第43話 さらにダンジョン探索
「フレデリカさん! 前方から3匹のゾンビピッグが来ますから対処お願いします。その後ろにウィッチが居ますので、そっちは僕が対応します。2人とも、ウイッチの魔法には注意して!」
「おう! 任せろ」
「姉さん、後ろは任せて」
2人に警告しながら、強力な魔法を駆使するモンスターのウィッチに照準を合わせ魔力をたっぷり込めたファイアアローを放った。
ウィッチという名のモンスターは、魔力の耐久力が高くて魔法も使ってくる。少し厄介な敵だが、こちらから連続で魔法を当て続けて隙を与えないようにして、手数で押せば簡単に勝てるような相手だった。
「よし」
何発もファイアアローを当てて、光の粒子に変わったウィッチ。敵を倒せたことを確認してから、彼女たちの様子を見る。
僕の指示した通り、ゾンビピック3匹を処理してくれているフレデリカさんたち。四足歩行で地面を素早く駆け巡る相手に対し、大剣を叩きつけてダメージを与える。その後ろから、弓矢を放って遠距離から確実に始末していく。
噛みつこうとする敵も、大剣で振り払って近寄らせない。こっそり後ろに下がろうとしている敵には、弓矢を的中させて逃さない。
予想していたよりも対応できている。ドラゴンが、あのフロアに居座っていたのが異常なだけだったようだ。このぐらいのレベルの敵なら対処法を把握していたので、正面から立ち向かっても勝つことが出来ていた。
リーヴァダンジョンに入った時に比べると、能力が明らかにレベルアップしている彼女たち。下層へ向かう最中のダンジョン探索が、そのまま戦うための訓練になっていた。戦いを繰り返し経験することで、明らかに強くなっていることが分かるぐらい戦闘能力が成長していた。
リーヴァダンジョンの10階層で戦闘をしたモンスターに比べて、ここに出現するモンスターは、耐久や生命力が何十倍も高かった。多彩な攻撃も仕掛けてくるので、相手の攻撃に気を緩めず対処しなければならない。
最初の方は、フレデリカさんがモンスターに大剣を当てても倒しきれなかったり。気を抜けば、思わぬ反撃を受けてしまうこともあった。シモーネさんの放つ弓矢は、モンスターの身体に当たっても突き刺さらず。跳ね返されてダメージを与えられず、四苦八苦していた。
2人は戦闘の経験を積んで、徐々に強敵との戦いに慣れていく。防御の薄い箇所を見極めて、瞬時に狙いを定められるようになった。次々と、敵に致命的なダメージを与えられるようになった。
短時間で戦闘を繰り返したことによって、見る見るうちに2人は成長していった。筋力と俊敏性が上がって、大剣の刃や弓矢をモンスターの身体に当てるとダメージが通るようになった。僕の補助無しでも、下層に出現するモンスターを狩れるぐらいの実力を身につけた。本当に短い間に、かなり腕の立つ剣士と弓使いになっていた。
「やっぱり、モンスターが段々と強くなってきてますね」
「でも、私たちも強くなっているぞ」
「狙いが定まるようになったわ。連続で、戦闘を繰り返したお陰ね」
どうやら、下へ進むほどモンスターが強くなっている。ダンジョンは、内部に近いほど凶悪なモンスターが出現すると言われている。つまり、下層に向かっても出口は無さそうだ。けれど、ダンジョン最下層に辿り着くことが出来ればアレがある。
僕らはまだ、生きる希望を捨てていない。
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