第16話 宴の始まり

 空席がなくなる。 

 今年入学してきた1年生が全員ここにいるということだろう。

 それを見計らったかのように周りの照明が暗転。

 今日のためだけに作られたステージに光が灯る。


「皆さんこんばんは。そして、入学おめでとう。私はこの鈴海学園1年生寮、"茨の花園"の管理者である久川花月です」


 三十代前半だと思われる女性が登場。

 管理者か……、それにしてもこの寮の名前が茨の花園という名前だったなんて。初耳だ。


「入学式で聞いたかもしれませんがここは世界に7つしかない魔法学校です。つまりあなたたちはこの学校を卒業した後社会により良く貢献するための力が求められるのです」


 魔法を使える人はまだ少ない。

 未だに魔法というものがどういうものなのかすらあまり分かっていないのだ。

 それを少しでも解き明かすこと、その魔法を現代社会にも取り入れること、そして魔法を使って悪さをしようとする奴らから人々を守ることが俺たちの役目だ。


「だけどそんなことはどうでもいいのです! そんな重いものを抱えながらこの学校で生活してほしくない! あなたたちは高校生、そして、ここは少し特殊ですがいわゆる高等学校なのです! そのために私たちは学ぶことよりも楽しんでもらうことを目標に共に頑張っていきたいです」


 まさかの発言に会場がざわつく。

 大人の人からそんなことを言われるとは思わなかった。

 魔法が使えるということは半強制的に社会にこき使われる。

 そのことがわかっている生徒も少なくはなく青春というものを諦めている学生も何人かいた。


「つまり、なにが言いたいかというと……今日は思いっきり楽しんでください!! 高校生活を盛り上げていきましょう!! 乾杯!!!」

「「「乾杯!!!!!」」」


 音が弾ける。

 グラスとグラスがぶつかり歓声が上がる。

 宴が始まったのだ。

 この学校に入学出来たこと、そして、これからこの学校で過ごしていくことに感謝と敬意を込めて。


==================================


ハートマークの応援ボタンをポチってくれると喜びます

フォローしてくれたらもっと喜びます

よければ次の話もどうぞ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る