第8話 人生初めての壁にぶち当たりましたわ
今日はこの世界に来てから初めての勉強ですわ
授業といっても家庭教師ですけど…
私がルージュになってから一度も勉強していなかったので…
「お嬢様、勉強をしなくてよろしいのですか?」
「え、授業ありましたっけ…」
「え…普段は『今から授業をうけるわ』と自主的にやっていらしたので…」
「違うわ!言ってみただけよ。わかっているわ。今日はちゃんと受けます」
そうだわ。ルージュはヒロインの次に成績が良かったのよね。
ちなみに1位はアズラク殿下ですわ!
いつも家庭教師を呼んで勉強していたから、筆記試験はアズラク殿下以外の誰にも絶対負けないと思っていたのに、ヒロインに負けてしまってプライドがズタボロに…
私自身も負けず嫌いなのですが、あのかわいいヒロインになら負けてもいいですわ
むしろ成績の順位表にヒロインと並べて書かれているのはうれしいかもしれませんわね…
ということで、この世界でも私の成績は上位でなければなりません
なにしろ原作通りに進めなければなりませんから!!
ふっふっふーー私をだれだと思っていらっしゃるの?私は前世で一度も1位以外を取ったことがございませんのよ!余裕ですわ!!
といったものの…この世界のレベルがわかりませんので…
まぁ8歳の勉強なんてたかが知れていますが
では授業をうけてみましょう!
まずは歴史の授業
「ここ、マリナーシャ王国はとても大きな国で周りをいろんな国に囲まれておりますゆえ、流通がさかんなのです。周りの国との関係は良好で、100年ほどは戦争が起こっておりません……」
というような感じで、この国についていろいろ学びましたわ。あの水門はいつできただとか、昔に起きた戦争の理由とか…
少し聞くばかりで疲れましたけど、かなり有益な授業だったように感じますわ
次は算数ですわ
「まずは前回の復習をしていただきます。15分間のテストです」
では、始め!と言われて紙をひっくり返してみましたところ…
まぁ、余裕ですわね。足し算、引き算、掛け算、割り算でしたわ
8歳ですのでちょうど小学2年生の問題を解いている感じですわ
すぐ解き終えて先生に渡すと
「驚きました!以前から少し時間をおいているので少し解けないか、解くのが遅くなっているのではと思っていたのですが…以前より倍の速さで解かれてしまって…」
すこしやりすぎました…?いいえ、私は常に全力で勉強に向き合いたいのですわ!
ですが、家庭教師を呼ぶぐらいなら英才教育で1年勉強を先取りというようなことをしていそうなのですが…
「ほんとうにすごいですよ!この問題は10歳の方が解く問題です。さすがルージュ様ですね」
えーと…ということは一応2年先の勉強を先取りしているということになりますわね
ですからこの国の算数は前世より2年ぐらい遅れているということかしら?
でもまぁ、魔法が使えたら文明の発達は遅くなりますわね…
ですが平民は魔法が使えないので、不便なことが多いのではないでしょうか…
そうですわ!次は魔法の授業ですわ
ルージュは6歳の時に魔法が使えるようになり、教会で調べてもらったところかなり膨大な魔力を所持していることがわかったのですわ
そのときルージュはすごく喜んだのですけど、魔力が多すぎたせいでうまくコントロールすることができず、とても悔しかったのですわ
それなのに、『まだ使えないの?』とバカにいていたヒロインが光魔法を使えるようになり、さらにコントロールもうまくて、かなりショックを受けたんですわ…
ですが私はやらねばなりません!なにしろ断罪後にちゃんと生きていかなければならないのですから!今ほど守ってくれる人がいない中で自分を守れるようにならなくてわ!
原作で魔法バトル的なものはありましたが、自主性でしたので、私が出なければ原作通りいくということですわね!
「ではルージュ様…まずはろうそくに火をつけるところからやりましょう」
…そうですわよね、コントロールができないのですから、『火を飛ばしてください』とか言われませんわよね…ルージュが火を飛ばしたりしたらこの屋敷がどうなることかしら…
この部屋には魔法を通さない結界がはられていますが、なにしろルージュの潜在能力だけは高いので…
「ではまず、ほんとに小さい、ちーーさい、ほんっとにちーーーーさい火を思い浮かべてください。ルージュ様の爪と同じ程度の大きさを考えて…ほんとうに小さぃ…」
この先生念押しすぎではありません?声まで小さくしなくても、小さく火つけてほしい気持ちは伝わりますわ!!
ルージュ落ち着いて……深呼吸…目をつぶって…
小さい火を想像して…
魔力が体を巡るのがわかる
「ルージュ様!!」
その声にはっと目を開けた
え、やっぱり何かやってしまいました!?
と動揺してろうそくを見ると、ろうそくに小さな火がともっていた
「あれ、成功でしょうか…?」
「成功です!!やりましたねルージュ様!」
いつも頑張っておられたので、よかったですとほんとうに嬉しそうに言ってくれた
「次もやってみましょうか!」
という調子でいろいろやってみたのですが…
すべてできました
「え、これ上級なんですが…」
先生もびっくりだったようで、茫然としている
これは私がルージュと入れ替わったからうまく中和した感じでしょうか…
それに潜在能力がすごいので全く疲れませんわ
これぞ世に言うチートとやらでしょうか!!
死に戻りとかすごいチートではありませんけど、魔力が膨大で、コントロールも完璧でしたら十分ですわ
「次回はもっとすごい魔法を試してみましょう!」
と言われて魔法の授業が終わりました
そのままルンルンの気分でマナーの授業
「ルージュ様、すばらしいですわ!」
こんな美しい所作見たことがありません!と絶賛していただきました
そして絵画の授業
「こんな芸術的な絵を見たことがありません!すばらしすぎます!今すぐにでも展示会を開きたいものです!!」
お次は音楽の授業
「ルージュ様…上達が早すぎますわ…ルージュ様の奏でる音色はとても美しく…教えることが…ございません」
と言われました
ここまでほめられ続きで、調子に乗っていたことは認めますわ
まさかここまで…
ここまで運動神経が悪いなんて!!
さきほどダンスの授業が始まったのですけど…
先生のおっしゃる通りに踊ってみたのですが、絶句されてしまいました
「…ルージュ様……と、とりあえず先生が男性役をやってみますわね!相手がいないからできなかったと思うんです!」
ではもう一度…
「…リズム感はいいはずなのになぜでしょうか、かなり悪化してしまいましたわね…前回の授業からそんなに日はあいていないのですが…前回までのルージュ様はまるで妖精が踊っているがごとく軽やかでしたのに…今は…まるで…いえ!きっと大丈夫ですわ。もう一度やってみましょう」
ともう一度を何回も繰り返しましたが、全く上達せず…
ダンスの先生は
「…教えがいが…ありますわ…」
と撃沈して帰ってしまいました
そんな…今まで何かできないということを感じたことがありませんでしたのに…
人生初めての壁がダンスだなんて…
ゲームの中のルージュはダンスがすごく上手だったのを覚えていますわ
先生のおっしゃる通り、まるで妖精のようにきれいで…
「どうしましょう!!ダンスはこの世界で必須の能力ですわ。こんなに難しいだなんて…記憶はゲームのルージュから引き継いだのに、どうしてダンスの技術はルージュから引き継げなかったんですの~!」
原作通りにするためには、ダンスを死ぬ気で練習せねばなりませんわ!まだ10歳までに2年弱あります…あきらめずに頑張るしかないですわ!!
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