処刑名エスカレーター粉砕機改・後

え、なんで?


抱き絞め合った二人を待っていたのは。


カビた肌色のひとびと。

なんだか店員風。

ゾンビと言ったら納得できる彼らは、二人を認め明るくぱああと笑顔不気味。


「おめでとうございます!


おふたりは一京目のお客様でございます!


記念にコチラの永住権をプレゼントでございます!


アチラ奥にある直通エレベーターが今後おふたりに生活して頂くお部屋に繋がってございます!


楽しいライフを我らがサポートいたしますので!


ご安心!」


歪というか機械的というか。

店員風のひとびとは歯を見せ微笑み、とにかく異様。

あの廃ショッピングモールなことは確かだ。

二人を飲み込んだエスカレーターは存在すらしていない。

拘束着もない。

ただ抱きしめ合っている。


とにかく、ぽっかーんだ。


けど。


二人は顔を見合わせる。


うんうん。


生きているのなら。

生きていけるのなら。


「良いよ…な」


「うん、いいよー」

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処刑名エスカレーター粉砕機改 狐照 @foxteria

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