第6話 孫娘を見つけた(ウィリアム・ノア公爵視点)

「メイヴ男爵令嬢の使いと名乗る者が、貢ぎ物だと仰って置いていきました」


「は?貢ぎ物‥‥」


最近、私が若い愛人を探しているという噂が流れている。私は実は、孫娘を探しているのだ。

昔、公爵家を捨てて出ていった一人息子アティカスの娘を‥‥



その昔、メイドが息子の子どもを身ごもり女の子を産んだ。息子は『真実の愛を見つけた』と言ってメイドを妻にすると言い張った。『貴族社会でメイドを正妻にするなどありえない。そんなことは許されない!!』と言ったら家を捨てて出て行ってしまった。


どうせ、貴族の嫡男として育ったアティカスだから、平民の仕事などできるわけがないと思っていた。すぐに泣きついてくるはずだ、と。だが、何年経っても、戻っては来なかった。今では居場所もわからなくなり、生きているのかどうかもわからない。あのメイドは許せないが、孫娘には会いたかった。あの赤ちゃんだった子は今頃、幸せに暮らせているのだろうか?



貢ぎ物としてきた娘を見れば、メイド服姿だった。どこのメイドか調べなければ、と思って見ていると娘が眼を覚まし、ゆっくりと瞼を開けた。アメジストの瞳がいろいろな色合いに輝いてみえる。

私の妻とそっくりの顔立ちに髪と瞳の色だった。


銀髪にアメジストの瞳は、王家の血筋の証明なのだ。


もう20年も前に天に召されたこの国の王女ステファニーに、うり二つだった。


「やっと、見つけた。ずっと、ずっと探していた。娘よ。お前の父親の名前は?」


「え?あ、あの。お父様の名前は、アティカスです」


(神よ、感謝します!!)


「お前は私の孫だ。ノア公爵家の唯一の孫であり正当な跡継ぎだ」

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