第3話
キスをされた。首に。首中に。
赤黒い内出血が首に幾つも現れた。
不可抵抗だった。
5限の講義が終わると、いつも仲良くしていた男子が話しかけてきた。
「今日、これから予定ある?」
あー、ごめん。今日は彼氏が東京まで来てくれて。これから遊びに行くんだ。
そう返すと、彼はごめん。と小さく呟くように言った後。
誰もいなくなった教室で、貪るように私の首元に何度もキスをしていた。
何故かそれを拒否することができなくて、只々それが終わるのを静かに待っていた。
教室を出る。大学を出る。
すると、彼氏が大学の前に退屈そうに立っているのが見えた。
お待たせ。
彼氏は私を見ると、一瞬笑って。その後、不思議そうな顔をして。
次に、泣き出した。
人目も気にせず、号泣していた。
子供だね。
不思議と、私の心情は穏やかで。少しだけ晴々としていた。
金魚救い 味噌煮込み白木 @yasai69batake
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。金魚救いの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
見届けて/味噌煮込み白木
★0 エッセイ・ノンフィクション 連載中 4話
私の日常/味噌煮込み白木
★0 エッセイ・ノンフィクション 完結済 3話
普通列車/味噌煮込み白木
★3 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます