第18話 茨の居場所
「ふう……なんとか食べきれましたわね」
箸を机に置き、ハンカチで口を拭うフィリス。
お姫様の食欲は凄まじく、山盛りだった食材を俺たちも一緒に食べたとはいえものすごい速度で食べ切ってしまった。
ちなみに腹ぺこお姫様は野菜をよく食べていた。
野菜好きなのかもしれないし、もしかしたら俺たちのために肉を残しておいてくれたのかもしれない。
もしそうだとしたら優しいお姫様だ。
恵音とあかりは雑談中。
クロードは後片付けをしていた。
結衣と目が合う。
お手伝いしよっか。
「俺も手伝うよ」
「私も」
「おお、サンキュー」
まあ片付けてといっても食器とかを集めるだけで洗ったりはしない。
そういうことはカ月さんたちがやってくれるから軽くでいいのだ。
「ありがとう、助かった」
パパッと終わらせる。
感謝されたのがくすぐったくて結衣と目を合わせて微笑みあった。
パンパン。
「それではそろそろ向かいましょうか」
フィリスが手を叩いて皆を注目。
「こっちですわ」
と、歩き出した。
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フィリスについて行き、着いた場所は森の中。
振り向くと見えるぼやけた光はバーベキュー会場のものだ。
意外と近いんだな。
こっそり抜け出してきたわけではなく花月さんにしっかり許可をとってきた。
いくら道を知っているフィリスと一緒とはいえ迷子になったりしたら危ないから。
花月さんは俺たち(フィリス)が茨の居場所を知っていたことに驚いていたが、俺と結衣を見たらなぜか納得したようだった。
なんでだ?
「確かこの付近だったはずですが……わぁ……!」
1番前を歩いていたフィリスが立ち止まり上を見上げる。
それにつられて俺たちも上を見上げて……。
「「わぁ……!」」
思わず声が漏れた。
目の前にあったのは大きな、大きな一本の茨。
いや、茨の"木"か。
茨の木からは魔力が漏れ出ておりその周辺だけ魔力濃度が濃かった。
「これが、この島を山火事から救った茨なのですね……」
「すごい……」
驚嘆の声が漏れる……。
俺たち6人はこの光景に感動し、完全に見惚れていた。
迫ってきている危険に気づかずに……。
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