第3話 ご紹介いたします!



お風呂から上がった俺は、着替えてリビングへと向かう。

もちろんライオスキングの子供、ニコちゃんを抱っこしてだ。



「丁度ご飯が出来たところよ。、、まぁっ!その可愛い子猫ちゃんはどうしたのよっ!?」


「あ〜、、えっと、大事な話があるんだ。だから、父さんが帰ってきてから一緒に聞いてほしいんだけど。」


「大事な話?分かったわ。じゃあ父さんが帰ってくるまで、その子猫ちゃんと遊んでましょうっ♡」


「そ、そだね。あっ、この子の名前はニコちゃんだよ。」


「可愛い名前ね♡ほらほら〜、ニコちゃ〜んっ♡ボールなんてどうかしら〜っ?」


「キュ〜ンッ♪」


母がどこからか持ち出した手のひらサイズのボールを、床の上に転がす。

それを見たニコちゃんは、俺の抱っこからピョンッと跳び下りると、夢中になってボールにじゃれつく。


ふむ!可愛すぎる!!!チラッ

ええ!可愛すぎるわ!!コクリ


俺と母さんは心の声で通じ合った、、。



「うっふふっ♪それにしても可愛いわよね〜♡リュウのお嫁さん候補ねっ?」


「可愛いよなぁ♡これだけ可愛いと、それもアリかと思っちゃうよ。」


などと話しているところに、父さんが帰ってきた。



「ただい、、まぁっ!?かっ、可愛いっ!!どどどっ、どうしたんだっその子猫ちゃんっ!!」


「ふふっ♪おかえりなさい。リュウが連れてきたのよ♡」チラッ


リビングに入ってくるなり、可愛すぎるニコちゃんを発見して激しく動揺してみせる父。


母は俺に、さっき言っていた大事な話をするよう視線を送ってきたので、ニコちゃんを抱っこして心の準備をする。


さぁ!勝負の時です!!!



「えっと、驚かないで最後まで聴いてほしい。」


「分かったわ。」分かった。」


「実は、このニコちゃんは、猛獣王・ライオスキングの子供なんだ。さっき剣の素振りをしに西の草原まで行ってきたんだけど、、


と、俺は包み隠さず、さっきあった事を細かく説明した。もちろん外に待たせているシルバーウルフ達についても、、だ。


下手に隠したりすると、バレた時がヤバすぎると思い、この選択肢を選んだのだ。



全て話しきると、リビングは静まりかえっていた。


父も母も俯(うつむ)いて何か考えているようだが、母がおもむろに口を開いた。



「リュウ。あなたがニコちゃんを幸せにするって誓うなら、母さんからは何も言わないわ。シルバーウルフ達については、父さんに任せると良いわ。」


「母さん、、ありがとう。ニコちゃんを幸せにしてみせるよ!」


「キュ〜ンッ♡」チュッ♡


「あらあら、見せつけてくれるわね?」


「えっ、いや、今のはそういうんじゃなくて〜!」


などと少々からかわれたりはしたが、母さんの方は大丈夫そうだ。後は父さんのオッケー待ち!



「父さんもニコちゃんに関しては母さんと同じ考えなんだが、シルバーウルフ達は実際に見てみない事には信じられんなぁ。」


「あら?家の前で待機中のはずなんだけど、、見てない?」


「ああ。何も居なかったぞ?」


むむ?おかしいな。待たされすぎて帰っちゃったのか?



「ちょっと待ってて。」


「じゃあ待ってる間に、父さんもニコちゃんと親睦を深めるとしよう!」


父さんもニコちゃんのキュートさにメロメロのようだったので、ニコちゃんをリビングに残して玄関の外へと急ぐ。


玄関ドアを開くと、そこにはしっかりと6匹のシルバーウルフ達がおすわり待機中であった。



「あれ〜っ!?普通に居るじゃん!?あっ、お待たせ。入っておいで?」


「ウワォ〜ンッ♪」」」」」」


俺は玄関ドアを開けて、シルバーウルフ達を家の中へと招き入れた。



「あっ!そこでストップね!え〜っと、ちょっと待ってて?足拭きタオル持ってくるからさ?」


「ワフッ♪」


俺は慌てて濡れタオルを準備して、シルバーウルフ達の足の裏を綺麗にしていく。



「父さん達に紹介したら、お前達もお風呂で綺麗にしてあげるからなっ♪」


「ワフワフッ♪」」」」」」


「ふふっ、どう致しましてっ♪それじゃ、ついておいでね?」


こうしてリビングへと入ったわけだが、、?



「やっぱり居なかったか?」


「え?俺の後ろにちゃんといるよ?」


意味不明な父の言葉を受け、俺は振り返って後ろを確認する。


ふむ。ちゃんと6匹いるよなぁ。



「母さんも、どこに居るのかわからないわね。そこに居るのかしら?」


「うん。ほら、頭を撫でてあげて?」


不思議そうに近寄ってきた母の手を取り、先頭のシルバーウルフの頭に乗せてあげた。



「わっ!!本当に居たわーっ!?この子も可愛いじゃないっ♡ふふふっ、よしよしっ♪」


「ワォ〜ンッ♪」


「むむむっ!?と、父さんも撫でてあげたいぞ!!」


「わ、分かったから落ち着いて?ほら、父さんはこの子ね?」


父の手を2番目のシルバーウルフの頭に乗せてあげると、母と同じく見ることができたようだ。



ふ〜む。触るまでどこに居るか分からないが、1度触れれば分かる。

どうやらシルバーウルフ達は、認識阻害のスキルみたいなのが使える、、と考えるのが妥当か。


まぁ、生き抜く為に狩りをしていたんだから、進化の過程でそういう力が備わったとしてもおかしくはないね。


ましてや、俺が決めたルールで人を攻撃できない状態だし、初めて会う人間なのだから警戒して身を隠すのは必然と言えるな。



「父さん、母さん。どうかな?この子達もみんな良い子達なんだ。」


「うふふっ♪母さんは賑やかになって嬉しいわよっ♪」


「ああ。父さんも構わないぞ!!リュウが学校の寮に入っても、この子達が居れば寂しくないだろうからなっ♪」


「ありがとねっ!あっ、そうだ。シルバーウルフ達にも名前をつけてあげなきゃなんだけど、父さんと母さんも一緒に考えてくれるかな?」


「名前を考えるなんて、リュウが生まれた時を思い出すわね〜。いいわっ♪母さんと父さんで3つずつ考えるわね!」


「そうだなっ♪」


2人で考えてくれるというなら、それに甘えさせていただこう。名前を考えるのって地味に大変なんだもん。



「じゃあ2人に任せるね!、、あ〜、それと。ご飯の前にお風呂を推奨するよ。洗う前からそんなに戯れてたら、、ね?」


「はっはっは!そうだなっ♪それじゃあ母さんも一緒に入ろうか!」


「それは遠慮しておくわ。母さんは女の子同士で入るから、父さんは男の子同士で入ってきてちょうだいね?」


「はぁい、、。」ワフン、、。」」」


と、リビングから出て行く父さんと3匹の背中は、哀愁に包まれていた、、。



「それにしても、母さんは見ただけで女の子だって分かったの?」


「それはそうよ〜。こんなに可愛い子達が男の子なわけないじゃない。ね〜っ♪」


「ワフンッワフンッ♪」」」


「そ、、そか。ん?ニコちゃんはお腹が空いてきたのかな?」


「キュ〜ン、、。」


「そっか。じゃあ先に食べる?、、分かったよ。じゃあ一緒に食べよっ♪」


「キューンッ♡」スリスリ、、


なんだろう、この感覚。

ニコちゃんの気持ちが、ぼんやりだけど分かる気がする。これも家族の証の効果なのかな?



「リュウ達は先に食べてていいわよ?母さん達はお風呂に入ってからにするから、それまで遊んでましょうね〜っ♪」


「ワフンッ♪」」」


「うん、ありがと!じゃあニコちゃん、いただきまぁす!」


「キュキュ〜ンッ♪」


俺はニコちゃんを膝の上に乗せ、左手にニコちゃん用スプーン、右手に自分用お箸を装備した。


まずはブタの角煮から攻めてみるか。


よく煮込まれたブタの角煮は、スプーンを押し当てるだけで切れるほど柔らかくなっており、中までしっかりとタレが染みている。


まずはニコちゃんからどうぞっ♪



「はい、あ〜〜んっ?」


「キュァ〜〜ンッ、、キュキューンッ♡」


「ふふっ♪気に入ったかな?わっ、分かったから暴れないで!?」


どうやらニコちゃんの味覚に合ったようで、小さなおててでテーブルをペチペチ叩いて大興奮!!


そんな姿も可愛すぎるので、次から次へと食べさせてあげる。



うん。全員分のブタの角煮、完食ですね、、。

ま、まぁ今日の献立にブタの角煮は無かった!そういう事にしておこう。



「ニコちゃん、お腹いっぱいになったかな?」


「キュ〜ンッ♡」うっとり♡


「ふふっ♪それじゃ、俺も食べちゃうね!、、え?ニコちゃんが食べさせてくれるの?」


「キューンッ!」


「わ、わー。ありがとー。た、楽しみだなー。」(棒読み


自分が食べさせてもらって嬉しかったからか、俺にも同じようにしてあげたいと思ったようだね。


しかし!!その小さなおててから飛び出してるのを使うつもりだよね!?



「キュァ〜ンッ?」


「あ、、あ〜〜んっ。」ドキドキッ


俺の心配をよそに、ニコちゃんは長さ20cm程の鋭利な爪で焼きナスを一口大に切り裂き、それを突き刺してあーんしてくれた。


ああ、、気持ちは嬉しいんだが、ナスだけじゃなく皿まで一口大の大きさに切り裂かれちゃってるよ?

どれだけ良い斬れ味なの!?



「キュ〜ン??」


「あ、うん!お、美味しいなぁっ!!で、でももうお腹いっp、、


「キュァ〜〜〜ンッ♡」


「あ、、ありがとね。あ〜〜んっ。」



ふむ。テーブルの上がズタズタに切り裂かれてるね。

ま、まぁ初めからこういうデザインだったと思おう!ほ、ほらっ!ダメージジーンズみたいな、、ダメージテーブルってやつだね!!



「キュ〜ン?」


「う、うん。お腹いっぱいだよ、ありがとっ♪」


「キュキュ〜ンッ♡」チュッ♡


俺がお礼を言うと、ほっぺに優しくチュッとしてくれた。

この可愛らしさ、マジ天使っ!!!



「リュウ?これは一体何があったのかしら?」


はい、こっちは悪魔、、。



「い、いや〜。今日のナイフは切れ味抜群だったね!し、新品かな?」


「そんなわけないでしょっ!!」


「ですよね〜、、。ごめんなさい。」


と、20分ほどガミガミお説教されたが、父さん達がお風呂から上がってきたので、なんとか終幕を迎えたのだった、、。

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