第四章 自分の気持ち
下校中、待ち伏せされていたことに驚いたしそれが如月さんの妹だと言うことにも驚いた。
「あのさ、半端な気持ちでお姉ちゃんに近寄らないで」
「え…?」
突然の言葉に返せない。
「あんたは優しいからお姉ちゃんが虐められないように守ってくれてる。でもそれは哀れみ?同情?可哀想だから?そんな半端な気持ちでお姉ちゃんを傷つけないで」
「…」
言葉が出てこなかった。おとなしい彼女が姉のため、ここまで感情的になる姿を初めて見た。それで言葉が出なかった?いや、違う。彼女の言葉が俺の胸に強く刺さったからだ。
虐めを受けていても周りには見せない芯の強さがあった。心の器で支えきれなくなりいつしか溢れ零れ落ち、彼女は死のうとした。俺は何であの時助けた?彼女に死んでほしくなかった?夢で見たから?違う。死のうとした彼女の目は暗く沈んでそれでも奥底で抗っていた。抑えきれなくなり自分ではどうしようもなくなった結果、屋上に行ってしまっただけなのだ。
「助けたいって思った。哀れみや同情なんかじゃない。如月さんが助けてって言った訳じゃない、自分の意思で。俺は…」
俺は如月さんに何かをして欲しいなんて思っていない。俺がしたいからやっているだけだ。人にどう言われようと関係ない。俺はー
「如月さんの事が好きなんだ」
「そう、なら私は何も言わない。あなたの本心、聞けて良かった。帰る」
「送ってくよ」
「いや、いい。それよりもそこの電柱に隠れてるお姉ちゃんに言うことあるでしょ?」
「え…?」
言われた電柱を見ると彼女、如月菜緒が隠れていた?いや、隠れれているのか怪しいけど…
てか、如月妹はもう居ないし!?
「もしかして聴いてた…?」
「…」コクコク…
「えっと…迷惑だよな。ごめんね?」
「いや、迷惑じゃなくてただ嬉しくて…」
「私ね同情で助けて貰ってるって思ってたの…妹に相談したらこんな事に」
なるほど…でも、言い出せるきっかけにはなった。後は俺がどうしたいかだ。
「俺は如月菜緒の事が好きです」
改めて口にすると死ぬほど恥ずかしいけどそれでも口にして良かったと思う。
「私も木乃江春君が大好きです」
俺と彼女はこの日、お互いの気持ちを確かめ合った。落ちる夕日を背に俺と彼女は手を取り帰路に着く。
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