第6話
「子供が出来たんだ。」
祐希の口から出た言葉は私の胸にナイフを突き立てるかのように刺さった。
「だから真希には申し訳ないけど、もうこの関係を終わりにしたい。」
そんな言葉だけで、私達の関係は終わってしまうの?
「いやよ。」
「真希。」
「なんでそんな簡単に終わらせられるの?私、あなたが居たから生きてこれたのに。」
「真希、落ち着いてくれ。」
「落ち着けないわよ!あんなに愛してる、綺麗だって言ってくれたのに。子供が出来たからって、別れようなんて・・・。」
「真希・・・」
祐希が困った様に私を見つめる。
分かっていた。
いつかこんな日が来る事も。
分かっていたはずなのに。
祐希の左手の銀の輪がキラキラと輝いている。
「・・・私と一緒になってくれないの?」
「・・・・。」
「祐希と同じ指輪、着けたいって思っちゃいけないの?」
「・・・・・ごめん。」
「いやだ、嘘って言ってよ!」
私は祐希の胸に飛び込み、顔を埋めた。
「祐希を失ったら私、私もう・・・」
離れたくないように縋る私の肩を、祐希は離した。
「祐希?」
「俺みたいなのと一緒にずっと居ても、真希はずっと悲しい思いをする事になる。」
「祐希・・・・」
「幸せになってくれ、真希。」
祐希は最後に私を優しく抱きしめると、荷物をまとめ部屋を出ていった。
「祐希・・・・」
私はただ祐希の出ていった玄関を見つめていた。
私の一方的な恋は、こうして幕を閉じた。
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