第68話 魔王軍の進軍
キャット・ニャーから10キロメル北の湿原。
湿原には頭部が魚の悪軍中将フォルネウスとその前で跪くアルデバランとその他二体の幹部を始めとする改造魔族どもがいた。
『そろそろ、始めるでありまーす。チミたちは
歌うように叫び、右手に握るステッキでアルデバランの肩を叩く。
「必ずや我らが神のご期待に応えて見せるですねぇ!」
顔さえ上げずにただ、そう叫ぶアルデバラン。その声には狂喜じみた感情が含有していた。
『今からチミたちが襲う場所には、土地神と掘り出し物がいるのでありまーす! はい、はーい、拍手!』
パチパチパチと手を叩くアルデバランとその配下のものたち。
フォルネウスは身体を上下にゆっくり動かしながら、周囲をゆっくりと歩き周り、
『これはゲームでありまぁーーす! 何がもっとも重要でありまぁーーす?』
右手を耳に当てて尋ねるフォルネウスに、
「たっぷりの絶望を与えることですねぇ!」
「「「「「一切の慈悲のない絶望を!」」」」」
即答するアルデバランの叫びに、その配下のものたちも繰り返す。
『そうそう、その通りでありまぁーーす!
ウロコーヌ、フグオ、お出ましなさーい!』
忽然と軍服を着た魚の頭部を持つ男女が出現して、フォルネウスに敬礼をする。
『お前たちの任務はこの改造魔族どもがうまくお使いができるかの監督でありまーす。責任重大でありまーす。もし、上手くできなければきちんとしたお仕置きと後始末をするのでありまーす』
『『ギョイ!』』
一礼すると二者はその姿を消失させてしまう。
『ではぁーー享楽に、悦楽に、愉悦に、逸楽に悪の限りを尽くすのでありまーーすぅっ!!!』
フォルネウスは右手に持つステッキを高く掲げて金切り声を張り上げると突然ハスキーな声でラップを歌いだす。
次の瞬間、アルデバランとその配下のものたちは、ばね仕掛けのように立ち上がり、軟体動物のような奇妙な踊りを踊り、フォルネウスと異口同音のラップを歌い始める。
そして――歌を口ずさみながら走り出すアルデバランとその配下のものたち。
頭からつま先まで狂ってしまった魔王軍は今進軍する。
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