第11話 お嬢様の姿勢
そういうわけだから、僕達は入学試験をクリアして、無事入学してしまった。
幼いころから人助けと魔物退治をこなしていたから、無駄に実力がついてしまっているのだ。
僕?
そんな阿保共に付き合わされた弊害で、危なげなく合格だよ!
その点だけはありがとうございました!
紙のテストも実技のテストも、余裕で合格ライン超えてったよ。
怖ぇな。今までの経験値。
そんなこんなで通う事になった勇者養成学校。教室でのひと時。
『パーティーがあるんだ、良かったら君のような美しいお嬢さんに顔を出していただけないだろうか』
『あら、お上手ね。今度そちらのお屋敷にお伺いいたしますわね』
飛び交うのはお上品なセリフ。
意外にも、クラスメイト達は貴族が多い。
やっぱり箔付けに便利なんだろうな。
実力があったら、王宮で雇ってもらえるし、勇者になれたら領地が広くなるとか、褒章がもらえるとかそんな話があるし。
けれど、トップを目指すのは難しい。
お嬢様がそれについてコメント。
「勇者になれるのは、学校でトップクラスの成績を叩き出したものだけらしいわ。当然よね」
各養成学校で、一人いればいい方。
という事だ。
いくら遺物の複製が進んだとしても、その価値に見合った人間が養成されていなければ、勇者なりえないという事だ。
「だから、がんばって勉強しなくちゃね。分からない事があったら、皆で教えっこしなくちゃ」
隣でそんな事を呟いているのは、向上心が尽きない僕の幼馴染(お嬢様)。
このお嬢様はお嬢様なのに、ぜんぜんお嬢様してくれないお嬢様だ。
木刀片手に、素振りと剣術を極めたお嬢様は、勇者への憧れを抱いて成長。
人助けなんかのために、とうとうこんな学校に通う羽目になってしまったのだ。
お労しや。
「お嬢様は大変物好きですよね」
「それって褒めてるの?」
「褒めてます褒めてます」
「褒めてないでしょ。もうっ」
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