第4話 遮断機のお姉さん

 通学路、振り返るとそこにいる。

 遮断機しゃだんきが降りた線路に、セーラー服を着た中学生のお姉さんが立っている。

 一週間前、電車にひかれて死んだお姉さんだ。


 お姉さんは悲しそうな目で、私を見ている。

 そんなに悲しいなら、遮断機の外へ出ればいいのに。


 しばらくして、電車がガタンゴトンと音を立てながら近づいてきた。

 お姉さんは降りた遮断機の上へ両手を伸ばし、私を抱きしめようとした。

 私は電車が通る時の音が大きくて苦手だから、走って逃げようとした。


 でも、お姉さんにランドセルをつかまれて動けなくなった。

 もう一度振り返ると、お姉さんはぽろぽろと涙を流していた。

「一人はいや。一人は怖い。ねぇ、私を一人にしないで」

 私は一人でも平気だから、ランドセルを肩から外して、走って逃げた。

 後ろで大きな音を立てて、電車が通った。


 電車が通り過ぎた後、線路に戻った。

 お姉さんは消え、お姉さんに取られたランドセルは、電車にひかれてボロボロになっていた。

 私はボロボロになったランドセルをかかえて、家に帰った。

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