第3話 ルージュのこれからについて計画をたてますわ
とりあえず涙が落ち着いたので…
昼食を食べましょう!ということでこの世界にきて初めての食事ですわ
こんな広いテーブルで一人で食べなければいけないのは寂しいのですが、テナには一緒に食べてくれないかと聞いても「絶対あり得ません!たとえお嬢様の頼みでもできません」と言われてしまったし
「はぁ、会いたい…」
急に前世の家族や友人のことを思い出してしまった
いえいえ!今弱気になってどうするんです!
うつむいていた顔をぱっと前に向けた
「お嬢様、昼食の用意はできておりますよ」
テナが心配そうにこちらを見る
「…あの先ほどの件で落ち込んでいらっしゃるのですか?ですがさすがに使用人がお嬢様と一緒のテーブルで食べるというのは…」
テナが先ほど、私の誘いを断ってしまったから落ち込んでしまっているのだと思ったようだった
「大丈夫よ!無理強いはしないわ。じゃあいただくわね」
当たり前だけれど食事は洋食。フォークやナイフを使いこなして食べるのだけれど
ふっ、なめないでいただきたいわ
私は前世で食事の作法を完璧にマスターしているのよ
安心して昼食をいただけますわ!
ではちょうだいして…
んーーっ!おいしい!この設定をしてくれた作者さんに感謝ですわ。もしこれから食べ続けなければならないものがまずかったら絶望的ですもの。それに私は料理作れないから「ここの世界の料理をおいしくしてみせるわ!」ということができないのよね
デザートも最高!
こんな感じで昼食を存分に堪能した
♦♦♦♦♦♦♦♦
自室に戻り、テナにお願いして一人きりにしてもらった
「さぁ、さっきできなかった状況整理といきましょう!」
メモを用意してさくさく書いていきますわ
―――――――――
まず私、悪役令嬢ルージュ・エリュトロンについて
・この国で王室の次ぐらいの権力を持つエリュトロン公爵家の娘
・兄弟は兄のロート・エリュトロンだけ
・魔法は火・風・水・土・光・闇のなかの火
・第一王子アズラク・アスールの婚約者
―――――――――
そこまで書いてピタッとペンを止めた
ん?婚約…
たしか第一王子アズラク殿下の10歳の誕生日のパーティーで初めてアズラク殿下を見て、ルージュ恋に落ちるのよね。そしてルージュはどうしてもアズラク殿下と結婚したいと思ってお父様に頼むの。お父様は愛しい娘の頼み事だからと国王にルージュをアズラク殿下の婚約者にと頼んでくれた。王室からしてもエリュトロン家は第一王子の結婚相手として十分だったので国王は喜んで承諾。
とんとん拍子でルージュは第一王子の婚約者となった。婚約が決まった時のルージュの歳はアズラク殿下と同じ10歳
そして今のルージュの年齢は8歳
と・い・う・こ・と・は、ルージュはまだ第一王子の婚約者じゃないってこと!
今までどん底な未来しか見えなかったのだけど、ちょっと明るい未来が見えてきたかも知れないですわ!
次は攻略者それぞれのルージュの結末について整理しますわ
――――――――
第一王子アズラク・アスール
ヒロインをいじめ続け→断罪→ヒロインに毒を盛る→処刑
ロート・エリュトロン(ルージュの兄、未来の王立騎士団長)
ヒロインをいじめ続け→断罪→平民に落とされる→自殺
グレイ・フェセク(未来の宰相)
ヒロインをいじめ続け→断罪→平民に落とされる→自殺
メラン・アスワド(未来の宮廷魔法士)
ヒロインをいじめ続け→断罪→ナイフでヒロインを殺そうとしてメランの魔法で殺される
第2王子ブラウ・アスール
ヒロインいじめ続け→断罪→この国でタブーとされる魔獣を召還したが扱いきれず、魔獣に殺される
――――――――
………え
全部死ぬんですが
ルージュの未来には死しかないってことですわね…
作者様…ルージュにいったい何の恨みがあったのでしょうか
ただの寂しがり屋だったルージュになんて酷なことを
「って他人事ではないですわ!どうしましょう!」
生まれ変わっても若いピッチピチの時に死ぬだなんて!
まぁ、自殺はありえませんわ!この私が自殺なんてするはずがないですもの!精神面では強いと自負しておりますわ!
「と、とりあえず落ち着きましょう」
大丈夫よ大丈夫
なんたってまだ第1王子と婚約してないどころかあったことがないんですもの!!
なんだか余裕に思えてきましたわ
まぁ、一番の死亡フラグ回避方法はヒロインをいじめないことなんですけど…
そうなると、結婚スチルはもちろん保健室スチル壁ドンスチル…その他もろもろ…がなかったことになってしまうの!?
いつも凛としているヒロインが攻略者に見つめられて恥ずかしそうにうつむいてえぇぇっ!
「あーーーっ!」
はっ、興奮してしまったわ…
そんなスチルがなくなるなんてありえない
でもヒロインと攻略者は悪役令嬢ルージュが関わらないと出会わない…
ということはルージュがヒロインをいじめないことにはすべてのスチルを見ることができないということ
かわいいヒロインには幸せになってほしいし、攻略者とのスチルも物陰から鑑賞したい!
「そうね…死にたくはないけれどヒロインと攻略者は引っ付いてもらわないと」
ふっふっふーー!
賢いわたくしはいい案を思いつきましたわ!
題して、『いじめするけど死亡フラグ回避!』
これからの私の使命は
1第一王子アズラク・アスール殿下との婚約を回避
2ヒロインを原作通りいじめる
3ヒロインと攻略者が引っ付いたら、いじめるのをやめて鑑賞する
4断罪されてからは私の得意の絵を売って、いろんな店や路上で演奏して生活費を稼ぐ(断罪されてもヒロインを殺そうとはしてないから、遠い地にとばされるだけのはず)
5魔法をうまく操れるようになる
なんてすばらしい計画でしょう!
前世でもユーチューブとかで見た路上ライブに憧れていたんですのよねー
演奏には自信があるのである程度稼げると思うのよ
料理は絶対できないけれど(前世でやったらなぜかオーブンが発火したり、包丁が折れたりしたのよね…)
数人の使用人はつけてもらえるだろうし…ただ何人が辞めていくかはわからないけど…
たぶん1人ぐらいは私のそばに残ってくれるはず、たぶん……でも給料を高めに払えばだいじょうぶよ!
本音を言うとテナがついてきてくれると嬉しいのだけれど…
ということで毎日のご飯は確保ね!
やっぱりそのためには稼がなくては…まぁ金銭感覚を断罪される前に身に着けたら大丈夫でしょう
魔法もこの世界に来たからにはある程度できるようになりたいわね
悪役令嬢だからか知らないけれど、魔法の潜在能力はもともとすごいのよね!
ふう、私のこの未来計画は決して楽観的なものではございませんのよ!
計算しつくして考えましたもの!
「ふっふっふっふっふ、なんて最高なんでしょう!とりあえず魔法学校に入るまではこの世界をたっぷり堪能させていただきますわ!」
と喜びに満ちていたのですが、その完璧な計画が速攻で崩れ落ちてしまう出来事が起きてしまいました……
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