第9話 寮へ向かう

 昼過ぎ、入学式は予定通り終わった。

 普通の学校ならもう少し早く終わるだろうがここは船の時間が遅いため全体的に遅めのスケジュールなのだ。

 とはいえ結局は鈴海学園も日本の学校。

 やることは一緒だ。

 偉い人がいっぱい出てきてたらたらと同じようなことを話す生徒側からするとつまらない式。

 退屈な時間に懐かしさを感じた。


「この後は何かあったっけ?」

「いや、今日はもうないはず」


 結衣に問いかけられる。


「それじゃあ荷物を寮に置きに行こうよ」

「さんせー!」


 あかりの提案に恵音が賛同。


「それじゃあ行こうか」

「おー!」


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 来た道を戻りながら辺りを見渡す。

 桜並木はやはり綺麗で周りでは写真を撮っている生徒もいた。

 俺もスマホで一枚撮っておいた。

 

「着いたー!」


 恵音が両手をあげる。

 目の前に現れる巨大な建物。


「結構立派だね」

「ああ」


 そのまま中に入ることなく通り過ぎる。


「あれ? ここじゃないの?」


 恵音が俺たちを呼び止める。


「何言ってるの恵。私たちの寮はもっと奥だよー」

「あれ? そうだっけ?」

「もう、入学式で言ってたでしょ」

「そうだっけ?……忘れちゃった」

「あはは……」


 恵音たちの会話を聞きながら俺は目の前の建物を見上げる。

 これは三年生棟。

 一応今在校している三年生が全員ここで生活をしている。

 学校に1番近い。

 そのまま歩いて次の寮もスルー。

 あれが二年生棟。

 三年生棟と同じ形に見えるが少し違うらしい。

 どこが違うのかは……ちょっとよく分からない……。


「てことは……ここが!」

「そう! 私たちの過ごす寮だよ!」

「おおー」


 1番奥にある建物。一年生棟。

 それを見て3人がはしゃぐ。

 立派な建物だ、って三年生棟を見た時も同じこと思ってたな。


「入り口はあっちだね」

「了解。行こう」


 俺たち四人は一年生棟の中へと入っていった。


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