第151話 新たな火種

「おいクラウス。さすがにこれは容認できないな」




 ある事件のあと。

 バウマイスター騎士爵家五代目当主となった俺は、本村落の名主であるクラウスを呼び出した。

 親父とクルトは、このクラウスという男の能力は認めていたが、その行動理念と心の内は疑っていた。

 それには、彼の息子と娘の婚約者の死が関わっていたのだが、その真相はすでに解明している。

 さすがにもう、領主の交代を裏で画策などしないはず。

 ヴェンデリンもその辺は疑っていないようで、彼は本村落の名主のままであった。

 その彼が名主として願った領主の交代と、他の領地との交流も正式に始まり、お隣であるパウルとヴェンデリンの領地は、現在開発ラッシュの真っ最中であった。

 我が領地にも外から商人などが訪れるようになり、耕作地も増え、特産品であるハチミツ酒の増産も、ヴェンデリンが紹介してくれた王都の商人の支援で始まっている。

 新しい住民も増えて村落は五つになり、我が領地も未開地の開墾や新規移住者の受け入れなどで忙しい。

 バウマイスター騎士爵領の将来に夢が持てると、一旦領地を出た者たちも戻ってくるようになった。 

 全体的にはいいことずくめであったが、実は一つ困った問題が発生していた。


「ヴァルターとカールの行動は目に余る。なんとかしろ」


 クラウスは、親父も俺も兄弟たちも認める優秀な男であるが、彼にも欠点はある。

 それは子供の教育に、いや娘の子供なので孫の教育に失敗したことであろう。

 親父がクルトに足を引っ張られたのを散々に見ているのに、今クラウスは孫に足を引っ張られて俺に呼び出されている。

 子ではなくて孫なので、どこか甘やかしてしまう部分があるのかもしれない。

 俺には孫などいないので、あくまでも一般論であったが。

 親父がこの話を聞けば、クラウスも人間であったのかと逆に安心するかもしれないが、俺からすれば再び領内に発生した不安定要素でしかない。

 早急に対応する必要があった。


「すみません、何度も叱責はしているのですが……」


 叱責とは言うが、優秀な名主ではなく、ただ孫のために謝る優しいお祖父さんの姿しか想像できなかった。

 親父も、孫たちには甘いからなぁ。


「若い者たちを扇動しているとも聞く。ちゃんと抑えないと、クラウスならどうなるのかわかっているな?」


 問題の発端は、あの事件の後のクラウスへの処遇からスタートしている。

 親父は引退してパウルの領地に移住したが、クラウスは引退などさせるわけにもいかず、そのままバウマイスター騎士爵領本村落の名主兼財政担当として残った。

 一部の領民たちから、クラウスも政治的な扇動を行ったので引退させるべきだと言う声も上がったのだが、今のバウマイスター騎士爵領は人材不足であった。

 代わりがいない以上、そのまま仕事を継続してもらうしかないのだ。

 権利拡大を主張していた他の名主たちが使えればよかったのだが、いざ蓋を開けてみたら財政担当を任せるには不安があったという。

 クラウスに文句を言うのであれば、そこは勉強しておいてほしかった。

 親父も、他の兄弟たちも、もうクラウスは普通の名主の立場に戻って働くであろうと思っている。

 俺もそう思ったので彼をそのままにしたが、実際彼は黙々と名主の仕事をする優秀な名主に戻っていた。

 年齢も六十歳を超え、彼自身はもう何年かで引退する決意をしているようだ。

 徐々に本村落の名主の仕事を、孫でレイラさんの長男であるヴァルターに任せるようになり、徴税の仕事なども他の村落の候補者たちを集めて教育を行っている。

 候補者は他村落の名主の子弟であり、彼自身は他村落が嫌いってわけでもなかったようだ。

 自分を批判しているが、実は自分の仕事を引き継げなかった他村落の名主たちにはなにも期待していないようだけど。

 完全に恨みや野心が抜けた老人になり、黙々と仕事に励んでいるのだ。

 それを他の村落の連中は、半分は不気味に思い、半分は好意的に見ている。

 新しくできた村落の連中は昔のクラウスのことなど知らないので、引退するために後進に丁寧に仕事を教える優しいお爺さんでしかないのだ。

 前からここに住んでいる他村落の連中は、『またなにを考えているのか?』などと思っているらしい。

 ただ、来年から徴税業務の独占が解かれるので、表面上は素直に彼からそのノウハウを教わっている。

 徴税業務の独占は、クラウスが娘のレイラさんを父の妾として差し出したから得られた。

 少なくとも、他村落の連中はそう思っている。

 だから、クラウスが引退してしまえばその恩恵はなくなるのだと、俺もみんなに思わせたかったのだ。

 クラウスもその意見に賛成した。

 なぜなら、もう本村落など名前だけになってしまったからだ。

 もうすでに、移民して来たばかりの領民たちが作った村落が二つもあり、そこの名主は彼らによって決められている。

 俺が領主になってから、本村落限定であった領民たちの意見を聞く会合は、すべての名主と領民有志が参加するようになった。

 領地の開発はまだまだこれからで、次第に村落の数が増え、彼らが選ぶ名主は完全に他所の出身者となる。

 もう今の時点で、本村落の影響力はかなり薄れていたのだ。

 それにもっと未開地の開発が進めば、統治効率の関係で、バウマイスター騎士爵家本屋敷の移転も計画されている。

 そうなれば、本村落は元本村落と呼ばれるようになるであろう。

 これは時代の流れであったし、クラウスも不満などないようだ。

 

『このままバウマイスター騎士爵領の発展を見ながら、私は老いて死んでいくのでしょうな』


 以前クラウスは、独り言のようにボソっと漏らしていた。

 ところが、別の方向から問題が発生する。

 それはクラウスの孫たちで、俺にとっては異母兄弟になるヴァルターとカールが起こしたものであった。


『カールを、他の村落の名主にしてほしいのです』


 俺が領主になってすぐ、ヴァルターとカールが屋敷にやって来てこんな陳情を始めたのだ。

 しかも性質が悪いことに、二人にはレイラさんもつき従っており、彼女からも同様のお願いをされてしまった。


『(親父、恨むぞ……)』


 親父が引退してパウルの領地に引っ越す際、レイラさんはついて行かなかった。

 元々一緒の家に住んだことなどないし、レイラさんからすれば親父の妾になったのも、子供を生んだのも義務だったからで、親父に愛情などなかったのであろう。

 それにお袋とレイラさんの関係も……表立って対立はしていないが、同居はゴメンだろうからな。

 離縁はしないが、二人の夫婦関係はこれで終了というわけだ。

 ヴェンデリンが『卒婚』とか言っていたが、言い得て妙ではあるな。

 そんなわけで彼女はこの領地に残ったが、まさかここで政治的な陳情に口を出すとは思わなかった。


『無理を言うよな』


 元からある二つの他村落は、今までの関係を考えると、カールを名主として押し込むのは不可能だった。

 それに、彼らは今の変化を好ましく思い、新領主である俺を支持してくれている。

 私情で異母弟のカールを名主として押し込んだら、間違いなく大反発するであろう。

 税を誤魔化したなどの罪状もないので、今の名主たちを解任する根拠すらないのだから。


『なんの咎もないのに、解任される名主たちの身にもなってみろ』


『移民たちの村落があるでしょう』


 それも無理だ。

 新規移民組は、彼らだけで新しい名主を決めてしまっているからだ。

 領主である俺に逆らっているわけでもないし、いきなり解任してカールを送り込めば問題になるであろう。


『また新しい村落の建設が予定されている。そこの名主を任せる。ヴェンデリンがある程度はやってくれるが、細かい仕上げや、移民して来た者たちへの統率はお前がやれ。補佐にノルベルトと、うちからも人員を出す』


 ノルベルトとは、異母妹であるアグネスの夫であった。

 

『それとライナーには、ヴェンデリンが残した商店の経営を任せる』


 ヴェンデリンが伯爵になってすぐに、あの開発特区は短い生涯を終えた。

 あの未開地との境目にあった豪華な屋敷は、バウルブルクという名前になった都市へと移築され、あとはすべて俺に譲渡されたのだ。

 その中に色々な品を販売している商店があり、これの経営もライナーという同じく異母妹であるコローナの夫に任せることにした。

 露骨な身内贔屓はどうかと思うが、急拡大したバウマイスター騎士爵領を円滑に治めるため、適切に一族を遇しているだけだ。


『(それなのに、やっぱり来たな……)』


 実は彼らの陳情は、俺も親父もヴェンデリンも十分に予想していたものであった。

 彼らは俺の異母弟、妹たちであり、ということはヴェンデリンの異母兄、姉たちとも同義だ。

 正妻の兄弟が全員貴族になっているのに、母親が妾である赤い血の彼らはあまり恩恵を受けていない。

 不満が出るのも当然というわけだ。


『(しかし、ここでレイラさんが出てくるか……)』

 

 俺が思うに、領内の力関係のせいで人生を翻弄されてしまった人でもある。

 若くに婚約者を亡くし、親父の妾になった。

 お袋も面白くなかったであろうし、元々身分が違うという理由で、自分も生まれた子供もクラウスの屋敷で暮らしている。

 これまでは一切表に出てこず、正直ヴァルターたちと一緒に屋敷に来て陳情をしたのが驚きであったほどだ。

 やはり我が子が可愛いのと、重しであった親父が領地を出てしまったのが大きいのであろう。


『(この人は、やはり美人だな)』


 もう四十歳は超えているのに、いまだ三十歳前後にしか見えない。

 統治体制を強化するために親父は妾にしたのであろうが、役得でもあったはずだ。


『ありがとうございます』


 レイラさんは、ヴァルターたちと共に頭を下げて俺の元を辞した。

 この時点での陳情とその内容は、想定の範囲内である。

 名主にしたり、ある程度の利益供与は、親父も必要ではあると認めている。

 ヴェンデリンは『どこかに、領地でも分けた方がいいのですか?』などと言っていたが、これはさすがに俺も親父も止めていた。

 ヴェンデリンは頭も悪くないのだが、どこか甘い部分が存在している。

 悪いとは思うが、赤い血を引く異母兄姉を貴族などにしたら大問題になってしまう。

 中央の大物貴族たちが騒ぐであろうし、自分が貴族になりたいバカたちが、親父の子供だから認知しろと嘘を言いながら、大勢押し掛けてくる未来が予想できたからだ。

 将来を見越して分家を増やしたかったら、自分の嫁たちに産ませた子供に領地を与えればいいのだから。 


「俺は十分に譲歩はしたよな?」


「はい……」


 ヴァルターは将来この本村落の名主になるし、カールも新しく開発される村落の名主になる。

 当然援助は十分にするし、異母妹の婿たちにも十分に配慮している。

 それなのに、ヴァルターとカールはまだ不満があるらしい。

 いや、こちらが譲歩して利益供与をしたら図に乗ってしまったのだ。


『俺は今は名主にすぎぬが、将来は領地を分与される可能性が高いな! 俺は、貴族になるんだ!』


 そう言って、領内の若者たちを集めて与党を形成しているという噂が流れてきた。

 さすがにこれは無視できなかったので、クラウスを呼び出したのだ。


「クラウス、ちゃんと説明はしたのか?」


「それが、ヴェンデリン様は一代で伯爵様になったので、勘違いをしているものと……」


 ヴェンデリンは青い血の生まれであったが、もし魔法の才能がなければ、没後にその子供たちは間違いなく平民に落ちていたであろう。

 そんな境遇の彼が、若干十五歳で伯爵になった。

 ヴァルターたちからすれば、ヴェンデリンは成り上がった貴族に見えるので、半分は青い血を引く自分たちも、貴族になれる可能性が高いと思っているらしい。

 同腹の兄たち全員が爵位や領地を貰えたので、異母兄である自分たちも引き上げてもらえると思っているのだ。


「とにかく抑えろ! お前は孫まで殺したいのか?」


「はい、必ずや……」


 たまに平民や商人出身者で、無人の未開地の開発に成功して貴族になる者がいる。

 そういう人には先祖代々の家臣などいないので、同じ平民の知人や家族などで家臣団を形成するしかない。

 陪臣は半貴族のような存在なので、自分たちはもっと上、貴族として領地を分け与えられると思っているのであろう。


「すぐになんとかしろ! 俺が庇っても無駄なのはわかるな?」


「それは勿論……」


 広大な未開地開発の利権が絡んでいるので、下手な言動は中央の陛下や大貴族たちの逆鱗に触れる可能性があるからだ。

 本来跡取りであったクルトですら、彼らの目に止まって排除の対象になってしまった。

 赤い血であるヴァルターたちなど、なんの躊躇いもなく処分するであろう。


「ヴァルターたちは、ヴェンデリンと半分血が繋がっている。だから余計にまずいんだ!」

 

 第二のルックナー男爵のような存在が出かねないからだ。

 ヴァルターたちを扇動して裏で操る。

 そんな策を考える貴族が皆無とは言えなかった。


「ヴェンデリンの新しい家臣たちは、中央とのパイプが太い者が多い」


 閣僚や大貴族の三男以下や、妾腹の子供たちが多いからだ。

 そんな彼らを受け入れた新興伯爵家の足を引っ張る存在など、間違いなく蝿でも叩き潰すかのように処分してしまうであろう。


「必ずや、私が抑えますので」


「クラウス、このままでは親父のことを言えないじゃないか」


「孫というのは、子供とは違うもので苦労します」


 厳しく教育するという部分で、どうしても一歩引いてしまうものらしい。

 昔なにかの本で見た、『お祖父さん子は、三セント安い』という格言を思い出していた。


「とにかく頼むぞ」


 クラウスに釘を刺してから一週間後。

 さすがに積極的に動いたようで、その手の噂は聞かなくなっていた。

 ヴァルターたちは黙々と次期名主としての仕事や、次の開拓村へ移住する準備を行っているようだ。


「やれやれ、一安心」


 最近では、バウマイスター騎士爵領を訪れる人も増えていた。

 あまり商人はいなかったが、代わりに冒険者が増えている。

 リーグ大山脈に住む、ワイバーンや飛竜を狩れないものかと調査に来たらしい。

 

「冒険者ギルドも支部の設置を検討しているようです。竜の素材は高いですからね」


 上手くいけば、冒険者と冒険者ギルドからの税金に、竜を解体する施設などでの領民たちの雇用も期待できそうだ。

 素材を加工する工房なども、もしかすると招致可能かもしれない。


「なるほど、それはいい話だな」


 その冒険者の代表者数名を連れて来たクラウスと、俺はこの領地の明るい未来について話をしていた。

 ところが、それからすぐに俺は絶望の淵へと一気に落とされてしまう。

 突然、その冒険者たちが俺に剣を突き付けたからだ。

 続けて、外部からも人同士の争う声や揉みあっている音などが聞こえてくる。


「おいっ! クラウス!」


「あまり抵抗してほしくないですね。重度の怪我人や、人死にはこの領地の人口を減らしますから」


 俺の問いかけに、クラウスはいつのように冷静な口調で答えた。

 しかも彼は、冒険者たちに剣を突き付けられてはいなかった。

 つまり……。


「クラウス、お前……」


「ヘルマン様、大人しくしていてください。これは反乱ではありません。このバウマイスター騎士爵領の未来を想う、心ある内外の同志たちによる強訴なのですから」


 暫くすると、この部屋に冒険者たちやヴァルターとカールに剣を突き付けられた妻、二人の子供、使用人、従士、家臣などが集められてきた。


「ヴァルターとカールもか。不思議はないがな」


 元々、自分たちも貴族にしろと騒いでいた連中だ。

 ここ一週間ほど大人しかったのは、この反乱の準備期間だったからであろう。

 

「まさか、クラウスがこんな真似をするとはな」


 クラウスが教育を誤ったヴァルターとカールはともかく、まさか本人がこんなバカな真似をするとは思わなかった。

 父がいまいち信用していないクラウスを使い続けたのは、逆に彼が賢いのでこんなバカな真似はしないと確信してのことだったのに……これは予想外だった。


「ヘルマン様、私がなんの勝算もなくこんな真似をするとお思いか?」


「さあてな。俺のようなバカ領主にもわかるように説明してくれないかね?」


「窓の外をご覧ください」


 クラウスに言われた通りにすると、十数名ほどの冒険者やヴァルターとカールに賛同したと思われる若い領民たちが屋敷を囲む木製の囲いを設置したり、屋敷の中に食料や弓などを運び込む光景が見えた。


「冒険者を傭兵に雇って戦力強化か?」


 いや、クラウスがたかだか十数名の援軍を得たところで、勝算など確信しないはずだ。

 現在、未開地では魔導飛行船が定期的に運用されている。

 それを使えば、ヴェンデリンも、ブライヒレーダー辺境伯も、王国軍ですら数百人程度の軍勢ならすぐに展開可能だからだ。

 こんな豪農の家に毛が生えた程度の屋敷に囲いなど付けたところで、まともな防衛戦などまず不可能であろう。


「人質を取って安心でもしたか?」


 いや、それもないか。

 俺も一応貴族の端くれだが、人質に取られたからといって、相手の要求を呑んでほしいだなんてヴェンデリンに言えるはずがない。

 できれば妻と子供たちたちは助けてほしいが、ここで一家が全滅しても新しい領主になれる親族は複数存在する。

 後顧の憂いを断つため、俺たちごと殺せばいいのだ。


「(クラウスが動いた理由はなんなんだ? こんな成功しそうもない蜂起に力を貸す意図がわからない)」


 少しでも真実に辿り着こうと思い、周囲の様子を探り始めると、俺は援軍である冒険者たちにある違和感を覚えていた。


「(統率されすぎている……)」


 冒険者とは、その人間性がピンキリで有名な商売である。

 貴族よりも稼いでその一部を慈善活動などに使うほどの人格者もいれば、乞食か山賊同然の連中も多い。

 この屋敷を占拠した後で戦利品でも漁るのかと思えば、クラウスが連れて来た代表者と数名が、テキパキとヴァルターとカールも使って篭城戦の準備を行っている。

 その動きは、まるで軍人のようであった。


「(誰か、貴族の家臣なのか?)」


 一瞬、クルトに魔道具の提供を行って自滅したルックナー財務卿の弟を思い出すが、彼の家臣であるはずはなかった。

 クルトに魔道具を渡した冒険者を北の山中で始末するため、彼の家臣が四名ほどブライヒレーダー辺境伯領側から山中に入っていたが、彼らはその冒険者を討つ過程で二名が死亡。

 重傷を負った一名が下山の途中で死亡して、残り一名は憔悴し切った状態でブライヒレーダー辺境伯の手の者たちに捕らわれていたからだ。

 彼ら以外で、他に動いている連中はいないはず。


「(となると、こいつらはどこの家の者たちなんだ?)」

 

 考えれば考えるほど、その答えがわからなくなってくる。


「(もうこうなったら、ヴェンデリンになんとかしてもらうしかないか……)おい、小便くらいはさせてもらえるのだろうな?」


「それは勿論です。ここで漏らされても困りますから」


 俺は開き直り、このまま家族や家臣たちごと大人しく監禁されるのを選択した。

 一日でも早く、ヴェンデリンが救援に来てくれればいいのだけど。

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