第6話

 やがて、まりは一歳の誕生日をむかえました。するとどうでしょう。今までお乳もろくに飲まず、ほとんど何も食べようとしなかったまりが、急にどんどんご飯を食べだしたのです。その食べること食べること。手当たり次第に何でも食べます。

一日中何か食べています。遊ぶのも食べながらですし、寝る時だって何か食べながら、いつの間にか眠ってしまうのです。最初は喜んでいた吾平とおたよも、だんだん心配になってきました。なにしろ、二、三日したらおさまるだろうと思っていたのに、何日たってもいっこうに食べ飽きる気配がなかったのですから。

 こうして、まりは一日中何かものを食べながら過ごすようになりました。そして、がりがりにやせていたのが、どんどん太ってゆきました。どんどん、どんどん太りに太って、まるでマリのように太ってしまいました。何年たっても、まりの食べ方は変わりませんでした。吾平は心配して、遠くからわざわざお医者に来てもらいましたが、お医者も首をひねるばかりです。えらい修験者におはらいをしてもらいましたが、それでも治りませんでした。とうとう吾平もあきらめてしまいました。

 やがて、まりも近所の子供たちと遊びたい年頃になってきました。でも姿のみにくいまりとは、誰も遊んでくれません。それどころか、村の子供たちはまりのことを、タドン、タドンと呼んでからかいました。中には石を投げる子供までいました。それで、まりは一人で草木や小さな動物たちを相手に遊ぶようになりました。それに、みんなに遊んでもらえないことも、ほとんど気にしていないようすでした。まりは動物たちみんなにとてもやさしかったので、ふつうなら人に近づかない雀や山の動物たちも、まりにはすぐになついてしまいました。おたよも吾平も、そんなやさしい子であるだけに、まりがあわれでなりませんでした。

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