第9話 幽霊のお兄さん②

 通学路、振り返るとそこにいる。

 首に、たくさんの女の人の手のあとをつけたお兄さん。

 一週間前と一日前、警察に捕まったあとに死んだ、悪い人。

 昨日と同じ黒い車に乗って、私をはねようとした。足がないから、運転しづらそうだった。


 私ははねられたくなかったから、マンションの屋上にいるおじさんに言った。

「あのお兄さんが、おじさんのお友達になってくれるって!」

 すると、おじさんはお兄さんに向かって、手招きした。

 お兄さんはおじさんに気づくと、車をおりて、フラフラとマンションの階段をのぼっていった。


 私は巻き込まれたくなかったから、走って逃げた。

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