第2話 友達をつくりますわ
私の教室はゲーム通り、アズラク殿下と同じSクラスでしたわ
クラスの分け方はレベルが上の方からS,A,B,C,Dで、筆記の成績と魔法の成績か剣術の成績で決まるんです
私はもちろん筆記と魔法の成績で受けましたわ!
ヒロインは筆記の成績は良かったのですけど、魔法を使えないためAクラスになっていますわ
まぁ、コネとかで上のクラスに入る方はいるんですが…
ということで、私はいまSクラスへ移動中ですわ!
あぁ緊張が……
よし、教室の扉を開けますわよ!
ガラッ
パッとクラスのみんながこちらに顔向ける
そしてみんな一斉に青ざめてさっと顔をそらした
「え…?」
嘘でしょう!この顔ってそんなに怖いですか?
猫目で眉毛もキリッと上がってますけど、そんなに怖い顔だとは思っていませんでしたわ…
ちょっと緊張してたので顔が強張っていたかもですけど…
ショックですわ…
「ルージュ」
急に背後から話しかけられたので飛び上がりそうなほどびっくりした
「で、殿下…」
「ルージュ、入らないの?」
「え…は、入りますわ」
「そう、ルージュと同じクラスで嬉しいよ」
「私もですわ…アズラク殿下」
周りがざわざわしだした
「どうだった?僕」
覗き込むように私の瞳を見つめてきた
「とても素晴らしい新入生代表挨拶でしたわ」
たじろぎながらそう言うと
「本当?頑張ってよかった」
とすごく嬉しそうに笑った
キャーという声が教室中から聞こえてきた
う、本当に心臓に悪い
イケメンの笑顔は人を殺しそうですわ…
「ルージュおいで」
私をアズラク殿下の席の隣に呼んだ
え…殿下が隣の席だなんて友達作りどころではありませんわよ…
「あ、隣いいかしら?」
「いいですよ」
「ありがとう」
「お名前は…?」
みたいな感じになる予定だったのですけど!
私がアズラク殿下の隣に行くのをためらっていたら
「僕の隣は嫌?」
「いいいい嫌ではありませんわ!恐れ多くて…」
「ルージュは面白いね。君は僕の婚約者なんだよ?」
断るなんて許さないとでも聞こえてきそうな笑顔だった
「……隣に座らせていただきます…」
ガラッと扉が開き、先生が入ってきた
「はい、皆さんおはようございます。ここの担任のベイジ・クスートンです。属性魔法の授業を担当しています」
どうぞよろしくと会釈した先生は
イケメンだった…というか美人でしたわ
ベージュのサラサラの長い髪を一つでまとめて、とっても優しそうな瞳をしている
この世界では攻略者以外でも普通にイケメンがいらっしゃるみたいね…
ゲームでは名前しか出なかった先生でさえも美人…いえ、イケメンだなんて
「ルージュ、あんな感じだけど彼は宮廷魔法士なんだよ」
「そうなんですね」
宮廷魔法士ってもっとオタクみたいな感じか、傲慢な人ってイメージでしたわ…
でも先生はとっても優しそう
「王子のいらっしゃるクラスを担当するのは初めてで、緊張しています」
まったく緊張してなさそうに、のほほんと微笑んだ
「僕もみんなと同じ生徒として接してください」
とアズラク殿下が言うとみんなが感嘆のため息をもらした
「そうですね、この学園の規則通り平等に扱わせていただきますね」
「えー今日はですね、自己紹介でもして終わろうかなーと思ってます」
ので、一番端の人から…という感じで自己紹介が始まった
「私はーーで……」
「俺はーー…」
やはりどの方の自己紹介を聞いても、かなり位の高い格式のある家の子が多かった
まぁ、アズラク殿下の御学友になるわけですから、それぐらいの位の家が揃っていなければおかしいかもしれませんが…
次はアズラク殿下だった
「僕はアズラク・アズールです。この国の第一王子だけど、かしこまらずに気楽に話してください。仕事で学園にいつもいられるわけではないけど、みんなと仲良くなりたいと思っています。よろしくね」
ワッと拍手がわく
その次に、私ですか…
アズラク殿下が着席し、私が立ち上がる
「ルージュ・エリュトロンですわ。私もこの学園で友達を作りたいと思っておりますの、で声をかけていただけると嬉しいですわ。どうぞよろしくお願いします」
会釈をし、座る
あとあと聞いてみると、私の「友達を作りたい」という発言は「下僕を作りたい」とか「本当に私に見合うと思うなら、話しかけなさい」という風にとらえられていたらしい…
パチパチと拍手が起こる
「ちなみに知っていると思うけど、ルージュは僕の婚約者だからね」
とアズラク殿下がニッコリ微笑んだ
その瞬間教室がシーーンと静まった
ちょっと!ただでさえ私の顔は怖いのですから、さらに近寄りがたくしないで欲しいのですけど…
「あー、じゃあ次の人いこうか…」
あぁ、クスートン先生も困ってる…
そして次々と自己紹介がされていった
「これで終わりですね!えーっとメラン・アスワド君とリュイ・ウィリディス君はお休みだね。じゃあ、次挨拶してもらおうかなぁ…」
たぶんしてくれないだろうけど…とぼやきながら出席簿を眺めた
メラン・アスワド!!
ヒロインの攻略相手だわ!
そして、ゲームの中で私を殺した相手…
将来宮廷魔法士になるほどの実力を持っているのよね…
できれば会いたくないのですけど…
まぁ、ゲーム内ではあまり学園に来ませんでしたし、関わらなければいいのですわ!気にしないでおきましょう!
今は友達作りにいそしみたいと思いますわ!
よしっ!と立ち上がった瞬間
「ルージュ、帰ろうか」
アズラク殿下が私を引っ張ってクラスを出た
え…友達作りは初日が肝心なのですわよ!!
初日にグループができて、乗り遅れた人はぼっちなのですわ!!
「あの、殿下…」
「なに?」
有無を言わせない笑顔でこちらを振り返った
「い、いえ」
「そう、馬車まで送るよ」
「ありがとうございます…」
あぁ私の学園生活終わったわ…
悪役令嬢は偉大なのですわ 朧ゆめ @oboroyume7
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