伯爵以上に怖い存在に見えるらしい。


「それでも、拙者は大いに心配しましたぞ!」


「すまんな、ローデリヒに全部任せてしまって」


「いえ、これでようやくお館様が戻ってきてくれると思えば……」


 まだ帝国での仕事が残っているので、もう少しだけ任せると伝えてから、俺たちは帝都へと戻った。

 『通信』も復活したので、いつでもローデリヒとは自由に話せる。

 領地に関する報告も受けられるし、エーリッヒ兄さんもいるので安心というわけだ。


「すみませんが、もう少しお任せしていいですか?」


「私は問題ないよ。陛下から、正式に命令されてやっている仕事だからね」


「お館様には、帝国関連の仕事が残っているのですな。奥方様たちとの帰還を心待ちにしております」


 二人にバウマイスター伯爵領のことを任せると、俺たちは再び帝国へと『瞬間移動』移動するのであった。

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