濃藍

私はいったい何色なのか。水の中じゃあるまいし、絵の具なわけない。私は私は、唯一無二の色でありたい。誰もが美しいと、手を合わせ私を敬うはずだ。

なのに私自身は色を理解できない。

ある人間がいつもの時間にやってくる。いつものように、私を神様かのように崇め、涙を流しながら希望に満ちた瞳でこちらを見つめてくる。手を合わせ、強く願うように小さな口から微かな言葉が零れる。その様子を見て、唇に力が入る。目を逸らしたくなる。なぜなら私は自分の色を知らない。あなたに何かしてあげる資格が無い。優しい言葉をかけることすらできない。だから私は唯一無二でなければならない。あなたの。美しく美しくもっとあなたが私を見失わないように。

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イロガサク あい @ai16wosiranai

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