第14話 ちょっとした遊び
時刻は午後6時頃。
寮に戻るとバーベキューをするための椅子や机などが庭に準備されていた。
1つの机に6つの椅子。
俺たちはちょうど6人。
後ろの方の空いている席に腰をおろした。
「よいしょっと」
周りにはぽつぽつとしか人の姿はなく、寮の部屋の明かりがついていることからみんな自分の部屋でのんびりしているんだろうなーと思った。
バーベキューの開始時刻までまだ少し余裕がある。
「冬也ー。ひまだよー」
「
恵音とフィリスが嘆く。
フィリス、お前はさっき6皿分もサンドイッチ食べてただろ……。
「クロードとあっち向いてホイでもしたらどうだ」
「俺!?」
恵音の遊び相手をクロードに押し付ける。
「えー。クロードじゃ相手にならないよー」
「よしお前、ぶっ潰すから今すぐ勝負しろ」
恵音の煽りにクロードが乗っかる。
あっち向いてホイで恵音に勝てるとは到底思えない。
ごめんなクロード。さすがにあのあっち向いてホイは疲れるんだ……。
目の前のあかりと目が合う。
……クロードくんメンタル破壊されない?
あ、あかりも犠牲者なんだ。
「あはは……」
とりあえず笑って誤魔化した。
「それじゃあ行くよー」
「おう!」
「「最初はグー! じゃんけんぽん!」」
「あっち向いてホイ! いえーい! 僕の勝ちー!」
一撃で勝敗が決まる。
俺とあかりの予想通り恵音の勝利。
「くそ! もう1回!」
「いーよー」
「「じゃんけんぽん! あいこでしょ!」」
「あっち向いてホイ!」
「「じゃんけんぽん!」」
「あっち向いてホイ! また僕の勝ちー」
恵音2連勝。
「いや! まだ行ける! たまたまだから!」
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「あっち向いてホイ! またまた僕の勝ちー」
恵音10連勝。
「クロード。あなた弱すぎるのではなくて?」
「お嬢。こいつ、まじでやばいですよ……」
恵音にボコボコにされたクロード。
俺のせいでもあるからかわいそうになってきた。
と、
「結衣?」
真剣な顔で何かを考えている結衣。
「もしかして気づいたか?」
「……うん。その前に冬也。ちょっとこっち来て」
「おう」
言われた通り結衣に近づく。
そのまま結衣は俺の耳に手を当てた。
「あの子何者なの? 私の予想が正しければ恵音は相当な天才ってことになるよ……」
「……それは、2人きりになった時に話すよ。今は置いといてくれ」
「そう……」
俺の耳から手を離す。
「それじゃあクロード。種明かしだ。結衣」
「うん。多分クロードくんは一生あっち向いてホイで恵音に勝つことはできないよ。これは運じゃない」
「運じゃない?」
「そう。恵音は今までのクロードくんの動きを全部見てから動いてる」
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