第10話 新たな出会い

「冬也! 同じ部屋だよ!」

「私は結衣ちゃんと同じ部屋!」


 部屋の確認をしていた二人が帰ってきた。

 二人とも嬉しそうだ。


「ほんと!? やったねあかり!」


 結衣があかりの手を取って喜ぶ。女子って感じ。


「冬也ー!」


 対して恵音は、俺の方に全力で走って来て、おいこれぶつか……


「うっ……」


 体当たりを食らった。


「良かったな。恵音……」

「うん!」


 痛かったけど恵音が嬉しそうだからよしとしよう。

 あとの二人は呆れていたが……。


「よーし! お部屋にれっつごー!」

「「おー!」」


 歩き出しエレベーターに向かう。

 寮にエレベーターなんて、金持ちな学校だ。


 ポーン。


 エレベーターが降りて来た音。

 二つあるエレベーターのうち近い方に乗り込む。

 恵音がボタンを押し、ドアが閉まろうとした時、


「そこの方々! 少しお待ちになって!」

 

 と二人組の男女が乗り込んできた。

 そのまま閉まるドア。


「ありがとうございますわ。助かりました」

「ううん大丈夫!」


 金髪の少女が緑色の目をこちらに向けて感謝の言葉を述べる。

 それに答えたのは恵音だ。

 

「どこで降りるの?」

「どこでしたかしら?」

「4階ですよお嬢」


 もう一人の少年が教えてくれる。

 ん?お嬢?


「そうなの!? 僕達も4階なの!」

「まぁ! 本当ですの!? 驚きましたわ」

「なんか嬉しくなるな」


 恵音の発言に驚く二人組。

 こっちも何故か嬉しくなる。


 ポーン。


 ドアが開く。4階に着いたみたいだ。

 一斉に降りる。


「そうですわ! 皆さんお昼はもう食べ終えてまして?」

「ううん、まだだよー」

「なら私たちと一緒に食べませんこと?」


 突然そんなことを言う少女。

 恵音たちは乗り気なようで、


「いいじゃんそれ!」

「ここで会ったのもなにかの縁だしね」

「私も賛成」

「それじゃあ決まりですわね。各自荷物を部屋に置いたらエントランスに集合致しましょう!」

「おっけー!」


 恵音はいつもテンション高いな。

 

「それではまた後ほど」

「バイバーイ」

「??? あなたはこっちではなくて?」

「そうだぞ少女。こっちは男子側なんだから」


 二人が不思議そうに恵音に問いかける。


「こっちであってるよー。僕男だし」

「そうなのですね。ならいいんですわ……えぇ!?」


 あ、これは、


「あなた、男の方だったんですの!? え? え? 訳が分かりませんわ……」

「…………」


 盛大に取り乱す少女

 少年の方は絶句している。

 まあこれは仕方がないのだが。


「あーあーこれはまた後で説明するから! まずはお部屋に向かおう! ね!」


 結衣が少女を起こし、引っ張って行く。


「それじゃあ冬也。また後でね」

「おう。じゃあ俺達も行くぞ。大丈夫か?」

「あ、ああ……。少し落ち着いた……」


 俺も少年を引っ張る。

 エレベーターを境に男子は左側、女子は右側に進む。

 まだ入学式が終わったばかりなのにもう騒がしくなって来た。


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