第10話 幽霊のお兄さん③
通学路、振り返るとそこにいる。
首に、たくさんの女の人の手のあとをつけたお兄さん。
一週間と二日前、警察に捕まったあとに死んだ、悪い人。
今日も黒い車に乗って、私をはねようとした。体中ボロボロで、昨日よりも運転しづらそうだった。
私はおばあちゃんが流れてくる用水路の近くのへいにのぼった。
お兄さんは用水路を流れてきたおばあちゃんに気づかずに、ひいてしまった。
おばあちゃんは「ぎゃっ!」と悲鳴を上げた。
「よくもアタシの顔を踏んづけてくれたねぇ!」
おばあちゃんはお兄さんを車から引きづり下ろすと、そのまま一緒に用水路を流れていった。
私はへいからおりて、走って帰った。
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