第27話 最高のパーティー
5階層まで来てみれば、魔力を絞って放つファイヤアローを敵に当てても一撃では死なないようになった。モンスターの魔法耐性が高くなっているから。ただ、魔力を込めれば威力が高まって、やはり一撃で倒せてしまう。
僕は手を緩めて、3人のパーティーで戦うことを意識する。
戦闘を繰り返すたびに3人の息が合うようになって、コンビネーションが磨かれて戦えるようになっていた。
まず僕が接近してくる敵に先制の一撃を食らわせると、その直後には前線で大剣を振り回して大暴れするフレデリカさん。剛力で繰り出される一閃は強烈。
僕とフレデリカさんの二撃で、ほとんどのモンスターが倒れていった。
万が一、敵を倒しきれなくてもシモーネさんが弓で的確に射止めて息の根を止めていく。彼女の放つ矢は、真っ直ぐ飛んで外れない。スマートにモンスターとの戦いを勝利していく。危なげがない。
光の粒子が見えなければ、ダメ押しとしてモンスターに向けて魔法を放っていく。このように役割分担して、攻撃するパターンも息を合わせて実行。ばったばったと、遭遇したモンスターを処理していった。
さっき出会ったばかりの即席で組んだパーティーだったから、互いの動きにはまだ多少のぎこちなさは残る。だが、だんだんと連携が上手くできるようになっている。息が合ってきたように思う。
だけど彼女たちが普段、狩場にしているという10階層。そこまで行けば、多少は苦戦を強いられるかもしれない。そう、思っていた。
「いやぁ。いつもと比べて、ものすごい早さでここまで辿り着けたな。エリオットが居てくれたから、いつもの10倍ぐらいの早さで到着したよ」
「ほんとにね。モンスターが近づいてきたら、奇襲される前にエリオット君が接近を知らせてくれるし、不意打ちに一度も遭わなかった。突発的な戦闘が起きないから、ダメージすら受けなかったのよね。本当に、楽に来れたわ」
10階層まで辿り着くと、またフレデリカさんとシモーネさんが僕の魔法の技術を褒めてくれた。なぜなのか、くすぐったいぐらいに褒めてくるクロッコ姉妹。
ダンジョン内では、探索の魔法が非常に有効である。敵の位置や数といった状況を大体把握できるから。他の冒険者パーティーが居る位置なども事前に把握していた。離れた場所に居ても、こちらが先に察知することが出来る。
ただ、早く到着することが出来たのは僕だけの力ではない。2人が手助けしてくれたから。
「2人が強くて、とても頼りになりました。だから僕も、魔法を好きなように使えたってだけですよ」
魔力を操作して魔法を発動する瞬間、集中するタイミングが必要だった。2人が、敵からの攻撃を防いでくれたから僕は、魔法を発動させることだけに集中して魔力を巧みに操ることが出来た。
パフォーマンスを発揮できたのは、彼女たちが居てくれたおかげで間違いない。
「じゃあ、みんなが居たおかげ、ということだな。最高のパーティーということか」
「そうですね」
フレデリカさんが、争いのない結論を下す。僕も、この3人は良いパーティーだと思っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます