イロガサク
あい
赤毛の子
ああ、退屈。
幼い少女の髪の毛は血のように赤く、天パで長くとてもふわふわしている。体育座りで頬を不満げに頬を膨らませ、遠く遠くの彼女を睨みつけている。見入ってしまうほどの赤毛が地面についてしまいそうだ。そして、レースやフリルの沢山着いた真っ白なお洋服を身にまとっていた。しかし赤毛の子には全く似合ってなかった。大きなリボンも白い靴下も。
あーあ!嫌な気分!
彼女に聞こえるような大きな声で言う。彼女は見向きもしない。すると、赤毛の子は彼女の反応に目の下を赤くした。けれどレースの付いた袖をギュッと握り堪えた。
あーあ!あーあ!あーあ!
彼女が顔色を少し変えた。眉間にシワがより何か言いたげだったが、頑なに振り向きはしなかった。それどころか、ホカノコの所へ逃げるように行ってしまった。遠く遠く遠くの微かに見える彼女を赤毛の子はずっとずっと見ていた。ぽたりと真っ白なふわふわのスカートに無色の涙がおちた。たった1人、赤毛の子は静かに静かにずっとずっと泣いていた。
ある日、赤毛の子は蒔くん達の喧嘩をだまって見ていた。2人は自分の事ばかりをお互いにぶつけ合っていた。1人は泣いていた。
ふふっ。
赤毛の子はうしろで手を組んで口を閉じたまま笑った。少しして下を向くと、真っ赤な髪の毛が顔に掛かり、表情が見えなくなった。
すると、彼女がやってきて二人の間に入り喧嘩は終わった。しばしばこの喧嘩は起こるが、その度彼女はとてもとても苦しそうだった。
あーあ。
赤毛の子は彼女を見て小さな声で言った。彼女は赤毛の子を強く、殺すように睨み付け、すぐに蒔くん達を連れてどこかへ行ってしまった。
やっと目が合ったね。
赤毛の子は大きく息を吐いた。組んでいた手のひらは爪がくい込んで血が出ていた。赤毛の子は自分の手のひらを見ながらポロポロと涙を零した。涙で血は滲んでいった。静かに立ち尽くす赤毛の子は遠くから見ると、真っ白いお洋服のせいか、赤い色にしか見えなかった。
いつか抱きしめられたい。
赤毛の子は今日も彼女を見つめている。
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