埋まる空白

 私が手を挙げたのとほぼ同じタイミング一人の生徒が声をあげる。


「先生、僕やります。」

 隣の席の、男の子だった。


『おお、白咲と.....一瀬.....やってくれるか?』

 なんで私が....とは思ったけれど、私も手を挙げたし今回は責任もってやろうと思う。


「わかりました。私やります。」

 私の言葉を聞くと先生は、『みんなは二人に委員任せてもいいか〜?』と他の生徒達に確認する。

 誰も意見を言わなかったから、この二人で決定となった。

 委員会なんてやったことないから.....これからの生活がもっともっと憂鬱になる。


「白咲さん、よろしくね。」

 男の子........一瀬くんはそう言って私に笑いかけた。


「うん、よろしくね一瀬くん。」

 私の言葉を聞いて、一瀬くんは苦笑いする。


「一瀬くんなんてやめてよ、叶人だよ。忘れた?」

 忘れてない、忘れるわけがない。だって、大好きな人だから。


「忘れてないよ。だけどさ.......六年もブランクあって、去年もクラス別だったもん。なんて声かけたらいいか分かんなかったの。」


「よかった、忘れてたわけじゃないんだ。もしかしたら嫌われてたのかと思った。」

 そう言って、男の子は.....かなくんはまた笑った。

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