第9話 私の9歳の誕生日ですわ
勉強やらマナーの授業やら…主にダンス!の授業のおかげで、私がこの世界に来てからもう1年弱経ちました
そして今日私は9歳の誕生日を迎えますわ…
♦︎♦︎♦︎1週間前♦︎♦︎♦︎
「もうすぐルージュの誕生日だね」
あの日から本当にお父様が家に帰ってくる日が増えました
お兄様は毎回「寮じゃなくて通いにしようかな…」とぼやいておりますわ
「それで盛大にルージュの誕生日パーティーを開きたいのだけどね…」
「え?」
え、何言っていらっしゃるのか…
でもゲームの中のルージュはどうだったのでしょうか…
9歳のころの情報は全くないですわね
「あれ、言ってなかったかな?でもまぁ、ドレスは私が見立てて頼んでおいたから大丈夫だよ」
言ってなかったかな……って
それにドレス云々の問題ではないのですけど…
「…いえ、そうではなくてですね、ドレスの問題ではありませんの」
「何か問題があるのかい?」
いえいえ大ありですわ!今まで小さなお茶会に参加したことはありましたけど、ちょっとお菓子をいただいてすぐ帰っておりましたので…
「ダンスもすごい練習しているみたいだしね」
だんすぅ~!?ダンスですって!?
「あの、ダンスを踊る機会があるのでしょうか…」
「そんなに心配しなくてもいいよ、失敗したとしてもみんなほほえましく見てくれるよ。そうだね、ロートに相手を頼めばいい」
「お父様、できるだけ小さな誕生日会にしてくださいませんか?その、それでしたら踊りますわ…お兄様と」
「え、でもかわいいルージュをみんなに自慢したいんだけどなぁ」
「お願いですわ!小さいもので!本当に招待するのは親族だけでお願いします」
「…わっかた。でも残念だなぁ…いつもは大きいほうがいいって言うのに」
お父様がほんとにがっかりした様子でつぶやいていました
というか、ルージュもまだ子供ですのに自分の誕生会のために大きなパーティーを開いてほしいだなんて、わがまますぎですわよ…
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
ということで、今日は親族を集めたちょっとしたパーティーですわ!
「ルージュ、緊張してるのかい?大丈夫だよ、ルージュは今日もかわいいよ」
「まるで天使のようだよ!俺がしっかりリードするから安心していろよ」
お父様もお兄様も今日だけは親バカと兄バカはやめてくださいませ、恥ずかしいですわ…
「…ありがとうございます」
だんだんと会場が騒がしくなり、続々と人が集まっているのがわかる
前世で、コンクールや、発表会などに出たことがありますので、そこまで緊張はしていませんが、ダンスが心配すぎて倒れそうですわ
どうかダンス中にお兄様を踏み倒しませんように…
「じゃあ、行こうか」
そう言ってお父様が扉を開けば、とてもきらびやかな世界が広がっていた
「お、お父様、本当に身内だけですよね?」
「そうだよ。ルージュが言ったからね。あ、でもアズラク殿下もいらっしゃっているけどね」
「そうなんですね」
…え
「い、今なんて?」
「ルージュ、皆さんに挨拶して」
さぁ、と促されて、何度も練習した挨拶を披露する
ワッと拍手が起こった
あ…何とか私は挨拶を言えたようね…
挨拶する前に、お父様に言われたことで頭がいっぱいですわ!
アズラク殿下って第一王子の…
「あのさっき、お父様なんで…」
「そうなんですよ、もう9歳で…愛らしくてたまりません」
「ははは、私も娘がかわいくて…」
「うらやましい限りですよ」
「久しぶりに、また我が領地にルージュ様とぜひいらしてください」
いろいろ聞きたかったのですけど、お父様は久々に会った親族とお話ししているようで、聞こうにも聞けない…お兄様も同世代の方々に話しかけられて忙しそうだ
とりあえず、私も愛想笑いを繰り返しお父様について回っていたが、そろそろ疲れてきた
「お父様…ちょっと疲れてしまいました」
「あぁ、すまないね。せっかくのルージュの誕生日なのに疲れさせてしまって。ダンスまであそこでデザートを食べておいで。友達も作ってくるといい」
と言われましたので、今デザートを食べておりますわ
普段から我が家の料理人が作る料理はとってもおいしいのですけど、やはり今日はいつもより力が入っているようで、すごくおいしいですわ!
まだ色々食べたいと思っていると、同じ年ぐらいの女の子たちが話しかけてきた
「ルージュ様、お誕生日おめでとうございます」
「ありがとうございます」
と微笑む
「ルージュ様のドレスとてもきれいですわね、どこのものでしょうか?私は最近はやりのお店で***っていうお店のご存じでしょうか?」
「私は***っていうお店ですわ!お父様が買ってくださったんですの」
…えっと、まだみんな9歳くらいですのにブランド自慢ですか…前世だと小3ぐらいですわよ。ちょっと泣けてきましたわ…
永遠と続く自慢に疲れていたら、突然ピタッと女の子たちの会話が止まった
え?どうしたのかしら
不思議に思って、女の子たちの視線と同じ方向を見ると
きれいなブロンドの男の子がこちらに向かってきていた
あれ?見たことがあるような…
「うそ、アズラク殿下よ」
「第一王子の…」
「お目にかかれるなんて…」
周りの人たちがざわつき始めた
そうだわ!確かに…今はとってもかわいらしいけど、ゲームの中のアズラク殿下の面影がありますわ…
アズラク殿下はピタッと私の前で足を止めた
きれいなプラチナブロンドの髪がシャンデリアの光を反射してきらきら光る
周りの女性陣がほぅ、とため息をついた
私はそれどころではなかったのですけど!
え、私まだ何も悪いことはしていませんけど…将来するからって断罪されるんですの?でもまだ婚約していませんし…
アズラク殿下がいるという現実が受け入れられず、くらくらしてきたが、とりあえず頭をさげる
「お誕生日おめでとう。ルージュ・エリュトロン」
「ありがとうございます。アズラク殿下からそのような言葉をいただけるなんて恐縮ですわ」
口ではなんとかいい感じに話しているが、心臓はバックンバックンですわ
とりあえずアズラク殿下が話しかけてくれたので、顔をあげる
でも、どうして来たんですの……原作と全然違う
「どうして来たんだろうって顔をしているね」
はい!すっごく聞きたいですわ!と思いつつ
「いえ、その…」
「今日は君に婚約を申し込みに来たんだよ」
ザワッと周りが騒がしくなる
「こんやく…」
婚約。
はぁーーーー!?婚約ぅ?ちょっと理解が追いつきませんわ
ゲームでは10歳に婚約だったはず、あとルージュの方から頼んだのよ
今は9歳だし、なぜかアズラク殿下の方から
まさかのドッキリ?この世界にもそういうものがあるのでしょうか…
「アズラク殿下、なんのご冗談でしょうか、このような場でやめてくださいませ」
私のかわいた笑いが響く
「冗談じゃないって言ったら」
ニコッと微笑まれた
冗談じゃないですって?私を殺す気でしょうか?いや実際アズラク殿下のルートだと私死にますけど…
「殿下…」
「ルージュ・エリュトロン、僕の婚約者になってくれませんか」
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